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 今日はすごく春っぽい天気だった。友達と久しぶりに電話をしながら散歩をしたけど、青い空と遠くに見える桜並木と匂いによって存在を誇示する菜の花も相まって、「散歩ってこんなに気持ちよかったっけ?」って思わず首をかしげたくなるほどだった。どうやら、適度に体を動かすのは心にも身体にも良いらしい。身を持って感じた。そのままコンビニでホットコーヒーを買って、町の図書館に直行した。学校が始まってまだ間もないからか駐輪場には自転車が数台止めてあって、早帰りの中学生がちらほらいた。こういう光景を見ると、二十歳そこそこの小娘ながらも生意気に「あ~、私にもこんな時代があったんだな…。」とか思ってしまう。九十歳になったら中学生が自分にどんな風に映って見えるのか想像してみたけど、3秒後には「私ってば九十歳まで生きるつもりなのか。随分と貪欲なのねトホホ…。」と我ながら呆れちゃった。でも、「しぶとく図太く生きるぞ!」っていう精神は生きていく上ではあながち間違いじゃないと思うし、私がそれくらいの年になるころには、科学技術がメキメキ発達してて、150歳まで生きる人もいるってのが当たり前の世界線になっているかもしれない。人類の将来目標:①人間は死なない!未来永劫!不老不死!ってな感じに。
 そんなこんなで持参した本を読み始めたんだけど、これが衝撃だった。今は亡き女性が学生時代に書いていたブログを書籍化したものなんだけど、一つ一つの言葉が力強くて、温かくて愛がこもっていて、ページをめくるたびに、色々な景色や生活の風景を見せてくれた。しかも、これは偶然なんだけど、ブログを書き始めた年がちょうど私が生まれた年で、会ったことも見たこともない人だけど、きっと彼女はたくさんの人の中で、そしてこの本を手に取り運命的な出会いを果たした読者の中で今も生き続けているのだろうと初めの数ページを軽く読んだだけで強く強く感じた。そして、私が生まれた時には世界にこんなにも素敵に真っ直ぐに生きている人がいたのだという事実に妙にうれしい気持ちになった。
 私がこの本を読むに至った経緯を話すと少し長くなるけど、ここ最近とあるバンドにはまっていて、それはもう大学の行き帰りの電車の中とか髪を乾かすときとか寝る前とかずっとそのバンドの曲を聴くくらいハマってて、もはや中毒レベル。それで、私が大学で一番仲のいい友達も偶然そのバンドが好きで、この間ベトナムに行ってコンデンスミルクがたっぷり底に沈んだ甘ったるいコーヒーを飲みながらたわいもない話をしていた時。彼女がそのバンドのボーカルには今は亡きお姉ちゃんがいて、彼はそのお姉ちゃんに強く影響を受けていることを教えてくれた。家に帰るやいなや「○○(ボーカルの名前) 姉」で検索した。どうもファンの間では有名らしく、すぐにヒットした。そして、彼女が生前書いていたブログ日記が書籍化されていることを知った。私はすぐに購入を試みたけれど、本屋では売られていないみたいだし、かのAmazon様でさえ「中古(1)」だった。迷わず、即座にその「中古(1)」をクリックして、数日間の待ち遠しいよ~を経て、無事に私の元に届いたというわけなのだ。
 その中で、今日ちょっと胸が高鳴ったことがあって、彼女のブログ日記に恋人と映画を見に渋谷の円山町にあるユーロスペースに行ったことが書かれていた。なんと!あの!円山町のユーロスペースが!という気持ちになった。時間的な意味でも、人間的な成熟さ濃密さの意味でもかけ離れていた私たちが目に見えない力でグッと引き寄せられた瞬間だった。ユーロスペースの目の前にはラブホテルが乱立していて、お隣にはいかにも怪しげな合法なのか非合法なのかよく分からない薬屋が存在感を放っていて行くたびに映画を見る前からドキドキさせられる。でも、かの有名な鈴木清順(美学)や寺山修司を知れた場所でもあり、その日はじめましての80歳のおばあちゃんと一緒に映画を見るという素敵な出会い(珍事?)があった場所でもあり、私にとって特別思い入れの強い映画館であった。二十数年前にも彼女がそこを訪れていて、色んな災難がありながらも愛する人と二人で映画を見たという事実が私の胸を躍らせた。時に映画館が時空を超えて、人と人とを繋ぐ媒体にもなるのかと不思議な気持ちになった。

明後日から、2ヶ月ぶりに大学が始まるらしく気がかなり滅入ってる。休みの最終日くらいユーロスペースに映画を見に行くのも良いかもしれないと思って上映中の映画を調べてみたけど、そそられるものが無かった。それなら新文芸坐に行ってカール・テオドア・ドライヤーの何かしらの作品を見るかと思ったが、やっぱり近所の図書館にこもって今日の続きを読むのが一番いい気がする。この波に乗って、塔のように積まれた本をしばき倒す!!

※ここ最近、早寝早起きができているのでこの調子で頑張りたいね!(もう0時回ってるよ〜)

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