本棚

アナザーストーリー:「人と本と旅」編~その①~

「相手を巻き込む伝え方」のストーリーには、さまざまな登場人物が出てきます。彼ら彼女らには、当然あの本の中での出来事以外にも、人生があり、エピソードがある。それらを紡いでみようという試みがこのアナザーストーリーです。

まずは、「人と本と旅」編から。ここでは伊川が、オーナーをしているcafeに訪れるさまざまな人たちを紹介していきます。もしかしたらここに登場してくる人たちは、あなたかもしれない。

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今井 航さん(33歳/システムエンジニア)

考えてみるともう何年も忙しさに追われ続けた生活を続けてるかもしれないな。フジテックでの僕の収入は同年代に比べていいほうだとは思う。でも使うひまがない。まあ、老後に備えてマンションなんか買ってみたけど、独り身にはちと広い(笑)そんな僕に、神様が見かねて問いかけたのかもしれないな。

そのままでいいのか?って彷徨った末に、引き寄せられる様に入った。
それが、その時の感覚に一番近かったかもしれない。

そういえば、満足に飯も食ってない。手近なところですまそう。
うちまでの道すがら、商業施設の様な賑やかさはないがでも感じが良くて、そこそこ人もいる通りがある。

ふと1軒の店が目についた。
「人と本と旅」なんかまた不思議な名前だが、見るとどうやらカフェの様だ。

華美ではなく、ナチュラルな空間。
なんか身体に良さそうなプレート、おっ出汁がある。
今の疲れた身体にはちょうどよいかもしれない。

店に入ると、ずらっと並ぶ本とセンス良く配置されたグリーンが目に入る。
まあ最近良く見かける本屋とカフェの融合ショップのようだ。
壁一面いろんな人の写真のコラージュとなんか風景や街並みの写真のコラージュになっている。なんか不思議な内装だ。でもなんか見入ってしまう。

不揃いの椅子とテーブルの中から、僕はなんとなく好きな感じの丸テーブルと座面が黄色く塗られた椅子の席を選び座る。ここからだと注文カウンターが一望できる。なんかカウンターの壁にモニターがあるが、特に映像も映ってない。何に使うのか?

僕は椅子とテーブルにカバンを置きつつ注文しにカウンターへと向かう。
具沢山のカツオだしのスープとおにぎりを注文する。1000円とちょっと高めの朝飯だが、それだけ素材にもいいものを使ってるんだろう?

出来たら呼んでくれるそうなので、本棚をふらっと見てみる。なんか普通の並びと違う。「私の人生を変えた10冊」と書いてあって、10冊単位でブロック毎に並んでる。誰だかしらない人ばっかりだ…(笑)なかには20冊30冊単位のものもあるな。おっ、この人知ってる!最近良く見るイラストレーターだよな。おっ、これあの某有名ベンチャー企業の社長じゃん。けっこう有名どころもあるんだ。

んっ、こっちの本棚はまた面白い。編集されてるな…。
「様々な旅の記憶」「人のぬくもり」「音」「ことばのない世界」面白い。
絵本もならんでる。

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おっ注文したやつが出来たみたいだ。
んっ?このタブレット、未来百景ってトップ画面がなんか惹かれる。
テーブルに持ってきて食べながら、タッチパネルをスクロールしてみる。
様々な人のビジョンと夢とかが文章と絵や写真で同じフォーマットでずらっと並んでる。キーワード検索出来るんだ。

僕にも密かに実はやりたいことがある。
まあ僕には手が届かないし、そんな夢を追いかけても路頭に迷って、結局今より待遇悪い形で再就職、下流生活へ…。そんな想像するより、現実をみなきゃ。でもなんかモヤモヤする。

「牧場ペンション」キーワードを入れて検索。おっ、3人いるじゃん。
(しばらくじっとその3人のビジョンを読んでいる)1人目、2人目、うん中々面白い。でもまだ甘いな。まあ僕が言うのもなんだけど。

3人目、田中さちさん、女性か。どれどれ…

食べるのも忘れて、田中さちさんのビジョンから目が離せなくなった。
引き込まれたというべきか。まさに自分がやりたいと妄想していたイメージがそこに書いてある。違うのは場所くらい。しかも彼女1年前に会社をやめて始めてる。まだ大変なことばかりって書いてるけど間違いなく充実しているのがつたわってくる。

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人生を変えた10冊も書いてある。もしかして…
スタッフの子に聞くと、検索してくれて本棚の一角に案内してくれた。
「田中さちの人生を変えた10冊」を見て、身体に電流が走った。その10冊のうち気になる3冊を買ってテーブルで読み始める。

なにやってんだろう…
僕の人生ってこのまま過ぎていくんだろうか?このままで本当にいいのか?とはいえ自分に何が出来る…?でも何か出来るかもしれない。
いや難しいよ…。でもさ、もし出来ちゃったら…すごくないか?

今朝まで徹夜続きでけだるかった身体は、不思議なエネルギーで満ちている。あきらかにこの店に入ってきた自分とは違う自分がいる。

出汁の優しい味が染み渡った影響もあるが、それよりも何よりも今自分の人生を変えるような出会いをしているという感覚が、僕の身体にエネルギーを湧き出させている。彼女に会ってみたい。メッセージを書いてみようか…。
どうやらフェイスブックもやっているようだ。

しかし、ここっていったい…。
ここって、どんなコンセプトのカフェなの?スタッフに聞いてみる。25~6の可愛らしい女性だ。彼女はその可愛らしさと少しギャップのある落ちついた優しい口調で、「ここは人生が変わるきっかけと出会う場所なんですよ」と答えて、冊子みたいな一冊の本を渡してくれた。

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「人と本と旅」VWカンパニー/編

ここはあなたの人生が変わるcafé
そしてあなたの人生が変わる本屋

人生を変えたい。今の日常を変えたい。
自分にはまだ出会ってない何かが必ずある。

人が何かに目覚める時、そこには必ず出会いがある。巡り会いがある。

僕の場合、それは人であり、本であり、旅であった。

ここは小さなcafé型本屋。
ここで扱う品物は“きっかけ”。

ここには、多くの人が自分の人生を変えた人や本や旅の軌跡がある。

この空間で、あなたにも“きっかけ”に出会ってほしい。
出会い巡り会ってほしい。

ほんの一時、時間をつくって立寄ったこの場所が、
あなたの人生を変えるきっかけでありますように。

そんな願いを込めて。

この本は、ここのオーナーが書いたらしい。

こんな場所があったんだ…。
そして僕はずっとこんな場所を探していたのかもしれない。自分の人生が、これからもしかしたら、大きく動くかもしれない。
今日はそのスタートの日かもしれない。

来週末に、ワークショップがあるみたいだ。ここのオーナーの伊川さんが主催してるようだ。「ビジョナリーワーク」今の自分にはまさに、必要かもしれない。早速申し込んでみよう。

そして田中さちさんにも会いに行こう。

今まで温めてた構想をもう少し具体的にかたちにしてみたい。
来週末のワークショップの時にオーナーの伊川さんに話してみようかな。

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