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若者へ:白洲次郎を目指そう

現代の日本社会において、様々な現象が見受けられ将来への閉塞感はとても強い。その閉塞感の元凶の多くは、他人の目や言動を気にしすぎる集団圧力であったり、外からの評価を気にする自己評価の低さから来るものが多いと思われる。日本人とは、昔からそのような人種であったのだろうか。

実は、日本人というのは、屈強で気骨のある誇り高い人種であった時代が長い。勝海舟や坂本龍馬、豊臣秀吉や武田信玄、東郷平八郎や秋山好古など、それぞれの時代に、世界から良い意味で尊敬を集めさせた人間の力が日本にはあった。その中でも白洲次郎は、もっとも現代の我々に近い世代で、本当の意味での気骨のある日本人だったと思われる。もし、白洲次郎をきちんと知らない方がいれば、是非、インターネットや本で白洲次郎についての数々の生き方を学んで欲しいと思う。

現代の日本の閉塞感を打破するためには、日本の若者が白洲次郎のような大人となることを目標とし、強くしなやかな日本人となってもらう他ないと言い切りたい。

相手を知り取り入れ本来の日本人を見つけ出す

白洲次郎は、イギリスのケンブリッジ大学を卒業し、きちんとした英語力を持っていた。外国車を乗り回し、アメリカのカントリー(田舎)の暮らしを真似、徹底的に相手を知る事、良いと思ったものを取り入れる努力を怠らなかった。これは決して相手に諂(へつら)うためではなかった。彼ほど当時のアメリカやイギリス、ヨーロッパの文化に精通していた日本人は少ないと思われ、文化のみならず諸外国の人間の考え方まで理解していくことで、日本人の我々との違いを理解していった。比較からくる理解というのは、比較材料の無い人間に比べて数倍も説得力が増し、知識量も豊富になる。すると自分自身や自分の国や文化に対する自信が増すために、本当の意味で「己を知る」人間となれる。いま、このブログを読まれている若者の中にどのぐらい「己を知る」方がいるだろうか。外からの意見や批判に晒された時、自分を見失わず、何が己かを主張できる若者になって欲しいと思う。

今の日本の若者の中には「インターナル」とか「内製」とか「インバウンド」いう言葉が流行っている風潮があるが、本来日本の良いところ、良いものを理解するには、外での比較がなければ良いと言い切れない。孫子の言葉にもあるように「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」、外を知り、己を知ったものは百戦百勝で最も強いものとなると言われる。今の日本の若者には、是非海外へ出ていく勇気を持ってほしいし、勉強や仕事をする場として海外を選んで欲しい。そういう若者が増えることで、周りを知り日本の本来の強みや良さを理解していくだろうし、今後日本として諸外国と渡り歩く本当の強さを蓄えることができる。「島国」であるハンデは想像以上に大きい。今の日本と同じような閉塞感がヨーロッパなどの日本と同サイズの国に起こらない理由は、そこにある。彼らは車を数時間走らせれば、すぐにでも別の国、別の文化の刺激を受けることができ、常に己を見つめることができているのだから。

芯のある意見を唱える人となれ

白洲次郎に関する逸話は数えきれないほどあるが、第二次世界大戦終戦後のGHQに「従順ならざる唯一の日本人」(文句なく従うことをしない唯一の日本人)とまで言わせた彼の芯の強さは、当時の西洋人からも恐れられたほどである。天皇からマッカーサーへ送られた贈答品の扱いについてマッカーサーを無礼ものと諫めた話は有名すぎるのでここでは割愛するが、日本の常識を知らない外国人に対し徹底的に日本の常識を説明できる芯を持った若者が日本に増えて欲しいと思う。時に外国人というのは、国際社会での存在感を示すために横柄で不躾、そして無礼なことが多い。しかし、その無礼さを外国人へ面と向かって指摘できる日本人は、今の日本には少ない。戦後の敗戦から高度成長期にかけ、日本人は外国人へ諂うことで生きてきてしまったことは否めなく、今がそれに終止符を打つ時なのだと断言できる。

海外に住む、私からの実例

最後に、海外(アメリカ)に住む私の実例を挙げて、実践の方法を具体的にお伝えしたい。まず、自宅ではアメリカの星条旗と共に、日本国旗を掲げている。それは私のルーツを主張するためで、近所に住むインド系、カナダ系、フランス系、ロシア系、ポーランド系、中国系、韓国系などの様々なアメリカの住人の中で日本人である自分のきちんとした自己主張なのである。また、仕事をしていて最近でこそ無いがアメリカ移住当初は、私の英語が通じない時、馬鹿にされたような顔をされることがあった。そういう時は決まって「私が一生懸命話をしている英語を聞こうとしないあなたは、どの程度日本語、またはほかの外国語が話せるのか?」と聞き返すことがあった。すると、自分の本来の立場を理解したその相手は、手のひらを返したように私への敬意を払うようになるのだ。そして、私は徹底的にアメリカ人化しようと努めている。週末の過ごし方、食べ物、生活様式、レジャー、仕事に至るまで。そうすることで相手のすべてを知ることになり、自分のアイデンティティが安定する。日本とアメリカどちらの週末の過ごし方もできるような柔軟性を備えると、それだけで自分の周りの世界は大きく変わるからだ。留学生の中には「英語がうまくならないから」などと言いながら日本人との関係を拒絶するものがいるが、それは大きな間違いである。日本人が日本人といることは極自然なことであり、それは外国にいても変わらない。英語がうまくならないのは、周りの環境のせいでなく、自分に甘いからである。英語を道具としてコミュニケーションしたいのであれば、普段の学校や仕事場で100%英語の環境を作ればよい。それ以外の自分の時間はむしろ日本語を使い続けるべきであろう。そうでなければ、魂ごと英語に自分の身を売ってしまうことになりかねないし、日本人である自分のアイデンティティを早々に失ってしまう。

相手がアメリカ人であろうと、世界のどの人種であろうとも、対等に面と向かって渡り合える日本人、日本になるために、いまこれを読んでいる若者一人一人にきちんと立ち上がってほしい、そう思う。そのための援助は惜しみなくしたいと思う。

日本の若者よ、白洲次郎を目指せ。

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