【Vtuber独占インタビュー】紗衣場しま乃【歴戦のレイヴン】
VIRTUAL LOGUEが企業の後援を受けず活動する個人勢Vtuberに独占インタビューを敢行する企画、
今回は、ゲーム制作会社『フロム・ソフトウェア』の人気シリーズ『アーマード・コア』のライブストリーミング配信をメインに活躍されるバ美肉サイバースーツパイロット系V紗衣場しま乃さんをゲストにお迎えします。
なぜVに?
――Vtuberになろうと思ったきっかけを教えてください。
直接のきっかけは、自分で描いた一枚のイラストですね。
デビューの半年くらい前にVtuberの立ち絵っぽいイラストを描いていたのですが、なんだか凄くよく描けた気がして。こんな感じの女の子がいたらいいなあ、と思っているうちに「ぼくがなればいいじゃないか!」という気持ちがふつふつと沸いてきたんです。
ちょうどホロライブの人気が爆発し始めた頃で、ああいうきらびやかな世界への憧れもありました。もしかしたら、心の奥では「あんな風になってみたい」とずっと思っていたのかもしれません。
――デザインの参考にされたVtuberはいらっしゃいましたか?
デザイン面で特に誰かを参考にしたというのはなかったですね。ぼくの「好き」を詰め込んだ完全に自己満足のデザインです。自分の「好き」を思いのまま形にできるのは個人勢の強みかもしれません。
――紗衣場しま乃の「紗衣場」は「サイバー」かなと思いますが「しま乃」はどんなところから?
昔から「しまもん」という名前でゲームをしていたので、それをちょっと女の子らしい響きに聞こえるようにもじりました。
――なんだか「くまもん」みたいですね。
ネトゲで「しかも」を「しまも」と打ち間違えたのを一緒に遊んでいた友達からネタにされ始めたので、最後に「ん」を付け加えてマスコットみたいな親しみやすい名前にしたんですよね。今振り返るとちょっとお間抜けなエピソードだなあと思います。
――デザイン完成からデビューまでの半年間はどんな風に過ごされていましたか?
動画投稿や配信活動はまったくの未経験だったので、機材を揃えたり、ソフトウェアの扱い方を学んだり、あとは声の調整ですね。
――声の調整はバ美肉[注釈1]として活動する上で避けては通れぬ道と聞きます。
Vになってからできたお友達も結構悩んだりしているようなので「ぼくだけではなかったんだなあ」という感じではありました。
――どんな部分で特に苦労をなさいましたか?
デビュー前に有名なボイスチェンジャーをいくつか試したのですが、どうにもしっくりこなくて。他に何かないのかなと探しているうちにVoice Meeter BananaとClownfish Voice Changerを合わせるというやり方をYou Tubeで見つけたんです。試してみたら変換後の声のガビガビがなくてすごくよかったんですよね。
あとは、デビュー当初に使っていたヘッドセットのマイクは個人で使うぶんには支障がなかったのですが、通話のときの声の劣化があまりにも酷くて。今後コラボも考えるなら買い替えなきゃだめだなと追加で新しいマイクを注文しました。それからは、細かな数値の調整ですね。
――仕上がった声をご自身で聴いてみていかがでしたか?
たまーに「可愛いなこの人」みたいな感じに自画自賛しております!
このたまーにある「可愛い」が常時になれば完璧なんでしょうが、ちょっとそのあたりはぼくの喉が上手くいっていないですね。
――デビュー前と後で何かイメージと違ったことがあれば教えてください。
デビュー前はVtuberを個人でやるのはお金持ちの道楽というイメージが強かったのですが、実際にデビューしてみると思ったよりずっと初期投資が安く済んだのはとっても意外でした。
――ちょっとした中古車が買えるくらいの金額が必要なイメージはありますよね。
ぼくの場合はイラストが自作というのもありますけれど、
Live2D:30,000円
Webカメラ: 3,000円
キャプチャーボード:25,000円
マイク:20,000円
で、合計しても8万円くらいで済んでしまいました。配信するのに充分な性能のパソコンがあれば仮にイラストを外注しても初期投資は10万円くらいで済むんじゃないでしょうか。
――個人の趣味としても充分に手の届く値段ですね。わたしもVtuberになれる気がしてきました。
いいんじゃないでしょうか!
なぜ『アーマード・コア』を?
――昔からロボットはお好きでしたか?
ありきたりですが、最初はガンダムから入りました。
一番好きなガンダムはF91ですね。初めてみたのがF91だったので、なんだかすっごく印象が強いんです。
――お好きなモビルスーツはありますか?
ダギ・イルスです!
――(長考)ベラ・ロナの機体でしたっけ?
そっちはビギナ・ギナですね。
――(誰の機体かわからず困惑するインタビュアー)
アンナマリー・ブルージュの機体です! クロスボーンバンガード製にしては珍しい顔をしていて、すっごく格好いいんですよね。偵察機として目立たないようビームシールドを搭載しないなど、渋い設定も魅力的で大好きです。
――アーマード・コアを知ったきっかけについて教えてください。
シリーズ初プレイは『アーマード・コア2 アナザーエイジ』でした。友達の家でプレイを見て「格好いい!」「面白そう!」って感じて購入したんです。
引用元:フロム・ソフトウェア
ただ、アナザーエイジはシリーズ全体で見ても難易度が高い作品で、当時のぼくではまったく手に負えませんでした。お恥ずかしながらプロアクションリプレイという市販の改造ツールを使って難易度を大幅に下げて遊んでいたんです。
――よく心が折れずにシリーズを遊び続けられましたね。
世界観や雰囲気はすっごく好きだったんですよね。
企業が統治する拝金主義の管理社会というどうしようもなく救いのない世界の命運が一人の傭兵によっていともたやすく左右されるという独自の世界観がとっても好きでした。
あとは、アーマード・コアってシリーズを通して登場人物のグラフィックが一切ないんです。だから、ゲーム中の限られた情報や搭乗機体のパーツ構成からどんなキャラクターなのかを想像する楽しみがあって。
――荒廃した世界と多くを語らないストーリーは『フロム・ソフトウェア』の作品に共通する特徴ですね。
他にシリーズ全体の魅力としては、とっつきにくいけれど慣れてしまえば自由度の高い操作性ですね。
例えば、アーマード・コアはカメラが特定の敵に固定されないんです。他のゲームだとどれか特定の敵をロックしてそれに合わせてキャラを動かすというパターンが多いんですけれど、アーマード・コアはいつでも自分の好きなように自由にカメラを動かせるんですよね。ただ、自由に動かせるぶん、かえって敵を見失ってしまったりもして。
操作の難易度が高いぶんプレイの自由度も高いというフロム・ソフトウェアさんらしいゲームデザインだと思います。
――紗衣場さんはシリーズでは特に4が一番好きとたびたびおっしゃっていますよね。デビュー直後の初配信も『アーマード・コア4』でした。
自己紹介ってなにをしたらいいのかよくわからなくて。それで「10分で終わっちゃう配信をするくらいなら好きなゲームをしよう!」って思ったんですよね。
――パイロットスーツを着てロボットゲームをしていること自体が一部の視聴者層にとっては自己紹介ではあります。
2019年に発売した『デモンエクスマキナ』というゲームの影響もありました。アーマード・コアを途中で投げた友達が熱心に遊んでいたのを見て「今このゲームが受け入れられるならアーマード・コアも目を向けてもらえるのかな」と思ったんです。
引用元:DEMON X MACHINA
――紗衣場さんは4のどんなところに魅力を感じますか?
PS2時代の前作『ラストレイヴン』から基本システムを大幅に刷新した革新的な操作性と、あとは主人公にドラマがあるところですね!
――PS2以前の時代と比べて4系は格段にスタイリッシュな印象になりました。
機体を急加速させる「クイックブースト」という新機能がそれまでとは別次元のスピード感を生み出しました。急加速、急旋回を織り交ぜた高速戦闘は「ハイスピードメカアクション」のジャンル名に恥じないプレイ感覚で、個人的にはいい意味で別のゲームになったという感じでしたね。4系のシステムは動かしているだけでも楽しくて好きです。一部のミッションを除けば初心者にもおすすめできる手頃な難易度も魅力かなと思いますね。
引用元:フロム・ソフトウェア
あと、旧作プレイヤーとしては事前情報の段階で4系は「ネクスト」という次世代型の機体を扱うということがわかっていたので、それまでのシリーズでいう「ナインボール」や「パルヴァライザー」といったボス格にあたる特別な機体がプレイアブルになるようなわくわく感もありました。
――ネクストへの乗り換えにはずいぶん苦労なさったそうですね。
4の発売当時は、旧世代の操作から脱却できなくて苦労しました。
初代『アーマード・コア』からずっと続いてきたボタン配置に4系からの新機能であるクイックブーストが加わると攻撃か索敵のどちらかを中断しなければいけなくなるんです。
かと言ってボタン配置を見直すとそれまで簡単にクリアできていたミッションですら苦戦するようになってしまって。
――本物のパイロットの機種転換みたいですね。
続編の『 フォーアンサー』発売から一年後にようやくボタン配置に慣れて全機能をフル活用できるようになったので、4系の本当の面白さを知ったのは実はかなりあとのことでした。
――ストーリー面でも4の主人公は「アナトリアの傭兵」という固有名詞があるなど特別な感じがします。
4は主人公にちゃんとしたパーソナリティが設定されているんですよね。ナレーションで言われる「かつて最強のレイヴンと呼ばれた伝説の傭兵」というのは、PS2までのシリーズを遊んできたプレイヤーにも重なるところがあって大好きな設定です。
背景のストーリーもとてもドラマチックで、きちんと読み解くと企業の思惑に翻弄される傭兵たちの悲しいお話なのがわかるんですよ。
主題歌の『Thinker』を聴きながら主人公たちの心情を思い浮かべると感傷的な気持ちにさせられます。
――実際の配信でもラストで涙ぐんでいる声が印象的でした。
機体のデザイン、システム、世界観、どこにも救いのないストーリーの何もかもが好きで、ぼくはすごく推したい作品ですね。
引用元:フロム・ソフトウェア
活動を振り返って
――デビューからこれまでの活動を振り返っていかがですか?
すごく楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまいました!
最初は1時間くらいの配信が多かったんですけれど、コメント打って下さる方とのやりとりも楽しくて、最近はついつい長くやってしまうことが多くなりましたね。
――視聴者さんとの対戦会も盛り上がっていますよね。どこからともなく歴戦の傭兵たちが集まってくる様は圧巻です。
対戦会も最初は「2回か3回で終わるだろう」くらいの軽い気持ちで始めたんですけれど、予想以上の盛況ですっかり恒例になりました。
たまにぼくの対戦を見て「また始めたよ」とか「ソフト買ったよ」とか言ってくれる人もいて、すっごく嬉しいですね。
発売から10年以上が経過した今も対戦に夢中になっている方が多くて、愛され続けているシリーズなのを実感できました。いずれ『VERDICT DAY』にも参戦したいと思っていますけれど、今の『for Anser』の対戦会に参加してくださる視聴者のみなさまにもいつも感謝しております!
――現在、取り組んでいることがあれば教えてください。
新衣装ですね!
――高解像度版の新規立ち絵を製作中とか。
じつは今のイラストは解像度が低くてよーく見ると輪郭がぼやけているんです。描き始めた当初はLive2Dの立ち絵にどれくらいの解像度が必要なのかもわからなかったので。
新衣装や差分を描くにあたっては大手のVさんが立ち絵をどれくらいの解像度で描いてらっしゃるのかもリサーチして見栄えがよくなるように調整しました。
――新衣装の情報をちょっとだけ教えてくださいませんか。
では予定している表情差分の一部だけ……。
解像度に合わせて今の立ち絵よりずっと細かく描き込んでいます!
――公開が楽しみです。
公開は2021年5月の1周年記念配信を予定しております!
――最後に今後の活動についてお願い致します。
まだまだ至らない部分も多いですが、見てくれる方を元気にできるようなVtuberを目指したいなと思っています。
どうぞよろしくお願い致します!
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました!
紗衣場しま乃
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個人勢のバ美肉サイバースーツパイロット系Vtuber。
人気シリーズ『アーマード・コア』を始めとするロボット&メカ系アクションゲームのプレイ配信をメインに活動中。
注釈1.^バーチャル美少女セルフ受肉の略。美少女のLive2Dアバターを使って活動する男性Vtuberの意味。
あなたはおいしいコーヒーを飲んでもいいし、たのしい歌を聴いてもいいし、わたしをサポートしてもいい。