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【今日のコラム Log.28】受け止める【ひととせハル】

文:ひととせハル

 最近、「私って嫌な人間だな」と思うようなことはありませんでしたか?

 例えば、自分よりも優れているひとに出会った時の嫉妬。
 例えば、好きになってはいけない人を好きになってしまった焦り。

 あまり表には出さないけれど、私もつい最近そんな気持ちが芽生えてしまうことがありました。
 友だちがとても大きなことを成して、みんなから絶賛されているのを見て素直に喜べなかったのです。
 その子が日々努力していたことを知っていたのに、です。
 私は何もしていないのに「どうしてそこにいるのは友だちで、私ではないのだろう」と嫉妬にも似た何かを感じました。

 こんな気持ちをもつ自分は嫌な人間だと思い、早くこの気持ちを無くさなければいけないと考えました。自分の気持ちを反射的に拒絶したのです。

 しかし、感情というものはとても厄介で、否定すればするほど大きく激しくなっていくもの。
 自分の気持ちを消そうと思ったって、そう簡単に消せるものではありません。

 こういう「負の感情のループ」に入りかけたとき、実践していることがあります。
 「受け止める」です。
 この行動は、否定も肯定もしていません。
 ただただ「そう思った」自分を認めて受け止める。

 一見「え、そんなこと?」と思った人もいるでしょう。
 ところが意外と、受け止める前に反射的に拒絶してしまうことが多いのです。
 反射的に拒絶してしまうと、自分の心の動きそのものを否定してしまうことになってしまいます。無意識にゆるやかな自分いじめをしてしまうのです。

 心が動くこと自体は何も悪いことではないし、誰からも否定されることではありません。
 うまれた感情の良し悪しに関する判断は、一旦はしっこに置いておきましょう。

 そうして一度自分の気持ちを受け止めて、すこし思考の休憩をしてから気持ちの中身について考えればいいのです。
 すぐに判断しないといけないシーンはそう多くはないはずです。
 ちょっとくらい遅れたって、まわり道をしたってだいじょうぶ。

 もし、あなたが負の感情のループの入り口に立つようなことがあったなら。
 否定でも肯定でもない「受け止める」という3つめの選択肢を思い出してね。



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