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⑬バチャカル 現地レポート

2023年12月17日(日)、デジタルハリウッド大学にて記念すべき第一回目となる「バチャカル」を開催いたしました。

当日の現地の様子をライターの森山ド・ロさんにレポートしていただきましたので、当日参加された方はご自身の思い出を振り返りながら、残念ながらお越しになれなかった方は次回の参考に、ぜひご覧ください。



2023年12月17日(日)、VTuberの文化祭「バチャカル」がデジタルハリウッド大学で開催された。イベントには、VTuberが総勢109名参加しており、これまでのカルチャーイベントの中でも屈指の規模を誇っている。

「バチャカル」最大の特徴は、文化祭を模したイベントになっていて、ライブなどのパフォーマンスが行われるステージイベントやデジタルハリウッド大学内の教室を活用した「Vの教室」と呼ばれる、文化祭でいうところの出し物が多く展開されている。

全体的なコンテンツも豊富で、音楽・ゲーム・バラエティ・雑談など、幅広いエンタメ性が詰め込まれており、自分が見たいVTuberやコンテンツを好きなタイミングで自由に体感することが可能だ。そんな「バチャカル」の様子をレポートしていこう。

会場入口付近に設置された推しVフラワーShop

スペシャルステージ、Vの教室の前に、会場内の雰囲気やコーナーを紹介しよう。とにかく面白い試みがたくさん施されていた。その1つが「推しVフラワー」。推しVフラワーを購入して、「Vの教室」内に設置された専用の台座に差し込むことで来場者によるフラワーアレンジメントができるという仕掛け。見栄えも良ければ推しへの愛情表現を目に見える形で送ることができるのでかなり画期的なシステムだなと感じた。

フォトスポット

他にも参加VTuberと写真が撮れるフォトスポットや寄せ書きコーナーも設置されていた。推しの出番のない時間やスペシャルステージの合間にもイベントを堪能できるような仕掛けがいたる所に施されている。歩いて見て回るだけで楽しいという感覚はまさに文化祭だろう。

会場内の通路の様子
掲示板や寄せ書きも設置されていた

会場内には各ホットスポット以外にも、文化祭をイメージした装飾が散りばめられていた。出演VTuberの選挙風ポスターが会場内の通路一面に貼られており、これだけで文化祭中の校舎感が一気に出る。掲示板や寄せ書きコーナーもあって、教室以外にも通路には常に人が集まっていた。

オープニングを飾ったスペシャルステージ

スペシャルステージの会場内の様子

バチャカルスペシャルステージで最初に行われたのが「このVの歌を聞け!2023」。会場内には2スクリーン配置されており、どこに座ってもライブが見やすいような設計になっている。この日は3つのスペシャルステージが用意されており、音楽とバラエティをメインにさながら文化祭のようなステージングが演出されていた。開幕、11時前には会場内はすでに満員で、ワクワク感と緊張感が張り巡らされていた。

オープニングライブを行った歌衣メイカと銀河アリスは、この日のスペシャルステージの要となるキーマンだ。最初に登場した歌衣メイカは、リードトラックとも呼べる「Cho Cool Nice Guy」を披露。オープニングライブにふさわしく、ステージ上を存分に暴れまわり、パワフルなパフォーマンスでまだ緊張感の残る会場内を一瞬で活気づけた。ペンライトやグッズを掲げるオーディエンスが楽曲に合わせて腕を振ったり、一緒にシンガロングする光景はまさにライブステージ。1曲目が終わると、間髪入れずにFLOWの「GO!!!」を披露し、会場内の熱気をもう一段階上げていく。

続いて登場したのは、この日もう1人のキーマンである銀河アリス。「Link」を披露し、熱気溢れた会場内を一気にエモーショナルな空間に変貌させる。華やかなステージ上を、コンテンポラリーな動きと神秘的な歌声で完全にロックしていく姿は、まさに銀河アリスらしいステージングだろう。声援や手拍子が巻き起こりながらも、淡々とパフォーマンスを行う銀河アリスの姿は、まさにこの日と同じように音楽とバラエティのギャップを象徴するようだった。

ライブの後は、歌衣メイカがMCとして登場。「このVの歌を聞け!2023」は、ゲストの8組のVTuberと歌衣メイカが軽いトークをしつつ、イチオシ動画をみんなで視聴するコーナーだ。最初に自己紹介の流れから普段の活動について深掘りしていく。イチオシ動画は、初めての歌ってみたや初めてのオリジナル楽曲など、思い入れの強い動画を紹介していた。基本的に緊張気味の出演者に対して、歌衣メイカらしい明るく冗談を交えたトークを展開し、終始笑い声が飛び交う時間が流れた。

まるでミニライブの歌枠

基本的にスペシャルステージの合間には、スペシャルステージと並んでバチャカルのメインコンテンツになっている「Vの教室」を体験。Vの教室には、トーク枠・歌枠・ゲーム枠の3つの教室が用意されており、ジャンルは違えど普段の活動スタイルに準じて披露されていた印象だ。いつも通りの配信を来場者が現地で観覧するというリアルイベントならではの催しとなっている。それでも出演者側には現地の様子が映し出されているため、普段の配信通りとは言っても終始緊張している教室が多かった。もちろん教室とは言っても途中で教室に入ることは可能で、自分の好きなタイミングに様々なVTuberの教室を体験することができた。

Vの教室 歌枠の様子①

まずは歌枠の教室を紹介しよう。歌枠は、実質ミニライブを堪能できる教室だろう。カラオケ以外にも弾き語りも行われ、トークも交えながら進行していく。現地にオーディエンスがいるだけで、さながら音楽ライブの進行のようだと感じた。もちろんVTuberからすればいつもの歌枠配信の感覚ではあるだろうが、大スクリーンに加えて、ペンライトが教室内に照らされているとなれば、ライブのような臨場感が演出される。

Vの教室 歌枠の様子②

教室内では、コールアンドレスポンスや大きな声援も飛び交っていたため、音漏れはほとんどなかったものの、楽しく賑やかな雰囲気が外からでも確認することができた。バチャカルでは、トーク枠が大部分を占めてはいるものの、普段の活動が歌中心だったり、雑談がそこまで得意ではないVTuberも歌枠を通じて参加することができる。今回多種多様なVTuberが揃ったのは、色んな特技や活動を活かせるスペースが設けられていたからだろう。


歌繋がりでいくと「#推しVカラオケ」もここで紹介しよう。Vの教室とはまた別のコーナーではあるのだが、好きなVTuberとワンコーラスのデュエットができ、恥ずかしいけど貴重な経験をすることができる、それが「#推しVカラオケ」。そして、このコーナーのミソは、デュエット映像をDLすることができることだろう。今回筆者も体験したが、あまりにも恥ずかしい上に、カラオケ自体数年ぶりだったため、もうほとんどその時の記憶がない。世界に1つだけのデュエット映像を家に帰って見返すことができるわけだが、絶対に人に見られないように厳重に保管しよう。

大騒動のクイズ大会

続いてのスペシャルステージは「銀河アリスが正解と言ったら正解だ!プロデューサー銀河アリス!」。こちらは完全にバラエティ要素の強いコーナーで、シンプルに言えばクイズ大会、でも蓋を開けると大喜利大会というとにかく癖の強いコーナーだった。奇想天外な銀河アリスをMCに置いて、歌衣メイカがサブMCとしてコーナーが進んでいく。とにかく慌ただしく始まったステージをレポートしていこう。

結論から言ってしまえばかなりカオスではちゃめちゃなクイズ大会だった。歌衣メイカが銀河アリスを泳がせまくったことによって、予想できない展開と振り回される出演者を堪能することができた。もちろんつっこむところはしっかりツッコミを入れてはいたが、基本的にMC銀河アリスの立ち振る舞いを尊重しており、その結果出演したVTuberが疲弊し掻き乱され、見ている方としては相当面白い内容になっていたと思う。

企画に参加したのはVTuber12組。2つのブロックに分けられ、それぞれでポイントが高かった両2組が決勝を戦うという流れだった。優勝者には、銀河アリスのチャンネルに招待されるという、VTuberにとっては本当に嬉しい賞品だろう。このクイズ大会のいいところは、知識力だけが問われるものではない。クイズの内容は、一般常識クイズからVTuberについてのクイズ、そして銀河アリスにまつわるクイズが出題された。

正解すると1P、銀河アリスと同じ解答だと3P、そして銀河アリスが「すっごいじゃん!」と思ったら5Pというとんでもないポイント制となっている。知識だけではなく、ユーモアさや現場の雰囲気を掴む能力、そして銀河アリスのツボを抑えるという一筋縄じゃいかないのがこのクイズ大会だろう。結果的にVTuber、配信者に必要な能力が試される試練的な印象を受けた。

実際に出題されたクイズ①
実際に出題されたクイズ②

クイズ大会自体は、均衡した戦いが繰り広げられた。銀河アリスに5ポイントと言わせてポイントを稼いだり、運営に労いを入れて無理やりポイントを獲得したりと、出演者もルールと銀河アリスに食らいついていく姿が印象的だった。それでも最終的には全員が疲弊している光景が広がっていたが、1時間以上の長丁場の戦いでも見ている方は飽きることなく堪能することができた。

晴れて優勝を勝ち取った深業奇には、銀河アリスのYouTubeへの出演権が贈呈される。

深業奇の3名から喜びのコメントをいただいたのでご紹介。※1/23追記

改めて、優勝おめでとうございます!

出演者の個性が溢れ出たトーク枠

トーク枠の様子①

この日もっとも教室が多かったのがトーク枠。普段の配信の感覚ではあるだろうが、来場者を巻き込んだ企画が数多く見られた。それぞれのVTuberがいつもの空気感を出しつつ、現地まで来てくれた人たちに楽しんでもらおうという試みはもちろん、リアルタイムで配信を視聴している人たちも楽しめるような工夫を考えていた。どの教室も最初の方は緊張感が漂っていたが、教室の時間が始まると自然と緊張は解け、終わってしまえばいつもの配信を見終わったような感覚になる。ファンの方はもちろん、初見の人でも普段の配信を見てみようと思った人も多くいたと思う。

トーク枠の様子②

リアルイベントだからこその現象として、こちら側の生の声が届くのは非常にいいなと感じた。普段の配信はコメントでしかユーザー側の声を届ける手段はないが、リアルライブではツッコミや笑い声、声援が生で届く。物理的距離は変わらなかったとしても、ただそれだけで配信者との距離が縮まったかのように感じる。

そして、サイコロトークや心理テスト、座学など様々なジャンルの企画が来場者を巻き込んで展開されていたが、VTuberによっては重大告知などを最後に発表して特別感も演出されていた。

ゲーム枠ではVTuberと一緒にゲームをすることができた

ゲーム枠も紹介しておこう。こちらも歌枠同様に枠が少なかったのだが、かなりの盛り上がりを見せていた。あまりゲーム枠は覗けなかったのだが、基本的にはVTuberと一緒にゲームをプレイすることができる教室が多かったように思える。ネット対戦などはジャンルや配信者によっては普段から行う場合も多いが、前述したように生の声が届くことでより親密で濃厚なマルチプレイが実現している。歓声の他にも罵詈雑言なども飛び出して、ゲーム枠ならではの盛り上がりを見せていた。

本気だけど楽しむことを忘れなかった歌自慢大会

スペシャルステージ最後の催しは、「このVの歌がスゴい!2023」。歌自慢のVTuberが集まり、優勝を目指す音楽イベントだ。ただ歌って終わりのイベントではなく、しっかりと審査員も配置されていて、MCも務める歌衣メイカ、「EVERGREEN LELAND STUDIO(ELS)」のはりーPさん、Heavenzさんの3名が色んなパフォーマーとしての要素を審査して得点をつけていくというかなり本格的なイベントだった。優勝者には人気ボカロPであるkoyori/電ポルPさんの書き下ろし楽曲が提供されるということもあり、審査はもちろんのこと、歌う側も本気で挑んでいた。

出演者は、よしか⁂、nah、あくまのゴート、ぜったい天使くるみ、Nanoha。、玖珂ツユネ、めもあ、潮成実の計8名。本当に全員が全員歌が上手くて、その中で得点の優越をつけていかなくていけない審査は大変だろうなと感じた。そのくらい実力者が集まっていたと思うし、楽しみながらも勝ちたいという意欲がビシビシと伝わるイベントだった。

特徴的だったことと言えば、歌い終わると、審査結果が出るまでの時間に銀河アリスとのトークを繰り広げるのだが、その流れがどの出演者も面白かった。歌の感想や手応えなどを聞いていくのだが、時折銀河アリスから唐突な切り口の質問などが飛び出して、いつの間にか歌唱後の緊張が解けていつも通りのトークを自然と展開していた。そこまで緊迫するような空気感ではなかったが、戦いの最中で毎回100点を贈呈していた銀河アリスには癒されたし、優しい時間が演出されていた。

今回優勝を飾ったのは潮成実さん。
優勝おめでとうございます!
潮さんよりコメントをいただいたのでご紹介。※1/23追記


VTuberの文化祭「バチャカル」、文字では伝えきれないほどのエンタメが詰まったイベントだった。最初の方は、推しに会いに行けるオフ会的な要素が強いのかなと思っていたが、終わってみれば新たな出会いがたくさんあったイベントだなと感じている。いざ足を踏み入れると、思った以上にお祭り感が強く、しっかり計画を立てていかないと、見たいものがみれないといったこともありえる。そのくらい高密度の催しが詰め込まれていて、なんならスペシャルステージだけでも満足できるくらいのクオリティだ。バチャカルは2023年を皮切りに今後も続いていくイベントのため、推しに会いに行けるという大前提はあるものの、まだ見ぬ推しを探しに行ってみてはいかがだろうか。


ライター:森山ド・ロ

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