【第2話】アリア 35歳 くすぶっていたもの
彼のアプリでの登録名は「ふみや」だった。LINEの登録名は「タカヒロ」だった。
どちらかが本名なのか、どちらも偽名なのか、意味のない詮索をしながら彼からの着信を待った。
「もしもし……アリアさん?」
「初めまして。なんだか、変な感じですね。さっき知り合ったばかりなのに」
「わー、声もかわいい。優しそう。よかった!俺もけっこう、緊張してたから」
「うん。すごく緊張する。あ、そうだ、名前はなんて呼べばいいかな?」
「タカでいいよ!」
ふむふむ、アプリの方が偽名なのか。普通に考