感動させる施術について

プロの仕事について

 大切な事は、その人その人の筋肉によってほぐし方が変わると言う事です。最初によく筋肉をみて、硬いのか、右に比べて左はどうか、どちらかに傾いていないか、等よく理解して、お客様にも説明して下さい。お客様は、自分では背中を見る事が出来ません。その背中をよく見てくれて説明してくれる人に、また頼もうとします。

ほぐし方について

 そこで大事になるのが、波。ゆらぎ。です。強弱。最初は柔らかく入って、徐々に圧を加えます。強弱の波。速さの波。早く手を動かしたり、ゆっくりなったり。ゆらぎの技術が上達すると、お客様は、心で(気持ちイイー)と実感します。その時は、施術者にも何かが伝わって来ます。満足して来るとお客様は、深い呼吸になることが多いです。お客様の息使いまで気にする施術者は、伸びます。一方、何も気にしないで、ただ機械的にほぐすだけの施術者は、お客様に心の中で(この人はハズレ)と思われます。
 施術者の手から心が伝わります。一生懸命、身体のことを調べて動かしている手か、どの筋肉もただ同じ様に押している手か、直ぐに分かってしまいます。最初に、お客様の筋肉をよく見てよく調べて、どうしたらこの筋肉がほぐれるか、どうしたら背骨の位置が正しくなるか、筋肉や骨の位置が頭にイメージされなければいけません。それが出来たら、どうやってこの不調を直そうか?と作戦が立てられるのです。そして最後に、どのようにほぐれたか、説明してあげて下さい。そこまでして、初めて(プロの仕事)と言えます。

 コロナ不況で、本物しか生き残れない時代となりました。そのためには、日々、技術と知識を身に付けるしかありません。私、息吹はこの世界で40年やっていますが、未だに医学書や健康書を何冊も買って読んで勉強してます。また、新人からでも(これは使える)と学ぶものがあります。
 お客様は、広い知識と数多い技術がある施術者に満足します。しかし、満足だけではダメです。感動させなければなりません。たとえ10分の短い施術でもです。美味しいチャーハンは、一口食べたら分かります。施術も3分あったら分かります。長い施術じゃないと満足させられ無い、では言い訳となります。
 以前、新人のスタッフが、お客様に、『あなた下手ね。こうやって揉むのよ。ここに寝なさい。』と言われて、スタッフがベッドに寝て、お客様が施術するという事がありました。これは、何という有り難いお客様でしょうか。普通なら、お客様は心の中で『あぁ、ハズレだ』と思って2度と来ません。教えてくれるなんて、ホントに有り難いお客様です。その後、そのスタッフは、とても上達しました。下手だったけど、一生懸命で学ぶ姿勢が、真面目でお客様の不調を何とかしたい、との思いが、上達を早め、指名も増えて行きました。

 また、本は全て正しいとは限りません。医学的に嘘を書いている本も多い。同じような本でも、何冊も読み、肯定派、否定派、中立派の本の内容を熟読し、自分なりの判断が必要。特に医学なんて10年前の常識が今の非常識となることがよくあります。簡単に表面だけを分かったふりをしない事です。

感動させられる技術とは

 お客様の筋肉を、よく調べ、不調の原因となる筋肉やスジを探し当て、この筋肉がこうなっているから、このような不調が出るんだ、と分かり、お客様に説明出来る事です。つまり100人のお客様に1つの対応しかしない、出来ないスタッフでは、感動させられ無いという事です。100人のお客様の満足は、100通り。その望みを的確に掴み、1人ひとりに合わせた施術をしていく事です。それを実現するためには、日々勉強、しかないです。
 私は、施術10年めに、もう学ぶものは無いだろう、と思っていました。しかしあった。20年目も、その先があった。このように40年経っても、まだ、学びの連続です。

 ここで、感動させられる技術の1つを紹介します。それは、全てが複合技、という事です。1つの動作が、単なる1もみや、1押し、では無い、という事です。一回のもみの技術の中に、ツマミや倒しなどが入っている、という事です。一回の押しの中に、ズラシや回しの技術が入っている、という事です。それも単なる形だけをやっても意味がない。お客様の筋肉をみて、この場所のこの筋肉には、このほぐし方、この強さ、など考えた上での技術です。また、お客様の好む強さがこれだから、と言って、ずっとその強さでは飽きられます。緩急、強い弱い、早い遅い、などバリエーションが大事。それが、揺らぎ、に繋がります。一定のリズムでは深いリラックスは得られません。自然界のリズムが揺らぎ。波の音、風の音、光のキラメキ、全て揺らいでいます。このリズムを施術の中に取り入れたとき、お客様を感動させられます。