No5 羽織りは外す 白木蓮の着物Love
最近のファッションは、
「ぬけ感、こなれる、外す」
がポイントだと言われているようですが、わかったようで、わからないこの言葉達。
調べてみると、着物にも当てはまるのかもしれないと思い、今回は「外す」について綴ります。
近隣のショッピングモールに、お気に入りのセレクトショップがあります。
インポートのバックやアクセサリーなど、小粋な品揃えが魅力で、買い物の度に立ち寄るのが楽しみな時期がありました。
20代から30代のお洒落な店員さん達は、パリジェンヌのように、それぞれの個性を活かした洒落た装いでお店に立ち、彼女達からお洒落指南を受けるのも、私がそのお店に立ち寄りたい理由のひとつになっていたのです。
彼女達の装いを見ていると、
私のコーディネイトとはどこか違い、お洒落にするには、どうしたら良いの?と尋ねてみると、
「外す んですよ」
と、即座に答えが返って来ました。
今でも役だっているのが、
[スポーティな装いに揺れる
ピアスをひとつだけつける]
と、女っぽさがより強調されるとのアドバイス。
相反するものの組み合せで、互いの魅力がよりひき立つ法則が解り、足し算のお洒落しか知らなかった私は、そのアドバイスを随分参考にしたものです。
「外す」と言うファッション用語を検索してみますと、
[わざと雰囲気の違うものを組み合わせ、完璧にまとめ過ぎない]
と、書いてあり、概念を言葉で知ると腑に落ち、お洒落上手と呼ばれる人々の、さらりと外した着こなしが頭に浮かびます。
無難にまとめ過ぎると、洒脱にならないと言う事でしょうね。
そこで思い出したのが、25年程前にスクラップした着物雑誌の切り抜きです。
着物ビギナーの頃は着物雑誌を隈なく見て、好みの着こなしを見つけ、よくスクラップしたものでした。
その中の選りすぐりは、まだ大切に保管してあり、気になった写真を取り出し眺めてみますと、
白黒の細かい格子の大島紬に、朱と白で染められた
大胆な羽織り姿。
ありきたりにまとめず、相反する組み合わせによって、
モノトーンの大島は引き立ち、大胆な羽織りもより存在感を増しています。
私はこの写真を見てから、
羽織りが好きになり、又、着物はシックに、羽織りはこの上なく大胆にと考えるようになりました。
今は、ネットのリサイクルショップで、もう作られていないような派手な小紋を安く買い、羽織りに仕立て替えたり、下の写真のように、若い時代に思い入れの深かった小紋を羽織りに仕立て替えると、長く着る事も出来ますし、更に愛着も湧き楽しいものです。
私も知らず知らず、着物では外していたのですね。
着物の自分スタイルが完成するまでは、長い時間がかかりますし、又、自分の個性を知る旅でもありました。
着る事は精神に直結します。
今までは、地味なお召しや
小紋に羽織りを重ね、大いに外すコーディネイトで私らしさを楽しんで来ましたが、
人生の秋を迎えた私。この時代をどう生きるのか、どう着るのか…
外すのか?
纏めるのか?
未知の私に出会えるかも
知れません。