ヴィオラ奏者、おせちに学ぶ

年末年始の初挑戦

 遅まきながらこの年齢にして初めて、おせち料理とお雑煮を買い出しの段階から主体的に準備する立場となりました。ありがたいことに、周囲からは「適度に手を抜いて良いのよ」「がんばりすぎないで、無理をしないのが大事」と人生の先輩たちのあたたかいご助言の数々。ありがたく受け取り、ネットでおせち料理の最低限3品を調べ(西と東で違うそうな)、あとは適当に済ますはず……でした。

 まぁ3品とお雑煮だけでは寂しいかもしれない。お煮しめと椎茸の含め煮くらいは作りましょう。そう考え始めたのがいけなかったのでしょうか。どんどん自分で作業量を増やしてしまい、半分は市販品に頼ったものの、結局半分近くを自分で作ることになったのでした。
 冷蔵庫の空き容量と相談しながら年末の限られた期間でのおせち準備。盛り付けに至る全ての作業を元旦に終えるまで、初挑戦だからこそ失敗したくない緊張感と、自分の手際の悪さから来るもどかしさが綯い交ぜになった、何とも落ち着かない心持でした。

 気持ちが落ち着きを取り戻したのは、元旦当日に重箱へ盛り付け、自作の味も無事つつがなく確認し終えたころでした。落ち着いた頃に気付いたのは、人生の先輩たちが仰ってくださった「適度に手を抜いて」が手抜きしそびれた(当社比)こと。家族の了解も得ていたのだから、おせち初心者としてはお雑煮さえあれば最低限3品でもよかったのです。

初心者は手が抜けない

 ふと思い至ったのは、「無理しない」「適度に手を抜くor楽をする」ことの難しさ。なぜ今回のようなことになってしまったのかと思い返せば、初挑戦&初心者ゆえに、どこで手を抜いて良いものやら判らなかったのです。
 正確には「手を抜いても全体に影響を及ぼさない場所がどこか判らなかった」。
 レッスンで時折聞かれる表現でもありますが、この言葉は言う相手に加え、時と場合を選ぶことを心に留めました。何が困るって、言われた側が困る。
 初心者には手抜きや近道よりも、具体的な作業の振り分けが大事なのだと学ばされたおせち料理作りなのでした。

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