無本番・練習日記2021年4月19日~4月25日

2021年4月19日(月)
J.S.バッハ:マニフィカト BWV243(ヴィオラパート)
クロイツェル:42の練習曲
F.A.ホフマイスター:フルートとヴィオラのための3つの協奏的二重奏曲
ヴュー:音程のための10の練習曲

 昨日あまり練習できなかったバロックヴィオラから練習スタート。バッハのマニフィカトは5月の連休明けに無事収録が行われることを祈りつつの事前練習。そういえば何度となく弾いている曲だけれども、古楽器での演奏は何回やっているのだろう。ひょっとしたら2回くらいしかやっていないのかもしれない。頭の中に積もった「過去の演奏で得た感覚や印象・イメージ」を掃除するように練習を進める。体に染みついた古い感覚はとても頑固で、思いもよらない瞬間に顔を出すのが困りもの。
 クロイツェルは長いスラーのための練習として、14番と29番を選択。どちらかというと今の私には29番の方が目的に合っているか。弾き終えたところでホフマイスターの二重奏曲第2番の2,3楽章を弾く。そういえばLentoはどんなスピード感にするのだろう。時間があるうちにフルートのパート譜を見ておかねば。
 モダンヴィオラは昨日の延長のような形で、ヴューの6番をさらう。昨日よりは少し楽に弾けるようになっているようではあるが、泳いでしまいそうになる目線を楽譜に集中させる作業は眼が疲れる。指番号や自分の書き込み、松葉(<>)に視線が吸い寄せられてしまって、なかなか音符に集中することができない。「音符:その他の情報=5:5」といったところか。せめて音符の割合を6にすることができれば。
 苦手意識は練習の回を重ねる毎に薄れているものの、中盤を過ぎて気がつくと「弾く行為」そのものに夢中になってしまっているので、演奏を俯瞰し曲の流れを掴むための集中力が課題。

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2021年4月20日(火)
ヴュー:音程のための10の練習曲
カイザー:36の練習曲 Op.43
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
クロイツェル:42の練習曲
 ヴューの6番と一時的になるにせよ早く決着をつけたかったため、モダンヴィオラからの練習。今日は暑いくらいに暖かく身体も固まっていなかったので音階も弾かず、最初からヴューを選択した。目線が泳ぐことに関しては徐々に改善が見られ、あとは松葉(<>)に目が吸い寄せられた時の対策を取るのみとなった。ページが変わる時特有の目線を「下から上へ」大幅に動かすことから生じる視界のガタつきも、対処できるようになった。あとは苦手意識を取り払って如何に曲として弾いていくかが課題として横たわる。
 方法を考えた結果「習うより慣れよ」のことわざに倣い、この曲に対して苦手意識がなくなるまで繰り返し弾くのが一番の近道と判断。かじりつくように見ている楽譜から少しでも物理的に距離が取れることを目指して、通し練習を何度も行った。むやみやたらに繰り返し練習を行うのはどうかと思うけれど、繰り返すことで見えてくるものは確実にあり、それなりの効果をもたらすのも事実。6番と無事一時決着を見ることができたところで次の7番へ。6番のあの苦手意識を誘発するものは何だったのだろう。
 ヴューの後クールダウンも兼ねてカイザーの6番~9番を練習。9番は上の方に何やらドイツ語で注意書きが書いてある。翻訳こんにゃくが欲しい。
 バロックヴィオラはジェミニアーニの9番と、長いスラーの練習としてクロイツェルの29番を弾く。今日の練習開始から薄々思っていたことではあるが、生理に逆らわず楽に、尚且つ音楽を活かして演奏する方法を模索する。細かいことをあれやこれやと考え慎重になるよりも、良い意味で大雑把に弾いた方が身体は素早く反応してくれる気がした。楽器としては古楽器の方が繊細だけれど、演奏としては思っている以上に自由度が高いのかもしれない。

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2021年4月21日(水)
他用のため練習お休み。

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2021年4月22日(木)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
J.S.バッハ:『マニフィカト』 BWV243(ヴィオラパート)
音階(C-dur , a-moll)
カイザー:36の練習曲 Op.43
 バロックヴィオラはジェミニアーニの8番と9番。すっかり忘れていたが、折良く8番には長い音符も含まれており、9番とは違った練習を行うことができた。全音符など長い音符を弾くことに苦心することしばし、「楽譜の景色通りに音を出す」ことを思い出したものの、なかなか功を奏さず。小節線の前後で不具合が起こることが多いことに気付き、弓の使い方云々ではなく、小節線の乗り越え方を考えることとなった。
 基本的にバロック時代の音楽は拍子に表と裏があり、更に小節の中で拍が後ろになればなるほど、重さが軽くなるのだという。時代が進むにつれてその傾向が薄まっていくのだとしても、小節をまたぐときに何かしら起こることに変わりはないだろう。
 とりあえず拍の表裏・重さ軽さで考えるのが実感を伴わなかったため、視覚的に棒状のもの、羊羹などで考えることにした。1小節の中の拍の長さを、切り分ける羊羹の量とする。小節の後ろの方になるにつれて残りの羊羹は小さくなるが、小節が変わるごとに羊羹は新しくなる。
 この方法は視覚的にとても解りやすかったけれど、レッスンで生徒にうまく伝えることができるだろうか。
 バッハの『マニフィカト』はジェミニアーニで行った練習を前提にして、気持ちを新たにして譜読みを行った。3度目の緊急事態宣言が騒がれている中、収録がどうなってしまうのか一抹の不安を抱えながらの練習。こればかりは自分ではどうしようもないので、信じて待つしかない。
 モダンヴィオラは手短に、音階とカイザーの9~11番。こうして連続して弾くと、古楽器とモダン楽器の性格の違いというか、性質の違いに気付かされる。

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2021年4月23日(金)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番
 用事から帰ったら楽器に触れないことが予測されたため、短い時間でも鳴らせるうちに楽器を鳴らしておく。湿気が少なく、暑すぎることもなく、この季節は楽器が鳴らしやすい。一か月もすれば直に雨の季節になることを考えれば、貴重な季節とも言える。
 バロックヴィオラはジェミニアーニの8番、モダンヴィオラはバッハの無伴奏チェロ組曲の1番を最初から最後まで通す。ケースから楽器を出すことに意義があり、細かい練習よりも音出しが最優先。とはいえ、本当に音を出しただけで終わってしまった。

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2021年4月24日(土)
他用のため練習お休み。
 (余談)緊急事態宣言発令に伴い、周辺で続々と公演の中止延期に関する連絡が目に入るようになった。と、この文章を書いている間に、私自身も本番が一つ吹っ飛んだ。「公演に向けて準備をする→本番が中止延期になる→代替公演の日程決定→再延期→本番へ向けて準備……(以下同文)」この流れは一体いつまで続くのだろう。

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2021年4月25日(日)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
 本番が再び中止延期になってしまったことによる虚脱感からぼんやりしてしまい、時間はあったのに練習せず過ごしてしまった。ちょうど1年前の今頃もこんな状態だったような気がする。凹んでいても仕方ないので短時間で効率的な練習を心掛け、バロックヴィオラのみ音出し。ジェミニアーニの9番と、8番の前半ページを用いる。
 音符を扱うことに対して最低限の慎重さのみ持つこと。
 今日の主な目標は、こんなところだろうか。慎重になりすぎたり気を遣いすぎると、あまり良くないらしい。「気は遣うものではなく、配るもの」という言葉は、日常生活はもとより演奏にも当てはまるらしい。
 今までバロックヴィオラを練習する時は音をいかに出すかということに主眼を置いていたので、こういうことを考えるようになったということは、楽器を弾くだけで手一杯の状態から一歩前へ進めたのだろうか。
 ジェミニアーニの後、気まぐれにガット弦でレーガーを弾いてみたくなり、モダンヴィオラの弓で試してみた。同じように弾けるかと思いきや案外そうでもなかったので、新鮮な驚きと共に好奇心をくすぐられた。
 よく「勉強のためにバロック弓を買った」という話を聞くけれど、「スチール弦にバロック・ボウ」よりも「ガット弦にモダン・ボウ」の方がコストも掛からないし、音を出すという意味では勉強になるのではないかと感じさえした。残念ながら譜面が手元になく時間切れとなってしまったため、この好奇心は次回の練習に持ち越しとなった。

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