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「自由に」作文なんて、書けるわけがない。―解決編―

以前、制約がなくテーマ丸投げの「自由な」作文なぞ難易度が高すぎて書けたもんじゃない、ましてや語彙の少ない子どもに課すなんて無茶ぶりもいいとこだ、というnoteを書きました(だいぶ間があいてしまった……)。

普通は意識しないのかもしれませんが、文章表現は自由なように見えて、実際はたくさんのルールに囲まれています。好き放題にしていたら秩序がなくなってしまう言葉たちを、何枚かの板を組み合わせて囲い、一箇所にとどめてあげるような。文法はもちろん、話し言葉・書き言葉の区別から単語の難しさまで、「自然に引っ掛かりなく読める」文章は実に律儀で型にはめられた存在なのです。

じゃあ、その枠をどう作ればいいのか。「無茶ぶりすぎて書けない!」だけではえらく無責任なことに気付いたので、散らかった言葉の外堀を埋める方法を書き連ねてみます。順番にさらっていけば、まとまりのある文章になるはず……!

視点を決める

自分が主語である「私は」の視点で書くのか、私からは離れた情報中心で書くのかをはっきりさせます。書き手(話し手)が自分からどの程度の距離にあるのか意識しましょう。

基本的に、作文であれば書き手=自分(距離はゼロ)、小論文であれば書き手=客観的な立場(自分の視点は入るが、客観視できる距離)です。

より創作性を重視するなら、視点を自分以外の登場人物にし、ストーリーを膨らませるのもいいでしょう。その場合、受動態/能動態が文章の途中で入れ替わっていたり、主語が不明な状態で省略されないよう注意してください。

メインの情報を決める

視点を決めたら、その文章で取り上げるメインの情報・題材を決めます。

原稿用紙2枚分(800字)など、1000字を下回る程度であれば複数の出来事を詰め込むのは難しいので、泣く泣く削ってひとつの題材にしましょう。もっと長い原稿であれば言及できる量も増えますが、話題が散らかると読みにくくなるので、より詳しく説明する、周辺知識を取り上げるなど論理的な関係を損なわないようにします。

作文であれば「〇〇へ出かけた」「〇〇のきっかけ」などの1つの出来事、小論文であれば「〇〇というルールの是非について」など1つの課題や問題をテーマとして取り上げましょう。ただし小論文に関してはいわゆる過去問も多く出回っていますので、それらを練習の材料にするのが手っ取り早いです。

メインの主張を決める

書くことを決めたら、主題となる主張や感情を決めます。

作文の場合、取り上げる出来事によって生じた驚きや学び、その出来事を通じて抱いた葛藤など、一番強い気持ちはどうだったかな、と思い出すようにするとよいでしょう。その気持ちに至るまでの心情の変化や、出来事の具体的な内容を説明すれば、それでしっかりとした流れを作れます。

小論文の場合は、テーマに対し「自分はこう考える」をひとことで言い切るように主張を決めましょう。形式的には、最初に結論を述べ、その理由や反論・反対の主張に対する考察によって説得力を持たせ、最後により明確な主張でまとめます。

およその段落の数を決める

さて、中身の骨子が固まったら、ちょっとだけ文量のバランスを意識しながら書き進めましょう。全体に対して一つ一つの段落が多すぎたり少なすぎたりすると、内容が細切れになったり冗長になったりして、書きにくいうえに読んだときの印象もぼやけてしまいます。

どういうふうに段落を作ればいいのかについては、「まず、段落をつくろう」で解説しています。

上記記事でも言及していますが、一段落の文字数は150~200字程度が適切です。目安の段落数として、単純に全体の字数を200で割るときりも良く簡単です。自分が書いたものの段落の数が大幅に違っていたら、段落を変えるべきところを続けていないか、同じ話なのに途中で改行していないか見直してみてください。

原稿用紙2枚分(800字)であれば、段落は4~5個あるとちょうどよくなります。子どもに教える場合は、段落の分け方の指導と合わせてあらかじめ段落数の範囲を決めておいてもいいでしょう。

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作文を書くときにマイルストーンになるポイントを紹介しました。文章表現は思考そのものなので、これが唯一の正解というわけではありません。ですがもし、書きたいことがとっ散らかってもどかしいと悩んでいたら、この手順を試してみてください。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、作文や小論文って実はそこまでたくさんのことを書かなくていいんです。むしろ、大きく捉えれば1つだけ。「1000字も書かないといけない」ときつくても、「1つのことを1000字使ってゆったり人に教える」と思ったら、できそうな気がしてきませんか?









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