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抄訳・源氏物語〜帚木 そのニ〜

恋の上級者と言われている左馬頭の話は、
「そんなに名を知られていない家に思いがけない良い姫が育てられているのを見つけた時や、年をとった父親が太って醜かったり、兄の顔が憎たらしかったりしていると勝手にその家の姫はたいしたことがない、なんて思っていたら、思いの他気品があって、少し風流なことができたりすると、たいしたことがなくても意外や意外と思ってします。想定外は男性からすると魅力の1つになりますしね。この上なく素晴らしい女性の部類には入らないかも知れませんが、何もしないで素通りすることもできないでしょう。」
「そんなものなのか?」と思いながら源氏は聞いていた。
左頭馬の話はまだまだ続いていて、
「政などは優秀な人を何人か選んで力を合わせて動かしていくが、家の中は妻1人で色々としてもらうことになるから、恋人として無難な女性でも妻にしようとするとなかなか見つからないものです。こっちは良いけどもあっちがちょっと足りない、などはよくある話です。
私以外の男達も、一生涯寄り添える理想的な妻を探すために、色々な姫達と恋仲になって、ふらふらしているように見えるのは、別に好きでしているわけではないのです。でも結局みんな完璧な理想の女性でなく、それに近い女性と結婚してしまう。こうして結ばれたのも何かの縁と思い、添い遂げようとするのは情が深く誠実に見えるものです。でもだからと言ってそれが理想的な夫婦というわけではない。完璧な夫婦なんて私は見たことないですよ。私のような中流の者でこうなのだから、あなた方上流だとどんな女性でも満足なんてできないでしょうね。」
そんな話を聞きながら源氏は「上流の女性の中でも、すぐれた人を探すのは難しのに、中流の中に本当にいるのだろうか?」
と心の中で思っていた。そんな源氏の頭の中にはある女性の事で一杯になっていた。
「やさしい女性は情に流されて浮気をしてしまいそうだし、しっかり者はがさつで色気がなくて物足りない、
嫉妬深いくて怨まれても怖いけど、嫉妬さえしてくれなければ自分への愛情をうたがってしまう。
可愛いだけでおっとりしているのも何もできなくて困りものですが、妻として導き教えていけば良いかとも思いますし。
普段は素っ気なくこちらをあまり気にもとめていない風なのに、家のことなどしっかりとやってくれているのを見るとそいう女性も良いなと思ってしまう。
それよりも困りものは浮気されていることに素知らぬ顔をしながら我慢を重ねて、勝手に心が折れてしまって置き手紙などをして、山奥や寂しい海辺に行って、夫の愛情を試してみようとするうちにそのまま出家をしてしまう。
その後に夫の愛に気づき尼になったことを後悔して泣き崩れて煩悩に苦しんでしまうと生半可な出家となってしまい、かえって地獄に堕ちて悪道をさまよってしまいそうです。そうなる前にと思って連れ戻しても、今まで通りとはならず、どこか不安な気持ちが残ってしまう。だから女性の方は男が少々心が他に移ったとしても、出会って結ばれた頃のことを思い出して、そんな簡単に切れない縁だと信じてくれてあまり騒ぎ立てず、浮気のことは知っているけど穏やかな気持ちで恨み言を可愛いく伝えてくれれば、こっちも悪いことをしたなと反省して浮気心も少しずつおさまりもするものです。」
それを聞いて頭の中将が、
「自分に悪いところはないのに、愛おしい相手が不実な浮気をしている疑いがあっても大目に見てあげるのは、大変なことだと思うけど、気長に構えて辛抱すれば相手もそのうち気がついてくれて、自分のところに戻ってきてくれると信じるしかないね」
と、ちらっと源氏を見ながら言ったが、源氏は自分と葵上の事を言われてることに気が付いていたから、目を閉じて寝たふりをしていた。
寝ていると思った中将は、源氏がこのことに何も意見時ないことに少し苛立ちも感じたが、まだ左馬頭の話の続きを聞きたいので、熱心に相づちを打っていた。
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恋の上級者ってなっている左馬頭さん。いやいやどこがやねん!とツッコミを入れつつ、平安時代でも若い人たちが集まれば恋バナなんですね。
この頃源氏は17歳。源氏が一番年下だから、それでもみんな20歳前後ぐらいかな?

左馬頭が長々と話している内容って結局「お母さん」やん!って感じで、
この頃だと乳母的な存在になるのかな?
浮気をしても寛大な気持ちで待っててね♡
って、ありえないだろ〜っ。「不倫は文化」などと言われた方もいましたが、令和では生きていけませんね。

平安時代の人口は12万人と推測されています。(色々な説がある)
貴族は従三位以上で150人〜200人程度(上流貴族)
従五位以上だと1600人程度(中流貴族)
人が少ない上流貴族からよりも、人が多い中流貴族から理想的な女子を探す方が、見つかる確率でるやん。って言いたいのだろうが、結局は愛人止まりなんだけどね。上流貴族は上流貴族からしか正妻にはなれませんからね。
残念!

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