小説「楽園のカンヴァス」を巡って (スイスでワイン造ってるの? #15)
原田マハさんの著書「楽園のカンヴァス」をご存知ですか?
ぼくの第二の故郷であるスイス・バーゼルを舞台にした美術史ミステリー小説です。
実在の場所が描写されていたり、ちょっともじったものが登場してなかなか面白いのでご紹介いたします。
残念ながら小説の中のワインはフランスやドイツのものばかりでスイスワインは出てきません(涙)。
なんでやね~ん!
バーゼルはドイツ、フランスに隣接しているといった地理的なこともあるのでしょうね。
バイエラー
著書の中で、登場人物の一人であるアートコレクター「バイラー氏」は、実在するスイス人アートコレクターのバイエラー氏をもじったものと思われます。
バイエラー氏のコレクションはバーゼル郊外にあるバイエラー美術館に展示されています。(バイエラー美術館は建築の記事で紹介したレンゾ・ピアノが設計)
また、作中ではバイラー氏の邸宅には巨大な睡蓮画があるとの描写がありますが、バイエラー美術館にも巨大な睡蓮画が展示されています。(写真下)
バイエラー美術館にはモネ、セザンヌ、ルソー、ピカソなどの素晴らしいコレクションが揃っているので、バーゼルを訪れる機会があればぜひ!
魚料理レストラン
主人公のひとりであるティム・ブラウンがバーゼルに到着した初日に、「橋の近く、ライン川沿いにある魚料理の店」に行く描写があります。
作中では「トロイメライ」とされているお店、上記の描写から考えると「Cafe Spitz」というレストランだと思われます。
ここの名物である川魚料理は絶品ですので、バーゼルを訪れられるならぜひリストに加えていただきたいです。
最高級ホテル
主人公達が宿泊しているホテル「三人の王」(Les Trois Rois / Drei Könige 作中ではドイツ語名のドライ・ケーニゲと表記)は実在するホテルです。
美智子上皇后が2002年9月にバーゼルで開催された国際児童図書評議会に出席なさった際にご宿泊されたホテルでもあります。
このホテルに泊まってホテル内レストラン「シュバルブラン」で食事をとるのがぼくの夢です。
ミットレレ橋
バーゼル市内を流れるライン川にかかるメインの橋です。
作中にはティム・ブラウンが「ミットレレ橋付近の信号で立ち話をした」との描写がありますが、ミッテレレ橋付近には信号はないんです。
作者が風景を描写するために「作った」信号だと思われます。
夏にはミットレレ橋からライン川に飛び込んでいる若者をよく見かけますが、警察に見つかると罰金を取られますので、皆さんはマネしないでくださいね。
その他、この本の中にはバーゼル美術館、バーゼル大聖堂、バーゼル動物園といったバーゼルの観光名所が出てきます。
ストーリーもよく練られており、一気に読み進められる一冊です。
ぜひご一読を!
Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ
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