「Scotty and The Secret History Of Hollywood」を観て、SEXについて考えたこと
この記事はたぶん18禁の可能性がありますので、18歳以下の方はご遠慮ください。
内容には性的表現等含みますので、了承したうえでお読みください。
「Scotty and The Secret History Of Hollywood」という2017年に制作された映画を観ました。
すんごい面白かったwww
前情報なしで、ハリウッドの秘密の歴史ってのに惹かれて観始めたんだけど、いろんなところがぶっ飛んでるし、一方、凄く考えさせられる部分もある。
この映画の概略
どんな映画かというと…
スコッティ・ボワーズ(Scotty Bowers)という90歳のお爺さんの話。
現在の彼をインタビューしつつ、彼の話からハリウッド黄金期の隠されたSEXの話が語られるといった内容です。
彼が2013年に出版した、「Full Service」という本がそもそものきっかけです。フル・サービスは、軍隊にいた彼の「任期満了」的な意味と、「何でも致します」的な意味のダブルミーニングだと思われます。
第二次大戦に海兵隊で出兵し、硫黄島なんかで戦った後、彼は故郷の農場には帰らずにハリウッドにやって来ました。
そして、ハリウッド大通りのど真ん中にあるガスステーションでの仕事にありつきます。
そこで彼は、ウォルター・ピジョンというハリウッドスターに出会い、「ウチのプールに入りに来ないか?」と誘われ、彼の車に乗り、プールで泳いで何やかやしてるうちにSEXをし、20ドル貰ったんだそう。
それからはウォルターの相手だけじゃなく、口コミでハリウッド中のお仲間(俳優だけでなく衣装、美術、裏方にもいっぱいゲイがいた)のネットワークであっという間に拡がり、一人で相手できないくらいガススタに人がやってくるようになります。
そこで、同じような文無しの兵隊あがりの若者の知り合いに、
「しゃぶらせてあげたら20ドル。目つぶってたら彼女にして貰うのと一緒だから…」と言って、斡旋もするようになる。
ただ、ここで重要なのは彼は斡旋料は一切取らなかったということ。
Pimp(売春斡旋業者、女衒)じゃなかったと強調してました。
そこがそんなに威張るとこなのか?と一瞬思いましたが(;^_^A、
性的搾取した訳ではなく、ただ需要と供給のマッチメーカーだったということで、両方に感謝され、彼自身も皆をHappy に出来た!みんなHappy YAY!!って感じだったようですwww
そして、ガススタの裏にあったトレーラーを使っていいよ!と言われていたので、そこにベッドを2つ入れ、簡易のホテルの様にしたり、
向かいのモーテルのオーナーとも知り合いになったので、そこの部屋も使ってと、そのガススタ周辺がある意味ハリウッドゲイの一大発展場という感じに…。
そこから、ハリウッドの大物監督ジョージ・キューカーとの出会いで、さらなる広がりを見せます。キューカーは「スター誕生」や「マイフェア・レディ」などの監督を務めた人物。
キューカーもガススタにピジョンの様にやってきて、彼の宮殿の様な屋敷にスコッティを誘います。
そこで彼とも親しくなると、彼の開催するスター達が勢ぞろいするパーティーにも呼ばれるようになり、どんどんスター達と仲良くなっていきます。
彼自身のチャーミングな性格もあるだろうし、キューカーのお気に入りというお墨付きがあるのもスター達から信頼された所以でしょう。
そして、どんどん、スター相手にセックスをするハスラーになって行きます。(ハスラーって言っても、車でもビリヤード打ちでもないよw)
The Secret of Hollywood
そして数々のハリウッドスターとの交流の話へ。
ケーリー・グラントとランドルフ・スコットという当時のイケメン俳優同士
ルームメイトとしてビーチハウスで暮らしており(当時ルームメイトはそういうこととして、ハリウッドでは暗黙の了解であった)
そこに誘われて3P、4Pしに行ったとか。
そしてスコッティはゲイ相手だけでなく、女性ともするし、レズの女優に女性の相手を斡旋するし、男優に女性を斡旋することも。
とにかくSEXに関することならスコッティにおまかせ!状態であったようです(;^_^A。
ローレンス・オリビエとヴィヴィアン・リーが付き合っているときに、ヴィヴィアン・リーとも致したとか、
ケーリー・グラントに無名のロック・ハドソンを紹介し、彼がその後スターになったとか、
イーストウッドが監督、ディカプリオ主演で映画化もされた
初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーが女装趣味で、女の子のように扱われたがったとか、
「王冠を掛けた恋」として有名なエドワード8世とウォリス・シンプソン
(エリザベス2世の伯父さん、一年足らずで米国人人妻ウォリス・シンプソンと結婚するために王位を退いた)ともハリウッド滞在時にサービス提供していたそうです。侯爵は無口で、シンプソン女史がいろいろ命令する役割だったとか。
そして、SEX研究「キンゼイ・レポート」で有名なキンゼイ博士ともインタビューを受けて親しくなったそう(上の動画はリーアム・ニーソン主演の映画)。
彼が研究する対象で、すべての項目で当てはまったのはスコッティぐらいだったんだとか。人間との性交だけじゃなく獣姦なんかまで含んでいるのがちょっと引きますが…(;^_^A
キンゼイ博士を乱交パーティーに連れて行ってあげたりもしたそうで、博士は参加せず、真剣に観察していたらしいw
私も別に、このスター達、有名人達をなんとなく知ってるぐらいの世代ですが、私の中の野次馬根性、覗き見趣味が刺激され、ヘエ~って感じで興味深かったwww
*****
映画冒頭に、ウーピー・ゴールドバーグなんかが出ているワイドショー的な番組で、スコッティの本?映画?を取り上げ、死んだ人間であろうとアウティングするのはダメ!って力説してるし、サイン会に来た客にも本人は死んでいても家族とかがイヤな気持ちになるのでは?と訊かれる。
そこでスコッティは言う。
そもそも”ゲイであることが悪いことなのか?”と。
秘密をばらしたわけでもないと。当時のハリウッドの中では公然の事実として、皆が知っていたことばかりだから。
1930年代頃、ハリウッドでは性に奔放な人が集まり、皆それを謳歌していた時代だったと。
その後、ハリウッドの映画製作会社が世間へのイメージ、俳優たちは品行方正な人物たちというイメージで売るために規制が設けられ、契約時にそのパブリック・イメージを守ることが求められるようになった。
しかしそれは表面上のことだけで、実際の私生活に介入するわけではなく、皆、その堅苦しい規制から逃れるように奔放なSEXをまだ楽しんでいた。
スコッティがハリウッドにやってきたのはこの頃でしょうか?
その後、40年代、50年代にvice squad=風俗取締班が強化されて、だんだんと表立って活動しにくくなっていく。
そしてエイズ禍。ロック・ハドソンによるエイズのニュースがハリウッドを震撼させ、さらにゲイ=禁忌のイメージが強まったと。
この辺のゲイに対するイメージが醸成されていく過程も興味深いです。
当時のホモソーシャルが強化されていく時代と符合する気がします。
彼の性指向、性行動の源泉を考える
彼の生い立ちも語られる。
11歳の頃の同級生や女の先生と写った写真を見ながら、
この先生は女の子が好きだったから、女の子を。
そして先生の兄弟が男の子が好きだったから、自分が相手をした…とか。
この頃から既にマッチメーカーの役割をしていた(ペド相手なのが怖いけど(;^_^A)。
そこでYoutubeのコメント欄でもかなり引かれていたのが、
幼少期、隣人のおじさんにキス、ハグ、射精までして貰ったと。
そして、母の再婚で教会の近くに移り住んだ後、教会の司祭ともそういう雰囲気になって、相手をし始める。それが司祭のネットワークで25~30人ぐらいの相手をしたと。教会のミサで集める寄付金からお礼も貰ってたとか。
これに対して彼に訊きます。それは幼児虐待ではないのか?と。
しかし彼は断固として「そんなものじゃない トラウマはない」と言い切ります。
当時は世界大恐慌の時代。とにかくひもじい状態。
そこで「優しくされること」は、彼にとっては良いこと、問題ないこと、として認識された感じでしょうか…。
もともと性的好奇心も強かったというのもあるのか?
今の常識で考えれば完全にmolesting=性的わいせつ行為ではあると思います。
でも実際、子供だからと言って性的好奇心がないわけじゃない。
大人が強制したり、誘導したりしてのわいせつ行為は論外だとは思うけど、子供自身が興味を持っている場合、そしてそれをトラウマにならない形で教えるというのは…どうなんだろう?とか考えてしまった。
勿論そんなことは難しいとは思うんだけど、自分の性を知る、それも優しく教えられる、信頼できる人に教えられるってのは案外大事なような気もする。SEXに必要以上に罪悪感持ったり、隠したりするのも、正しく教えられないからってのもあるんじゃないか?
私も思春期の時に、そういう信頼できる相手にちゃんと教えて貰いたかった、という考えは無いことも無いな…って思うんですよね。じゃあ誰に?って言われたら困るんですけど(;^_^A
誰がっていうと、幼児性愛者が自分の欲望の為に…ってことになる可能性が高いから、そこは学校や親による性教育でカバーするしかないってことなんでしょうけど、それだと遠すぎるし、近すぎるってのもあるんですよねぇ。
で、コメント欄の意見で気になったのが、獣姦までした男は絶対アンダーエイジとも性交してるはずだと。それはキモ過ぎる!と軽蔑するコメントが見受けられました。
ウン、まあ、してる気はする。なんてったってヤバいロリコン監督いっぱい排出してるハリウッドですからね(;^_^A。
彼の、この”なんでもござれ”の姿勢は、やはりどこか「ぶっ壊れてる」からなんだろうか?とも考えてしまいます。
性的指向がパンセクシュアルってのとも違う気がします。
手足がない人とも差別することなく相手をしていたとか。とにかく相手を喜ばせることが彼の喜び。これはどういう性的指向に分類されるんだろう?
幼少期のChild Abuse(幼児への性的虐待)。
彼はトラウマは無いと言ってましたが、やはりコレが最初のズレを生じさせたのかもしれません。しかし大恐慌の中、生き抜くための生存本能として誤魔化し、自分の中で正当化した。
そして大きいと思われるのが「戦争体験」。
目の前でドンドン人が死んでいくのを目の当たりにして、生きていることの実感をSEXに求めた部分もあるのでは?
とにかく「人を幸せにしたい」、それが彼の生きがい。
死を間近に経験したからこそ、生きている人には幸せを味わってもらいたい。その役に立つならなんでもしたい…という思考回路も戦争という臨死体験が下地に有る気がします。
ここで、SEXについて最近ホォ~と思ったものをちょっと紹介します。
ある映画の意味不明な場面を検索する流れから、海外のゲイの掲示板を見ていて発見しました。
そこで「乱交する上でのBottomへのアドバイス」ってのがありました。
(何見てんだよ、お前(;^_^A でも自分が経験することないところの感想って興味ありません?)
その中で凄く興味深かったのは、「アフターケア」。
やりまくった後(←言い方ッ!!(;^_^A)、
誰か一人、信頼できる人に残って貰って、抱きしめて貰ったり、一晩一緒にいて貰ったりすることがイイよと。
それによって、空虚になった心、羞恥心、その他乱交行為によって引き出される様々な(負の)感情から助けてくれるからと。
そんな乱交するぐらいの強者なんだから、性に奔放、ガーッとやりまくった後も、「ハァ~スッキリ!!いいSEXしたぁ~!!」ってなるんだろうと思っていたので、そんな虚しさとか恥ずかしさとか感じるんだ!と、少し意外でした。”受け”ってのもあるんだろうけど。
そしてこれは女性の場合も同じなのか?そこまで調べてないので分かりませんが、たぶんそこは男女関係なく、同じような気がなんとなくします。
SEXってどこかお互いの心の穴を埋める行為みたいな所もあるな、と思ったりしますが、だからと言って多くの人としまっくても満たされるわけでもなく、結果、心の穴が広がることもあるんだと。自分から望んだことであるにもかかわらず。
ではスコッティの場合はどうだったんだろうか?
多くの人と、時には乱交も、とにかく家に帰る暇がないくらいやりまくっていた。
(そう、彼には奥さんもいるのです)
これは、どこか満たされない何かを求めた結果の行為だったのか?
やればやるほど心の穴は大きくなり、それを埋めようとさらに求める…
そんな感じだったんだろうか?
でもそんな悲壮さは微塵もなさそうな人物に見える。
やはりぶっ壊れているのか?
彼の中の生存本能が無意識にネガティブをポジティブに置き換えてるのか?
そもそも心の穴なんかないとして、彼にとって妻たちはどういう意味があったんだろう?というのも気になる。
彼には事実婚の奥さんもいて、娘もいた。
しかし殆ど家に帰らずに”仕事”に明け暮れていた。
奥さんとの別離は語ってなかった気がするけど、娘さんは大きくなって堕胎手術の後、容態が悪くなって亡くなってしまった。
二人と過ごす時間が殆どなかったことは後悔していた。
その後、50過ぎの時に、10歳下の歌手ロイスと結婚。
彼女とは現在まで一緒に暮らしてる。
ロイスとは35年前に出会って結婚。
ちょうどエイズ禍が始まって、彼の仕事も出来なくなっていった時期。彼の身体も年齢を重ね、いわゆる旬の時期が過ぎた時期。
彼は彼女に、自分の過去のことは話さず結婚したらしい。
隠したわけではなく、わざわざ言わなかっただけ、と言っていたが…。
そして自伝である「Full Service」を出版しても、ロイスは読むのを拒否。
過去のことは知りたくもないと。
稼業が出来なくなったスコッティに、ちょうど寄り添う相手として現れたから、それ以来一緒にいる感じなのか?ロイスは彼の過去を知った今、どういう感情があるのか?諦めが全てを覆っているのか?
結局この結婚は、スコッティの心の穴を埋めるものだったということか?
でもスコッティはものすごく明るく、90歳を超えてるのに元気でアクティブ。
人と関わるのがとても好きなんだと伝わってくる人物。チャーミングで人に好かれるのもよくわかる。
記憶力も良くて、きっかけになる場所とか写真を見た後は事細かい過去のことをいっぱい話してる。
でも家がゴミ屋敷化してる。なんでも拾ってくるし、過去の色々なものも全部とってある。
この辺も彼の心の闇を感じさせる。
これに対しては、大恐慌という物のない時代を過ごした人によく見られる傾向というコメントもあった。
貧困、性虐待、戦争、そういうものが複合的に影響を与えているのかも。
性虐待は規制できても、貧困や戦争は無くそうとしても未だに世界中である。
そうなると、そこから影響を受けて生まれる人間の業みたいなもの。それはなかなか無くせないものな気がしてきます。でも業があるから人間ドラマも生まれるわけで…そういうものが全くなくなった世界も味気ないような気もするし…と、いろいろと考えさせられた映画でした。
もうすぐ公開されるブラピ主演のハリウッド大作「BABYLON」
これが1920年代~のハリウッドが舞台らしく、スコッティの時代よりちょっと前ぐらいでしょうか?
当時のハリウッドにおける性のあり方も絶対描かれると思うので、その辺も注目して観てみたいと思います。
それとスコッティの物語を、
「君の名前で僕を呼んで」の監督であるルカ・グァダニーノが映画化する企画も進行中だとか。
これも面白そうで観てみたいです。
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