記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

「House of Hammer」を観て③ 富豪の不幸は蜜の味?

アーミー・ハマーのスキャンダルから始まり、彼の曽祖父まで遡ってハマー一族の黒い歴史を検証するドキュメンタリー番組「House of Hammer」

関連記事はコチラ

3回シリーズの第1回はアーミーのスキャンダルの内容で殆どが占められていました。
第2回は曽祖父アルマンド、祖父ジュリアン、父マイケルについて語られます。


ここからカメラに向かって話すのは、マイケルの妹 
Casey Hammer ケイシー・ハマー
彼女の2015年の暴露本を主軸に、実際の過去のニュース映像、新聞記事、証言者などで彼女の主張を補強する形です。

↑アマゾンでのこの本の値段凄いことになっているけど、プレミア付いてる?

番組の構成は、時系列は無視してアルマンド、ジュリアン、マイケルの話が行ったり来たりします。時々アーミーのことも挿入される。

細かく書くのは大変なので、私の記憶に残ったところをアルマンドから順にザ~っと書き出してみます。

Armand Hammer アルマンド

石油会社オクシデンタルを作った実業家。
世界の16番目だかの大富豪。
美術品収集家社会事業家、親ロシアの財界人
ロシア系ユダヤ人
アルマンドの父ジュリアス・ハマーがロシアからアメリカに移民。
ニューヨークで医師、薬局を数店舗経営する。
ジュリアスは熱烈な共産主義者で、アメリカ共産党の元となった社会主義労働党 (SLP) の創設者。

名前のArmand Hammer は Arm and Hammer
つまりアメリカ共産党の象徴である腕とハンマーから名付けたらしい。

wiki を見て貰うとわかりますが、ロシアとの貿易などでレーニンの信頼を得、ソ連&その衛星国との大きなパイプを作り上げる。
クレムリン、バッキンガム宮殿、ホワイトハウス全てに入れる人物として有名だった。

コロンビア大学の医学部を卒業し、医師の資格を持つ事から、以降「ドクター・ハマー」と呼ばれるようになる。(M.C.ハマーを思い出しちゃったw)
研修医の時に堕胎手術をして患者が死んでいる。一応スペイン風邪の合併症ということに。父親が執刀していたと隠蔽。

ロシアから連れてきた妻と子供(ジュリアン)。しかし存在を隠そうとしていた。妻は女優。
2番目の妻には鉄パイプで殴るなどDVをしていた。
3番目の妻には金目当てで近寄った。この時の財産で石油事業に手を出すように。

全てをコントロール、支配したい人物。
家の中でも全て盗聴されて監視されていた。電話を掛けるとカチッと録音が始まる音がする。

ウォーターゲート事件にも関与。
評判を落とす。しかしチャールズ皇太子&ダイアナ妃が訪米した際にチャリテイーパーティーを開き、コネクション&恩を売ることに成功する。
多数の政治家と繋がる。不正献金収賄の王と呼ばれていた。
収賄取引の音声を全て記録していた。何かあった時の脅しに使う為。
父ブッシュの時も罪を問われていたが恩赦を与えられてる。

自社の北海油田での事故で作業員が160名近く死亡。
チャールズとダイアナが慰問に来る(←ここで過去に関係を結んでおいたのが役立つ)。
事故の原因は安全対策不備で会社側に否があるも、社員を亡くした悲劇の経営者をメディアの前で見事に演じ、帰りのプライベート・ジェットの中ではシャンパンとキャビアで祝っていた。

Julian Armand Hammer ジュリアン
アル中、セックス中毒、DV (←親への劣等感からか若い時から乱れた生き方をしている)
家柄などない普通の女性グレナとメキシコ、ティファナで電撃的に結婚。
マイケルとケイシーが生まれる。

ケイシーの幼少時の記憶。
クリスマス、母親が殴られて血まみれ。日常的な夫婦喧嘩で「殺すぞ」と脅す。いつも耳を塞いで部屋に籠っていた。
アル中はドンドン悪化。手が付けられなくなると、グレナが子供を連れて車でモーテルに行き朝までしばらく避難する日々。
アルマンドは、もし別れるなら人生を惨めにしてやるとグレナを脅していた。

11歳の頃、いつものようにモーテルに逃げた。しかしその時グレナはもう戻らず、離婚。
アルマンドは脅していた通りの言葉を守り、強い弁護士を雇い月200ドルの養育費のみに。

2年後13歳、父親の家に訪れると、お手伝いさんが複数人いた16~18歳くらいの少女達)。自分と歳はそれほど変わらない。お手伝いは愛人という意味の暗号。いつも膝の上に載せて撫でまわしたりしていた。
部屋には酒、ボールいっぱいのコカインなど。好きにし放題でのパーティーが繰り広げられる。ケーシーは部屋に籠っていた。
朝起きると皆が薬物で気を失っていた。テーブルにはポラロイドがあった。アイスキャンデイを咥えているのかと思ったらフェラをしている写真だった。その片隅に父親も写っていた。

あと何かとすぐ銃を持ち出し激高する。
あるパーティーで壁に向かって撃っていた。
こっちに来い、電話帳もって顔の横に構えろと言われ、まさか撃つはずないと思ったら本当に撃ってきた。

元お手伝いさんで婚約までしていた女性の証言。

当時彼女は子持ち(赤ん坊)、夫と別れてジュリアンのところに住んでいた。
ジュリアンは嫉妬心が強くてなかなか外出もさせてくれない。
久しぶりに外食に出掛け、帰りにバーに行こうと連れていかれたのはゲイバー。そこで他の男とイチャイチャし始めてほったらかしにされた。仕方なくヒッチハイクでジュリアンの家まで送って貰った。送ってくれた男性が帰ろうとしているところにジュリアン帰宅。激高して銃を持ち出し撃とうとするので咄嗟に銃身を掴んだら天井に向かって本当に発砲した。赤ん坊のいるすぐ横で。

ある日、知り合いの男性とギャンブルのお金の貸し借りで揉め、その時も銃を持ち出し、ついには発砲して死亡させてしまう。
事件として報じられるも、アルマンドがお金で全てもみ消し解決してしまった。

アルマンドの石油会社でも働いたが役に立たないので、アルマンドの秘密の記録係として、闇取引を録音する役を務めることに。

Michael Armand Hammer マイケル

両親の離婚時、ケイシーは母方に。マイケルは父方に残った。
母はそれだけをずっと後悔していた。

学校でも目立つグループの中心人物。女の子をとっかえひっかえ。すぐ次の女の子が来るのに相手の気持ちを考える必要なんてないだろと言っていた。

父ジュリアンのことが嫌いだった。祖父の後を継ぐのは自分だとして、父親を家族のヒエラルキーで追い越すことが目標。祖父の会社に入る。

結婚したのは敬虔なクリスチャン家庭出身の女性ドリュー。祖父も承認。

祖父アルマンドが死亡した時に、ケイシーはハワイにいた。
マイケルは妻と共に駆けつけ、まだベッドに祖父が死んでいる中、タペストリーなど美術品をごっそり持ち出した。その額180ミリオン、約200億円。

遺言開示時、ケイシーは25万ドル、ジュリアンは50万ドル。
しかしマイケルは4千万ドルの遺産を相続した。遺書が書き直されたのは祖父死亡の数週間前。(←死ぬのがわかっていたから書き直したのか?書き直したから殺されたのか?何とも言えない…)

アルマンドの葬式の最中、妻ドリューの父が来て、ユダヤ教徒だったアルマンドが生前に改宗してクリスチャンになっていたと宣言。参列者はアゴが落ちるほど驚いた。その後キリスト系団体への寄付が多く行われるように。

数年後に会社は辞め、ケイマン諸島へ。(←そこでマネロンとかしてる?)

在任時、ハマー財団の自室にセックス玉座と呼ばれるものを置いていた。
穴が開き、鉄格子、フックが付いていた。SMをする道具?
ブロンド女性の頭を掴み笑っている写真があった。

Armand Douglas Hammer アーミー

(男4代、全てアルマンドの名前が入っているのがわかります。アーミーも曽祖父Armandを愛称的に呼んだ名前)

アーミーについては、第1回に出たコートニーと別れたすぐ後に付き合っていたという元アスリートの女性が証言。
意志に反して緊縛SMをさせられた、「A」と体に刻まれたと告発。

コートニーを母親ドリューに会わせた数日後に、この女性も母親に会わせて写真を撮っていた。(←母親もちょっとどうかしてる(;^_^A)

アルマンドは92歳まで生きた。
ジュリアンは67歳で死亡。晩年はケイシーが世話をした。激高して銃を持ち出したり、急に優しくなったり感情の変化に苦しんだ。
(家族写真でも90代のアルマンドと変わらないぐらい老けていた。アルコール、薬物をやり続けたせいでしょうか)

マイケルはこの番組が放送された後の2022年11月に癌の為、父ジュリアンと同じ67歳で死亡。妻ドリューとは2012年に別れ、2017年に別の女性と結婚していた。(彼の内容が若干少なめだったのは放送当時はまだ健在だったからというのもあるのかな?)

暴露本出版の後、ケイシーにこれ以上家族の恥を晒すことは許さない。どうなっても知らないぞ!という脅しの手紙も送っていたことが語られる。

そして第3話で一番衝撃的な内容という感じでスタッフがケイシーに訊く。
(でも急に取って付けたように挿し込まれる)

「あなたのお父さんはあなたを性的に虐待したのですか?」

ケイシーは答える。「イエス」と。

しかし具体的な内容はアーミーの性被害者と同様に語られない。

第3話ではここからアーミーの性虐待を告発した女性たちが受けたセカンド・レイプの問題へ。話の信憑性を疑うことから始まり、本題と関係ない彼女たちの容姿を酷評したり、ファンと称する人たちの苛烈な攻撃を紹介する。

そしてアーミーがスキャンダルによって仕事を全て失ったキャンセル・カルチャーについても語られる。
しかしキャンセル・カルチャーよりもレイプ・カルチャーの方がより大きい問題であり、それが無ければそもそもキャンセル・カルチャーが起こらないと性虐待を断罪する。

といった感じの内容でした。
うろ覚えのところもあるので間違っていたらスイマセン(;^_^A


ケイシーは自分の暴露本、コートニーは自分が運営する美容アプリ、
そしてメッセージをやり取りしていただけのアーティストのジュリアも、この事件を題材にしたアート作品を最後に紹介していた。

最後のジュリアのアート作品見た時に、アレ?彼女たちは自身の活動の宣伝に結び付けている共通点があるなと気付いた。女性弁護士グロリアも依頼人の承諾なくこの番組に出たという話もあったし…。

告発することは凄く大事なんですけど、番組として”極悪ハマー家”を印象付けるために結構盛ってる気はしないでもなかったです。もっとショー的要素、リアリティ番組的要素を削って、ファクトだけを淡々と語る内容だったら良かったかな。

別に彼女たちが性被害の詳細を語る必要はない。それこそ追体験する感覚に陥ってしまうわけで、それを強要するのはセカンドレイプの一種だと思う。それならそこがクライマックスになるような演出&構成で関心を引っ張るのではなく、最初からそういう部分には触れません。彼女たちを守るためです。内容が制限されることはご理解くださいと表明してくれたら別にいいのに。
視聴率取るためのイヤらしい演出と構成。でもその手法に乗せられた自分も恥ずかし(/ω\)www 自分の野次馬根性、ギルティ・プレジャーを認めざるを得ない…😅


でもまあ男性陣も皆人相悪いんですよね、実際。悪いことやってそうだな~とは思っちゃうwww

曽祖父は歴史にも関わっていた闇の支配者的内容だったし、
祖父は絵にかいたような依存症とDVの問題、
父は家族内での裏切りと狡猾さ、
アーミーの残虐嗜好は彼らに源泉があるんだと結びつける。
でもなんだか、一応アーミーへと世代が下るにつれ残虐性は薄まって来てるような気もちょっとするかな?(;^_^Aそれぐらい先代達がヤバイ。

ウクライナ戦争中の今、ロシア(と関わりが深かった人物)=悪の印象を強調してる部分もあるのかな~?と思ったり、
アルマンドが英王室との関りがあったことから、ハリー&メーガン好きな米メディアによる英王室下げの思惑もある?と思ったり
#Me too以降、権力者の性加害が注目されているので、ここも潮流に乗って注目される番組を作ろうって感じなのかな?と思ったり、
裏では色々な思惑が渦巻いてそう。話題になればなったでそれはビジネスになるわけで、食い物にしていた一族をまた別の人物達が食い物にする…なんだか「極道の妻」のセリフ、「玉の取り合いやで!」が浮かびましたw

私的には、性被害に至る手口やガスライティングという言葉を知ることになったので勉強になった部分もありました。

まあ結論は、富豪になるには大抵悪いことしてる。
富豪になったら一般的道徳観も倫理観も吹っ飛んで(いや無いから富豪になれるともいえる)悪いことを平気でするようになる。
そしてこの人たち、誰も幸せそうじゃないな…ってことでしょうか。
う~ん、お金ない人間の負け惜しみみたいな結論しか言えないのが悔しいwww


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?