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本の虫による読書のススメ②

はじめに

お久しぶりです。読書のススメとして、今回も「古元素の中の人」が書かせていただいております。今回は第二弾!前回予告しておりました通り、「恋愛小説特集」です。前回同様、様々な観点から紹介させていただきますね。

また、前回紹介しそこなったけれど、これも!という作品も後方に記載します。最後まで是非お楽しみください。

①運命的かつ危険的な恋に酔いしれたい方へ

私が愛してやまない作家さんである島本理生さんと出会ったきっかけとなった作品です。映画版では有村架純さんと松本潤さんが主役を演じられてました。

この作品を読んでいて痛感したこと、それは「結ばれる相手は人生で最も好きな人」ではないことでした。大事であればあるほど、互いを蝕んでしまう。どうしようもなく相手を求めてしまう。けれど相手は既婚者だった。そんな二人を描いた話。

私はこの本で初めて「濡れ場(ラブシーン)」を読みました。私はそれまで、ラブシーンのイメージは「妖艶で生々しい」でした。島本さんがこの作品を通して描くそれは、切実で繊細で、美しい。それはラブシーンに留まらず、作品全体を通して感じたことでもあります。恋愛に関してのみならず、島本さんの文体に出会わせてくれたこの作品は、とても大切な一冊です。映画版も載せておきますね。

②名前のない関係の重要性を知りたい方へ

この作品の主役となる二人は、「恋人」ではありません。タイトルは「男ともだち」ですが、彼女たちはそれを超えているように見えます。主人公である神名葵の恋愛事情を聞き、落ち込んだ時は笑い飛ばしつつ慰めるハセオ。互いに「恋愛」と「友情」を完全に割り切った、ドライな二人だからこそ続く関係のように感じます。そんな二人の関係を追いたい方は、是非。

③非現実の世界で描かれる「愛」に触れたい方へ

今月文庫版が出たばかりのこちら。非現実的だけど、愛がある短編集です。好きな人の体の一部を捥いで、大切にする話。運命の人に出会った瞬間、身体の一部に花が咲く世界の話。などです。その中で、唯一現実世界の話があります。「愛のスカート」です。昔の好意を思い返しながらも友情のふりをする女性美容師の姿は、何度読んでも涙が溢れます。是非。

④好きな人に強大な好意を抱いている方へ

好きになった人には、好きな人らしき人がいる。目下叶わない恋。そんな恋に対して、主人公は冷静に、かつ情熱的に、愛を伝えます。その愛の伝え方がとても生々しくも、全く共感できなくもない。作者の綿矢さんはそれをあっさりと描きます。生々しくもあっさりとしている文章、綿矢ワールド全開の作品です。是非。

前回補足 肝試しをしたい方へ①

前項までが「恋愛小説」特集となります。そしてここからが、前回書き忘れた!と後悔に苛まれた作品です。2つ紹介しますね。

ここまで魂が揺さぶられる短編集は初めてでした。タイトルの由来、表紙のイラスト、全てが内容を意味します。気持ち悪いと思う方もいると思います。しかし同時に、とてつもなく共感できる方もいると思います。そういう意味で、皆さんに「肝試し」をしていただきたいのです。私自身、巻末の作品を読んで、とても共感しました。私だけじゃないんだ。そう感じました。考えてみたら、『正常は発狂の一種』ですもんね。

前回補足 肝試しをしたい方へ②

昨日読んで、「辻村さんは私のためにこの作品を書いてくださったんだ」と痛感した作品です。言った側としては「些細な発言」だったのかもしれないけど、言われた側にとっては「一生残る傷」であることがよくわかる作品です。ある人には全く理解できない作品かもしれません。ある人には共感できる作品かもしれません。そしてある人には悔い改めるきっかけとなる作品かもしれません。それは皆さんが歩んできた人生次第です。

おわりに

ずっと下書きに残していた投稿です。楽しみにして下さった方、お待たせして申し訳ございません。これを読んで、是非読書を楽しまれてください。次回は私自身も楽しみにしている「古元素イチオシ作家特集」です。皆さんもこうご期待!(自らハードルを上げすぎてしまった)

私の文章を好きになって、お金まで払ってくださる人がいましたら幸福です。