ソムリエ試験のその先の勉強のこと
どうもこんにちは、よねづです。
今日はソムリエ試験に合格した後の勉強方法について思うところを書いてみようと思います。
僕が意識して実践していたこともありますし、最近になって「こういう勉強方法もあるな」と感じたこともあります。
これを読んでくださったあなたに少しでもプラスになればうれしく思います。
では、そっそくですが本題に入っていきましょう。
そもそもソムリエの仕事ってなに?
まず大前提として、ソムリエである前にサービススタッフであることが非常に大切であることを忘れないでください。
自らのお勧めしたいワインを売るのではなく、お客様が飲みたいと思っているワインをお勧めする。
当たり前ですが、これが一番です。
その中でお客様が求めているモノ以上の提案をすることもあります。
僕、ソムリエってタクシーの運転手さんに似ている部分もあると思うんです。
その職に就くことは、そんなに難しいことではない。きちんと勉強すれば取れないことはないんです。
でも、そこからがスタートで、選択肢を増やすためにいろんな道を知らなくちゃいけない。
いろんな道を知ってもお客様に「この道で行ってください」って言われたら、その道で行く。僕たちの意思よりもお客様の満足感が優先されますから。
優先されるんですが、あえて違う提案をすることもあります。提案をしないこともあります。
その提案をする/しないはお客様との関係性や信頼度で変わっていきますし、信頼度が高ければすべてお任せしていただけることもありますよね。
お店のワインリストを完璧に把握しよう
まず、今日からできることから始めましょう。
いま働いているあなたのお店には何種類のワインがあるでしょう?
20種類?50種類?ワインを推しているお店なら100種類を超えるお店も、高級店なら1000本のストックがある場合もあるでしょう。
ところで、自店のワインリストをどれくらい正確に把握できていますか?
産地、生産者、品種。
イタリア・ヴェネト州、モンテトンド、ガルガーネガというところですね。
これは覚えていて当たり前の、知識以前のレベルです。
だって、ラベルに書いてあるようなことをお客様から訊かれて答えられなかったら、ちょっと恥ずかしいですもんね。
まずはこれを完璧に把握しましょう!
次は栽培、醸造、熟成の方法です。
ペルゴラ仕立て、バリックで熟成、などなど。
これはカタログやインターネットで調べればある程度は探せると思います。
調べているうちに土壌のことや天候のことなど、わからないこともたくさん出てくるでしょう。覚えるのも大変でしょう。
でも、ソムリエ試験に合格できたあなたなら、だいじょうぶ。
見たこともないメドックのグランヴァン、60本おぼえられたでしょう?
今度は目の前にある、いつも扱ってるワインですから覚えるのは簡単そうですよね。
さて、そのワインの情報がわかったら、次はもっと掘り下げていきましょう。
ヴェネト州、だけではなく、ヴェローナ県、コムーネはサンボニファーチョ。
ヴェローナって、どんな街なんだろう。
伝統的な食事は?気候はどうだろう?文化は?歴史は?
ソアーヴェって、どんなワインなんだろう。
格付けは?生産量は?味わいの傾向は?
調べられることは無限にあるのです。
これを50本のワインリストで完璧にやるとなると相当な時間と根気が必要になると思います。
でもこれだけ調べられたら、それなりの量の知識は身についているでしょう。
(これ、料理人の方も同じだと思います。カルボナーラでもヴォンゴレでも掘り下げようと思えばどこまででも、です)
味覚のズレを認識しよう
2次試験の直前、かなりのワインをテイスティングしましたよね。
今も試飲すればある程度そのワインの特徴がつかめると思います。
ですが、それってあなたの感覚なんです。あなたの味覚なんです。
あなたが渋いと思うもの、あなたが甘いと思うもの、あなたが酸が強いと思うもの、お客様は同じようには感じませんよね。
はっきり言ってしまうと、あなたのおいしい/おいしくないという感情は仕事には必要ないんです。
必要なのはお客様がおいしいと感じるかどうか、です。
いやお客様の味覚なんてわかんないよ。って思いました?
でもこれを想像する必要があるんです。
じゃあどうしたらいいのか、ですが、
聞けばいいんです。
僕の場合は、新しく仕入れたワインなどがあればその場でスタッフに飲んでもらって感想を聞いたり、プライベートで飲むときに同伴者に感想を聞いたり。
これは今でも続けていますが、そうすることで自分自身の味覚や嗅覚の癖が少しずつ分かってきます。(ちなみに僕は生臭さを感じにくいようです)
同時に、お客様の年齢・性別・体格などによっても大まかな好みの傾向が見えてきますので、それを基に想像していく、というわけです。
少しずつ積み重ねて、自分とお客様の味覚のズレをしっかり認識していきましょう。
雑学王に、おれはなる!
いえ、そこまで気負うことはないんですけどね(笑)
ここまでさんざん書いてきましたワインの知識も、味の感覚も、お客様にとっては
どーーーーでもいいんです。
ワインについて100のことを知っていても、お客様にお話しすることって、たぶん3つか4つです。
場合によっては何も伝えられないこともあるでしょう。
でもそれでいいんです。
ワインについてアレコレ知りたい方は、こちらからお話ししなくても聞いてきます。
聞かれたことに対してほんの半歩ぶんだけ、先をいく。
これくらいでいいと思っています。2歩も3歩も先をいってしまうと置き去りにしてしまいますからね。
ですので、ソムリエ試験合格後の今のタイミングで改めて初心者向けの本を読みなおすのもいいと思います。
専門的な勉強をしていない方が気になるポイントは、そういった本に書かれているでしょうから、説明の参考になることは多くあります。
また、書籍でいうと僕は試験勉強が終わってからは軽く読めるエッセイを読み漁っていました。
職場がイタリアンということもあり、書店でタイトルに「イタリア」「ワイン」とある本は片っ端から集めていましたね(4年以上たってまだ読み終えていないものもありますが。。。)
フリードリヒ2世とかマキャベッリとか、イタリア史に関わってくる人のものも。
そこで得た知識がすぐに役立つかと言われると難しいところですが。
でもこれから先の勉強はそういう部分が増えてくるのではないかなぁ、と思います。
あと、映画も、ですね。
「SIDEWAYS」「SOMM」「MONDO VINO」など直接にワインが中心のものだけではなく、です。
ちょっと古くは「失楽園」もワインが出てきますし、最近のものなら「逃げ恥」もアイスワインが話のなかでキーになっていましたよね。
そうした情報にもアンテナを張っているとお客様との会話のきっかけになるかもしれません。
専門用語は使わない
テレビ番組なんかではよくワインの専門家が難しくワインの解説をしていますが、僕たちのお客様は本当にそれを知りたいのでしょうか?
たぶん、おいしい/おいしくない、好き/嫌いが分かればそれで充分だと思うのです。
なので、教本に書いてある難しい用語を、できる限り自分の言葉で簡単に伝えれるように置き換えていきましょう。
これについては僕もまだまだ実践途中なので具体的にこうするといいですよ、ってことがお伝えできないのがもどかしいのですが、、、むしろいい方法があれば教えてください!笑
このnoteを書こうと思ったきっかけ
さて、最後になりますが、このnoteを書こうと思ったきっかけを少しだけ。
僕がいま働いている会社は6店舗運営していてスタッフが全部で100人弱いまして。
嬉しいことに2019年、2人のスタッフが見事試験に合格したんです。会社としては4年ぶりに。
今まで統括ソムリエとして勉強会をしたりワインリストを作ったりはしていたのですが、後輩ソムリエができたのは僕も初めて!
バッジが届いて、「これからは1年生とか5年生とか関係なく、お客様からは”ソムリエ”として見られますよ~」なんて脅して(?)いたのです。
で、年末年始の繁忙期も落ち着いてきて、聞かれたんですね。
「合格してからどういう風に勉強してきましたか」って。
その時は、いろんなワインをきちんと考えながら飲むことですかねぇ、くらいのことしか答えられませんでした。
そんなタイミングで、たまたま同業の知り合いにも同じようなことを質問されたんです。まぁ、考えることは皆だいたい同じなんですね。
たしかにひたすらにゴール地点を目指して勉強することが明確な試験勉強に比べると、ソムリエとしての勉強はなにから手を付ければいいかわかりにくいですよね。
でも結局は、ソムリエである前にサービススタッフである。これに尽きると思うんです。
いま目の前にいるお客様に対して真剣になる。
そうしているうちに「あなたが選んでくれるワインならなんでもいいよ」なんてありがたいお言葉をいただけるようになっていけますよ。
大丈夫。
今日を精一杯楽しんでいきましょう。
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