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アルバイトの時に知った「売れる」という究極の形。お客さんと楽しみながら関わる新しい形はSNS。

洋服屋さんの常套句。「よかったらご試着できますよ?」

これを言うと相手も身構えることを知っているのに、定番のように使われるセリフ。

だが、言わねば。

言われたこちら側も笑顔で言ってくれるだけに断るのも申し訳ない気がする。

だが、断る。

服は自分で選びたいし、人見知りだから。

そんなやり取りをしていると思いだすのが22歳の時の出来事。

SNSなんてなかった時代だけど「ご試着できますよ」というセリフはすでにありました。

今思えばあの時ボクはこう思っていました。
 
「似合うものは勧めてるけどそんなに買わなくても良いのに」って。

あれはボクがまだ若くて、洋服屋さんでアルバイトしていた頃。
 
親友のコウスケが服を買いにきた。

コウスケは洋服に無頓着なタイプ。

スポーツが得意で力もそこそこ強くて。ゲームが好きで、漫画も大好きで。その辺がボクと合うところ。
 
同じラグビー部で、FWの要ナンバーエイトでキャプテンでした。

二言目には「めんどくさい」って言う奴で、今もSNSはやってないし、多分これからもやらないと思う。
 
そんなコウスケがある日曜日に彼女と2人、ボクがアルバイトしていた洋服屋さんに突然現れた。
 
「おう、服買いに来たぞ」って。
 
「いや、うちセレクトショップだし、ブランド物も多いから高いよ?」って伝えたけど
 
「こんなんないのか?あんなんないのか?」ってボクの話を無視して聞いてくるからコウスケに似合いそうでサイズが合いそうな洋服を紹介しました。
 
コウスケ「じゃあそれと…」
 
ボク「え?試着しないの?」
 
コウスケ「え。めんどくさい。あとズボンは?」
 
ボク「あーパンツ?パンツは…」
 
コウスケ「いやパンツじゃなくてズボン」
 
ってコントみたいな話が続いてTシャツ2枚、パンツ、アウターを買ってくれた。お会計は4万円近く。
 
「ボーナス入ったから」って言ってたけど洋服に無頓着なコウスケは初めてTシャツ1枚に5,000円を出したと思う。
 
「似合うものは勧めてるけどそんなに買わなくても良いのに」ボクはそう思っていた。
 
「お前のところだから買いたい」「あなたから買いたい」
 
実際に声にしたわけじゃないけど、そうしてもらえていることのありがたさに当時のボクは気づいていなかった。

こんなことがあったおかげかどうかはわからないけど、ボクはこの月の売上目標400万円を突破した。

何度も言うようだけど、洋服に無頓着なコウスケがたくさんの洋服を買ってくれた理由はたったひとつ。
 
ボクのことが好きだから、もしくは信頼してるから。
 
それしかないんです。
 
もしこれが初めて話す洋服屋さんのスタッフから同じものを同じだけ買ってくれたのか?と考えたらボクには疑問が残る。
 
友達って本当にありがたいと思う。
 
こういう風に伝えると「友達に売りつけるのかよ?」と言う方も出てくるかもしれませんが、多分コウスケは売りつけられたなんて1ミリも思っていないと思います。
 
そもそも洋服に興味がないんだから、来てくれと言った覚えもないし、買ってくれとも一言も言ってない。
 
もちろん、売りつけようなんて他のお客さんにだって一回も思ったことないですしね。
 
服は何でも良かったんだと思います。友達がいて、そいつが勧めてくれて、自分も気に入ったから買っただけ。

「お前のところだから買いたい」「あなたから買いたい」
 ボクのことが好きだから、もしくは信頼してるから買う。

これってマーケティングとかそういう話じゃなくてシンプルにモノが売れる形だと思うんです。

それだと属人的なサービスや組織になる? 当たり前じゃん。

ボクはサービス業ってのはそういうもんだと思ってます。
 
機械が作ってくれた料理を食べるってのは、コンビニ弁当を食べるのとさほど変わらない。

レストランでわざわざ酒屋より高いワインを頼むのは、そのソムリエに選んでもらうということも価値のひとつだから。
 
現にボクが洋服屋さんを辞めた後コウスケには「どこで服買えばいいんだよ!」って怒られました。

これはボクがいなかったら行かなくなるということです。


**商品の違いだけで選ばれているから価格の差でしか他との商品との違いがわからない。 **

専門知識は必要だけど、バイトなんだから専門家としてスペシャリストすぎなくても売れた。

絶対に行かなかったお店なのに来て買い物をしてもらえた。

売れた理由は”人”でした。
 
自分で選べるものは別として、これが欲しいと思った時に「あぁ彼(彼女)がいたな」と脳内ランキングに入っているかって大切ですよね。

そして脳内ランキングは「どれだけ関わったか」でいつでも入れ替わるからコミュニケーションが大切になってくる。

お客さんと楽しみながら関わるためのツール、それがあの頃にはなかったSNSの可能性だと思っています。
 
一線ひいた客としてじゃなく、友達を作る感覚です。知り合いよりもう少し先の。

もっと言うと家族よりもコミュニケーションしてる人にもなれるツール。

それがSNSではできますよね。

声で伝えるのと文で伝えるのでは手段によって印象が違います。

「好きです」という言葉も

直接言うのと手紙を書くのとメールやLINEで送るのでは印象が違うでしょう。

片想いも告白してはじめて「伝わる」

常套句も手段を選べば必要な人に届き、必要じゃない人にはそれなりなものになるしね。

試着できますよ。そう書いておくか、SNSで試着しに来てくださいね〜って言っておいてくれたらいいのに。

あなたはどんな手段で誰に何を乗せて届けますか?

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