「気づかい」や「所作」、「モノに対する想い」は仕事の質に出る。
”細かいところが気になってしまう。ボクの悪いクセです。”
ドラマ「相棒」で水谷豊さん演じる杉下右京のいつものセリフ。
特命係と名づけられながら、捜査権を持たない窓際族。
でも杉下警部はその観察眼と推理力で髪の毛ほどの少ない手がかりから、建設的に1つの仮説を立て真実にたどり着き、事件を解決していきます。
相棒役はシーズンによって変わりますが、杉下警部はワトソンと活躍するシャーロックホームズのようで、刑事コロンボのような抜け目なさもある。
博学かつ細かいところに目が届き、凜とした紳士的なその姿がボクの目にはとてもカッコ良く映ります。
細かいところと言えば、ドイツのモダニズム建築家、ミース・ファンデル・ローエをボクは思い出します。
華美な装飾は好まず、デザインや機能、構造に至るまで、シンプルに細かいところに命を吹き込んでいった建築家です。
ボクは彼のデザインが好きで、建築科の学生だった頃、彼の真似をしてマンションの設計の製作をしたこともあります。
ミースは数々の標語を残しています。その1つに
『God is in the detail』神は細部に宿る
という言葉があります。
ボクが旅館に勤めて和室での立ち居振る舞いの研修をしている時です。
襖の開け方や、畳の上での歩き方、抹茶の立て方など、お客さまにお部屋の説明をするところからお茶を淹れるところまで。
ひと通りの所作を習い、先生をお客さまに見立てての試験が始まりました。
体の動きに特段難しいことはなかったので、頭の中で習ったことを繰り返し唱えました。
「襖はいきなりスーッと開けるのではなく、一度、引手(取っ手)に手をかけ、3cmから5cmほど隙間を開け、引手と床の中間から少し下がったところの隙間に手を入れ開ける…」。
「失礼致します」とまず襖を5cmほど開けました。
そこに手を入れたその時
「はい、やり直し」と隙間から矢でも飛んできたかのような凜とした鋭い声。
何がまずかったのかよくわからず返事をして襖を閉めました。
「はいどうぞ」と襖の向こうから今度はくぐもった先生の声。
「失礼致します」とさっきよりは少し大きい声で5cmの隙間を作り、手を入れた時リプレイされる声。
「ねぇ、何が悪いかわかる?」
そう聞かれても、わかっていたらこんなに心臓はドキドキしないし、汗はかかない。
「指よ、指。”どうぞ”と言ったらそちらを見るでしょう?その時に入ってくる指が曲がってたり開いていたりしたらカッコ悪いでしょう?」
「綺麗なロビーを通って、賑わいのある廊下を通って、部屋に入ると目の前に広がる湖。このホテルへの期待が最高潮の時、その次がその指なのよ?この意味がわかる?」
ボクとした事が…迂闊でした。
お客さまが抱いている期待をボクの指が壊してしまうことを知りました。『神は細部に宿る』ことを知った体験でした。
ボクはそれから反省しました。
些細なことかもしれないけど、”それ”が、そのたったひとつが全てを無にしてしまう。
”それ”はお客さまが見ていないところにも潜伏しています。
例えば入荷されたワインをボクが雑に扱っていたとしたとします。(もちろんボクはそんなことしませんが)お客さまの前に立ってサービスをする時に、”それ”は必ず出ます。
レストランで開店前にセッティングをする時、お皿やグラスなどを音を立てて置くと、”それ”は必ずサービスに出ます。
バックヤードだから、見えないからといって、自分たちの商品や使っているモノを雑に扱うということが仕事の質に出ると思っています。
こうは言っていますが、ボクが完璧だということではありません。だから自戒を込めて書いています。
「気づかい」や「所作」、その「モノに対する想い」というものは細かいところに出るものだということをお伝えしたかった。
見ていない、見えていないかもしれないけど、普段から気をつけていないと、出てしまう。いいことも悪いこともです。
『神は細部に宿る』というのはこういうことなのではないでしょうか。
杉下警部は完璧に見えます。
身につけているものも、所作も、モノへの敬意や気づかいも忘れない人です。
そういったところもボクが『相棒』を好きな理由です。
最後に、もう一つだけ。
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