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OTK酒場の純度は高い

【呑屋日記 2022.12.15】
紫に輝く頻伽のドアからひょっこり顔を出し、
「ママー、向かいのまつさんで牡蠣食べてから後で寄るねー」とHさん。
「はいはーい、行ってらっしゃーい楽しんで〜」と手を振る私。


思えばジョージアの画家や映画のことを色々教えてくださったのはHさんだった。

ときどき阿佐ヶ谷に来ては美味しいものを食べたあとクヴェヴリ製法のワインを楽しんでくれている。


そう、アンバーワインは食後酒に最適なのを彼女は知っている。


Hさん今日は生牡蠣と何を食べてくるのかな?と想像しながら待っていると扉が開き
「ママー、ふろふき大根がめちゃくちゃ美味しかったー!」
と顔から満足度がこぼれていた。


美味しかったものを語るのも聞くのも大好き。

居合わせたAちゃんと私はよだれまじりにうわ〜美味しそう〜また行こうねと決意。

ひと手間かけて仕上げた素朴な和食を食べると元気が出るもんね。


「あ、そうだ、Aちゃんの長野土産のりんごバター、このチーズにかけたら最高だと思うんだけど」


カウンターで女性二人がハスカップジャムやりんごバターを那須のチーズにかけて楽しんでいる。

いただいたお土産をいいタイミングでシェアできて私も嬉しくなる。


飲食業のプロフェッショナルなカップルが久しぶりの2ショットであらわれ、頻伽キーホルダーを作ってくれたデザイナーのKちゃんと、ケテヴァンの桃色のワインで乾杯。


ケテヴァンのインスタを3人に紹介しながら、ジョージア・アルタヌリ村での自然、ファッション、音楽、芸術、居住空間、ファンキーでアーティスティックに生きるカッコイイ女性たちの日常をお見せしながら、彼女たちが醸造した純粋なワインをみんなで堪能していた。。。。

すると、勢いよく扉が開き、レコードコーナーへまっしぐらに突進するある老舗の社長さん。

このかたほんとに裏表がなく無垢でかわいい音楽大好き人間。
私と一緒で好きなことの話が止まらなくなる。


「わーピンクフロイドもある、わっシドバレットの2ndも持ってたんだ!」

「もーぉいいからS田さん、それよりお酒は何飲むの?」

「私のみすぎましてね、もー大変なの、お水ください。あ、それじゃ悪いからアランの水割りも一緒に」

「もーぉ、奥のソファを一人で使っていいから酔いを覚ましたら」

「どうもありがとう、それよりママさん、UTOPIAのSwing to the Rightのレコード持ってきてくれた?」

「探すの面倒で忘れたわ」


オタク五十路男女のドタバタなやり取りをカウンターの若者達がコントを見るかのようにうけている。


「みんなごめんごめん、奥で休んでもらうから気にしないでね。」

とようやく静かになったと思ったらレコード棚からYesのアルバムを取り出し、ねぇママこれかけて!と背後にいる。


一同爆笑していたが、
レコードの針を落とし
音が鳴り出した途端、


「あ!!ジョジョだ!!」とアヤカ。

「ヴィンセント・ギャロのバッファロー'66もこのアルバムから曲使ってたよね」と私、キミカが即反応。

思いもかけず20代、30代の若者たちも喜んだ展開になり、

「S田さんグッジョブじゃん。たまにはいいことする」


軽口叩いても彼はレコード屋の餌箱漁りの手の動きに専念していて
聞こえない。聞こえていてもスルー。


この素直な無邪気さ、もはや貴重。
たまには私が情報量浴びせられる側になるのも新鮮。

我らはウソがなく純度が高いのです。


出張で東京に来た時はわざわざ寄ってくれるS田さん。

今ホテルがとれないらしく大塚でようやくホテルがとれたそう。

酔ってよろけて頻伽の古い扉を壊されないように、
S田さんでなく扉を守りながら送り出す私。
またね。










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