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待ち焦がれた春

氷点下で過ごす日々とはさよならだ。
ここ最近ストックホルムの気温は上がっていて、4 ~ 5℃くらいになってきた。急に気温が落ちて雪が降り出すこともあるが、陽だまりに入るとそれだけでぽかぽかする。ダウンを着ているとちょっと暑い時もあるくらいだ。半袖半ズボンと薄着の人も増えてきた(さすがに半袖は寒いだろう…と思うが、きっと肌の感覚が違うのだろう)。
場所によってはまだ湖が凍っていて、犬が気持ちよさそうに走り回っている姿も見る。
「いつ割れるか分からないし」とちょびちょびしか歩けない私にも、あんな無邪気な勇気がほしい。

スウェーデンに住んでいる人々は、太陽の出ている日には「この日を絶対逃すまい!」とばかりに外に出て光を浴びる。
冬の間はぽつんと寂しそうだった街中のベンチが、一気に大人気だ。
普通に座っている人もいれば、あぐらをかいて座っている人もいるし、寝転がっている人もいる。光がかなり強いので、サングラスをしている人も多い。
そうそう、サングラスはおしゃれの一つだと思っていたが(もちろんそういう人もいると思うが)、目を守るために必要なものだと今はよく分かる。

カフェの椅子も大人気で、みんな椅子を太陽の方向に向け、瞼を閉じて光を感じている。
そのカフェの商品を買っていなくても、皆普通に座っている。もちろんお店の人も何も言わない。なんならお店の人も、お客さんの流れが落ち着いていれば外でコーヒーを飲みながら光を浴びている。
太陽という一番のお客さんが来てくれているんだもの、そして椅子が空いているんだもの、それでいいのだ。

そして3月に入ってから、今まで閉じていたアイスクリーム屋さんが一斉に再開した(スウェーデンのアイス屋さんは、冬になると「また暖かくなったら会おうね!」という張り紙を出し、一時的に閉店するお店が多い)。
まだ肌寒い中、外でコートを着てアイスを食べている姿を見ると、アイスに対する強い意志さえ感じる。

みんなが待ち焦がれた春の訪れ。
ここから6月のミッドサマーの季節までがスウェーデンに住む人々が何よりも楽しみにしている明るい時間だ。街にはイースターエッグも出始めている。
だんだんと花が開く気配。なんとなく霞がかった空気。
ぼんやり、もやもや、やわらかな、なんとなくひらがなを使いたくなる季節。
さあ、陽だまりを探しにいこう。

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