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地域の未来への種まき:ナナイロファームの農と暮らしの市

次の記事は、2023年度 高梁川流域ライター塾の修了課題記事です。インタビュー動画をもとに記事にしたものです。

9年前、岡山県笠岡市有田で農業を始められた「ナナイロファーム」の代表伊木さん。

「農業者と消費者、様々な人々との結びつきを築く架け橋となりたい」。

このような思いから、ナナイロファームの意味は人々の絆が織りなす結びつきは多彩な色を持つ虹のようであることから名づけられました。

農園を始められた経緯と今後目指すものについて、お話を聞きました。

1. ナナイロファーム開業の道のり

伊木さんはナナイロファームを始める前までは、友人と飲食店を営んでいました。使っていた野菜は、意外にもスーパーで購入していたものだそうです。

お店の隣には、おばあちゃんが野菜を作っていた畑がありました。おばあちゃんから、何度か野菜をおすそ分けされ、その野菜の衝撃的な美味しい味に感激し、自らも農業に強く興味を抱くようになったのです。

農家で栽培された野菜を食べて、伊木さんご自身が感激した経験から考えをめぐらせ、男性の嗜好をターゲットとした野菜を作る目標を抱くこととなりました。

2. 有田商店とナナイロファームの原点とは?

ナナイロファームの原点とは、伊木さんの「食べることが好き」にあります。

有田商店は、伊木さんと地域の素材を大切にする仲間であるお菓子店・pasión (パシオン)の山脇さんとの連携により誕生しました。

5年前、伊木さんが直売所を始めた頃から、山脇さんは何度も足を運んでくれました。そこで、山脇さんが「小さな子供向けにお菓子を作りたい」という話を聞きます。この時の会話がカギとなり、有田商店が誕生するきっかけとなったそうです。

有田商店の商品コンセプトとは、小さな子供から大人まで、野菜嫌いな方でも楽しんで食べられる商品を届けることであり、その「想い」を現在も追及しています。

3. ナナイロファームの魅力の主力商品

ナナイロファームが一年を通して誇る主力商品は、なんといってもトウモロコシ。2023年の夏は15,000本ものトウモロコシを栽培しました。

秋に向けての新たな挑戦として、男性に人気のある野菜、さつまいもの栽培にも力を注いでいるそうです。

また、ナナイロファームでは変わり種の野菜も手がけており、イベント出店で見たことのない野菜に興味を持つお客さんも。

スティックセニョール、セロリ、スイスチャードなど、茎が美味しい野菜に焦点を当て、品種選びにこだわりながら、10種類以上の珍しい野菜を生産しています。これらの野菜は、食卓を彩り、新しい食の体験を提供しています。

4. 笠岡地域の絆を育む秋のイベント

2023年11月に開催された「農と暮らしの市」は、5月に続き2回目の開催です。このイベントのテーマは、「農から始まる豊かな暮らし」笠岡を含む近郊の農の魅力を伝えることです。

まさに、農家と消費者のふれあいや素朴な疑問に応える場として、農業の理解を深め、地域社会の絆を築くイベントです。

一方で、笠岡で農業を続けていく中、地域の周りを見渡すと農業を廃業される先輩の姿を多く目の当たりにしてきたそうです。

辞めた先輩農家さんの土地が、耕作放棄地になりイノシシのすみかになってしまう側面があります。

この課題に対し今後は、有田商店として6次産業*を展開し、新たに農業を始めたいと考える仲間を増やすことを目指しています。

そのため、「農と暮らしの市」というイベントは、人との出会いコミュニケーションを深めるうえで大切な場所です。

*「6次産業」とは、農林漁業などの1次産業が、自分たちで加工や販売などの2次産業や3次産業も行うことで、新しい価値を生み出す取り組みのことです。

5. おわりに

伊木さんの農業の道は、人と人との出会いから紡ぎ出されてきたものでした。願いは、再び農業が地域社会に根付き、「地域の魅力」を引き出すことです。

現在は、耕作放棄地を再活用して地域の農業を盛り上げる活動にも取り組んでいます。伊木さんは、人との出会いから得た経験を通じて、農業に対する熱い思いを抱き、今も笠岡地域全体の活気を生み出すよう活動に情熱を注がれています。


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