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自治体DXについておさらい

自治体DXとは、自治体がデジタル技術を活用して行政サービスを効率化し、市民サービスの質を向上させる取り組みです。近年、新型コロナウイルスの影響でオンライン化が急速に進み、自治体DXの需要が高まっています。今回の記事では、DXや自治体DXに興味がある方(自分も含めて)に向けて、基本的な知識や自治体DXの課題、自治体DXの中身を簡潔に解説します。

1.DXとは

「DX」とは、「Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション」の略称を指します。日本語に直訳しますと「デジタル変革」という意味です。

DXは、ビジネスのあらゆる分野にデジタル・テクノロジーを統合することであり、業務の方法と顧客への価値の提供方法を根本的に変えることを可能にします。

経済産業省が令和2年12月に公開したDXレポート2.0(中間とりまとめ)では、企業が組織の成熟度ごとに具体的なDXを設計できるように3段階に分けています。

DXを、アナログデータをデジタル化する「デジタイゼーション」、業務プロセスをデジタル化する「デジタライゼーション」、「デジタルトランスフォーメーション」と3段階に分けられています。

出典:DXレポート2.0(中間とりまとめ)より抜粋

上記のDXの構造は、DXレポート2.0でも指摘されるように、インダストリー4.0 等で定義されている構造と同一の考え方であります。世界的に共通に認識されている定義とされています。

2.自治体が抱える課題

全国の自治体が抱える、代表的な課題は下記の3つです。

  1. 地方公務員が減少している

  2. アナログ作業が残っている

  3. デジタル人材が不足している

地方公務員の減少の現状については、総務省のホームページ記載の「地方公務員数の状況」で詳しく知ることができます。

令和4年4月1日現在、280万3,664人で、平成6年をピークとして対平成6年比で約48万人減少。対前年比は、3,003人の増加。

総務省:地方公務員数の状況

減少の要因には、地方自治体の行政改革による定数削減、実際に公務員になろうとする担い手の減少、市町村の合併があります。過疎化が進む小規模地方自治体にいたっては、担い手が継続的に出てくるのか憂慮されています。

アナログ作業と呼ばれるものの中には、どうしても一手間、二手間と作業がかかるものが存在します。例えば、お役所の現金払いの窓口業務や押印が必要とする書類業務、FAX業務などがあります。

今日、日本においてはデジタル人材不足ひいてはIT人材不足が、自治体レベルにとどまらず、2025年の壁を前に日本全体において43万人のIT人材不足に至る懸念があります。(参考:D X レポート . 経済産業省

3.自治体DXとは

自治体DXを推進する背景には、新型コロナウイルス対応により自治体の部署間でのデータが十分に活用できないことなど、さまざまな課題があったからです。こうしたデジタル化の遅れに対して、DX施策による変革が求められました。

自治体にDX施策を取り入れるうえで骨子となる考え方については、総務省で紹介されている自治体DX推進計画にて下記のように明示されています。

自治体においては、まずは、
・自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、
住民の利便性を向上させるとともに、
・デジタル技術や AI 等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていくことが求められるとともに、DX を推進するに当たっては、住民等とその意義を共有しながら進めていくことも重要となる。

自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第 2.0 版】

また、自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画の対象期間については、2021年1月から2026年3月までとなっています。

4.自治体DXの基本的な施策例

自治体DXについては、種々の施策が既に全国の自治体で実践されています。
自治体と国が協力して進めている主な事項・内容につい て以下の分類に基づき、簡単に紹介します。

(1)自治体の情報システムの標準化・共通化

これまでは、住民基本台帳や税務などの分野に係る情報システムについて、地方公共団体毎の個別の事情により、カスタマイズされる背景がありました。団体間の情報システムに差異が生じ、クラウド上の共同利用による利便性にも影響を与えていました。

各自治体に対して、令和7年度(2025 年度)までに国が定めた業務を標準仕様に準拠したシステムへ移行することが決められております。

(2)マイナンバーカードの普及促進

マイナンバーカードはデジタル社会の基盤となるものとして、国はマイナンバーカードを普及させることを目指しています。

デジタル社会の基盤として活用していくため、その用途の充実や、それを利活用した取組への支援強化が推進されています。

マイナンバーカードの現在および今後の利活用される事例

  • 健康保険証としての利用 (*導入済み)

  • 公金受取口座の登録

  • 運転免許証との一体化

  • 在留カードとの一体化


(3)自治体の行政手続きのオンライン化

国民側の目線に立った行政サービスのデジタル化、デジタル・セーフティーネットの構築により、手続きを行う国民だけではなく、行政の事務を担う職員負担を軽減すること期待されます。

マイナポータル機能を活用した、転入・転出手続きや子育て・介護に関連する手続きといったオンラインサービスが既に自治体で導入が進められています。

(4)テレワークの推進

テレワークは、情報通信技術を活用した時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方を指します。ライフワークに合った多様な働き方を実現することができます。

テレワークのメリット

  • 通勤・移動時間や交通費の削減等

  • 非常災害時の事業継続

  • UJIターン・二地域居住や地域での企業等を通じた地域活性化


(5)自治体の AI・RPA の利用推進

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、パソコン上の事務作業を自動的に処理するロボットに例えた言葉です。RPAは、マクロ機能だけでは自動化対応が難しい業務に対しても、比較的に低コストかつ短期間で導入できるという特徴があります。

AIとは人工知能という意味を指し、国や自治体はAIと基幹系システムと連携したサービスの導入を目指しています。

(6)セキュリティ対策の徹底

自治体における情報セキュリティ対策とは、主に情報システムのセキュリティ強化を目的とした三層分離モデルの導入を指します。
三層分離とは、インターネット接続系とLGWAN系*1、個人番号利用系の3つに分けることを指します。

*1 LGWAN:「Local Government Wide Area Network」の略で、地方公共団体を相互に接続するネットワーク

また、各自治体の自治体情報セキュリティクラウドにおけるセキュリティ水準の引き上げるための施策も進められています。

おわりに

今般の自治体DXの施策においては、各都道府県・自治体において先進事例となる結果がでたもの、取り組み中のものが多々あります。

DX初心者で、自治体DXの事例や基礎知識についてさら詳しく勉強されたい方は、総務省や経済産業省のホームページでしっかりまとめられていますのでぜひチェックしてみてください。


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