ステーブルコインの行方、日本を含めた諸外国政府などの動向
ちょうど、暗号資産やステーブルコインについて興味を寄せて勉強していたさなか、5月のUST騒動があったことから、勉強・情報収集も兼ねてステーブルコインの行方や各国の規制はどうなるのか簡単にまとめました。
UST騒動について簡単におさらい
2022年5月9日以降、2022年4月末時点で3番目の市場規模を有していたス
テーブルコインのひとつ無担保型「テラUSD(UST)」が急落。
USTの場合、裏付けとなっているのが法定通貨ではなくルナ(LUNA)という仮想通貨だった。「ルナ」との裁定取引を行うことで供給量を調整し、「1テラ=1ドル」に価値を安定させようという仕組みであった。
米ドルとペッグ出来ない状況に陥り、4日間で価格が0.1ドル台まで落ち、それをきっかけに、ほかの暗号資産にも一時値下がりが広がった。
一方、法定通貨担保型のテザー等の価格は、一時下落したものの、総じて安定的に推移した。
テラはUSTの需要を生み出すために、アンカープロトコルを開発し、プラットフォーム上のUST投資家に20%近い固定金利を提供していた。
5月に入って、アンカーから大量の引き出しが発生したという情報がSNSで駆け巡り、それが投資家の相次ぐ引き出しにつながり、いわば取り付け騒ぎのような状況となったのが原因のようである。
ステーブルコインを巡る諸外国の動向
UST騒動を受け、諸外国や日本における、政府や金融をつかさどる行政機関がどのように見ているのか、対応を進めているのか調べてみた。
米国の動向
米国の規制当局は、この事件をきっかけに安定コインとその発行体に関するより厳格な規則の制定を進めており、イエレン財務長官は年内に法案を提出する計画を発表している。
EUの動向
EUは、2020年にデジタル資産を管理するためのEUの法的枠組みである暗号資産市場(MiCA)規制を提案した。22年春にはビットコインなどのPoW(プルーフ・オブ・ワーク)銘柄の一律禁止を図る条項が検討されたが、結果的には含まれなかった。
2022年5月5月18~20日にドイツでG7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁会議を開催された。フランスの中央銀行のトップ フランソワ・ヴィルロワ・ド・ガロー総裁は、これらの出来事は業界にとって警鐘であり、ルールを設定することが今必要であると述べました。
英国の動向
英国政府もこの度のUST騒動について重く受け止めているようである。
5月31日に英国財務省が、デジタル決済資産(DSA)企業の、破綻に対処する枠組みを定めた提案書を公開した。
その中で英国財務省は、ステーブルコインの重要性を強調する一方で、システミックな障害が発生した場合に金融の安定性に影響を与える可能性があることを指摘している。
英国財務省は提案書の中で、事態の対応、デジタル決済資産(DSA)企業の潜在的なシステミック障害に対処する主体として、同国の金融市場インフラ特別管理体制(FMI SAR)を適用することを提案している。
日本の動向
2022年6月3日、参議院本会議で暗号資産(仮想通貨)に関連する改正資金決済法が可決、成立した。
この法案のポイントは、ステーブルコインの規制や、マネーロンダリング対策強化の部分である。改正案は1年以内に施行される予定である。
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