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門下生作品講評【No.3】

◉川崎教室 水口ようこさん
『I’m soooo good!』

今回は、滲まない紙を使用しています。
画仙紙の中にも、滲み方のレベルが様々で、
たまたま、ようこさんがお持ちになっていた
この紙は、液体が吸い込みにくく、
表面に液体が溜まってしまうものです。

「先生、この紙ではダメですかねぇ…」

これがダメだ、というわけではありません。
水彩画のようなやり方でやれば
それはそれで独特な表現になります。

この紙の場合、
薄墨をたっぷり、どぼっと、紙に置きます。
表面張力で溜まります。
そこに、濃い墨を少し垂らします。
調節しながら混ぜたりします。
じわーっと滲んできます。

そして、ティシュなどで、一部分だけを
ギュッと吸い込みます。
そこが薄い色になって白くなります。

この特徴、やり方を伝えました。
「なるほどー!面白いですね!やってみます!」

そして、模様だけが出来上がった段階で
「先生、この真ん中(大きい模様の部分)を
どうにかして“imagine”に見せたいんですけど、
どうしたらいいですかね〜…」

いや、違う。

この作品の主役は、
この液体のスプラッシュ。
しぶきが飛び散っている躍動感と爽やかさ。
真ん中をimagineにしたらもったいない。
主役が死ぬ…

なので、下の部分に
飛び散っているしぶきと同じような大きさで、
尚且つ、しぶきをそのまま活かすために

「oとかpとか、丸が多い英単語を書けばいいんでない?」と伝えました。

しばらくスマホで英単語を探していましたが、
なかなかしっくりくるものが見つからず。

「したっけ、(北海道弁で、そしたら)
文章にはなっちゃうけど、
I’m soooo good! 、とかはどう?
丸いっぱい、わざとやるのさー」と言うと、

「それ、いいですね!」

そしてできたのがこの作品です。
そこにいた門下生たち一同も
「わー!可愛い〜!」と。

水彩画のような雰囲気なのと、
文字を小さく入れたので
可愛らしい印象になりますね。

ようこさんにとっても
新たな境地を見つけたようです。

何が主役か。
主役を活かすための、引き算。

そして、紙の種類でも色んな表現ができますね。
ちなみに、6/21〜23の私の個展@ギャラリー銀座、には
「ウォーターフォード」という水彩画用紙を使った作品も
展示してあります。
見たらわかると思いますよ。

2023.06.17 @神奈川県川崎

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