見出し画像

門下生作品講評【No.7】

◉北広島なごみ教室 鹿島すみ子さん
「天」※未完成。途中経過。

この作品の肝は、
左側の「にじみの世界」と
右側の「にじまない世界」との対比です。

左側はわざと滲むように
薄墨が乾かないうちに墨を書き入れています。
尚且つ、
背景の薄墨も2色使ってますし、
下の方は丸をいくつか重ねて模様にしています。

すみさんが拘ったのは、これです。


滲みの世界と滲まない世界の
“境界線”です。
見えますか?
薄墨が、境界線を作っています。
これがあるから、
2つの世界の違いがハッキリします。

「先生…この境界線を見せたいんですけど、
これ、乾いたら、消えますよね…?」

はい、おっしゃる通り。
これは、消えます。
濡れている段階で、この薄さ(この色)なら
乾いたら、消えます。

ご本人はこれまでの経験で、
「消える」とわかってる。
ここが、素晴らしい。

そしてしばらくして乾いたのを見てみると

うん、消えてる。
これだと、“境界線”の拘りが、弱い。

なので、
また次回、リベンジすることにしました。

薄墨の作り方、濃度は本当に難しいです。
乾いてみないとわからない、ところが
難しい。
でも、理想の濃度でできると、
理想の、綺麗な作品になります。

それと、言うまでもなくですが、
そもそも、すみさんの「紐持ち」のこの線は
素晴らしいです。
書き方、線の出し方は、これが正解です。

実はすみさんは、
鉛筆で写真みたいな絵を描く方なのと、
カメラマンの仕事もしていたので、
モノトーンの表現(光と影)や
構図はとても上手いなーといつも感心しています。
(2つの世界を表現する、あたりも、そういうことです。)

さて、薄墨のリベンジなるか。

2023.06.29@北海道北広島市

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?