見出し画像

門下生作品講評【No.2】

◉川崎教室 佐々木みどりさん
「うしろすがたのしぐれてゆくか 種田山頭火の句」

二色の墨を使ってインパクトのある模様をまず書きました。
使用したのは、なんと、ご自分の髪の毛で作った、
その名も「みどり筆」です。

私も使わせていただきましたが、 
とてもとても柔らかいです。
ピンと跳ね返る強さはありません。
似たような感触の筆で書いたことがありましたので、
(長長峰の羊毛筆です。毛が10㎝くらいあります!
このような柔らかい毛の筆の場合は、
毛の真ん中あたりに圧力をかけて、
横に滑らせて、引っ掛けて書きます

さて、みどりさん、
模様を書き終えた段階で
「先生、ここに文字を入れるとしたら
どんな風に入れたら良いでしょう…?」と。

模様ができたら、まず、360°くるくる回して、
どの方向に置くのが良いのか、をまず考えます。
「どこに黒の重さがあれば、落ち着くのか。
安心するのか。」を考えます。

私は、黒の重さは
「上、もしくは、左」が良いと判断します。
その理由は、書道からの流れです。
縦書きの場合、書き始めは上です。
墨をたっぷり含んだ状態で書き始めるのだから
上に黒の重さがきます。
横書きの場合も然り。
左から書き始める、からです。

私たち日本人には、どうやら
上と左に重さがある構図が落ち着くし
安心するようです。

なので、今回のみどりさんの場合も
この方向に置く事にしました。

では次に、どこに文字を入れるか。
よーく見ると、薄墨で細ーく下に垂れ下がっているような線が見えます。
私はこの線が「効いてる!」と感じました。
主役のどーーーん!と重たい部分を
引き立たせる、繊細なこの線。

この線に沿わせて、文字を入れたらいいな!
と判断したので、そのように伝えました。
尚且つ、全部ひらがなで。
可愛らしくぶら下がるように。
だんだん小さく。細く。
ここの文字は、「久美愛玩」で。

「先生、書きました…けどー…
なんか字が大きくなっちゃいましたー…」

はい、そうです、確かに、大きいです😅
この文字列の上の方に重さを持たせれば
なんとかリカバリーできるかな?と
思ったので、
「作者名をその文字列の上の方にくっつけて!」と指示しました。

うん!これで大丈夫🙆‍♀️!

「文字も、太い線細い線、ってやった方がいいですか?」と。
「いいえ、この場合は全部この細い線の方がいいです。」

この作品の主役は、あくまでも模様の部分。
なので、文字列でガチャガチャやると
模様が生きないので、これでOKです。
しかも、みどりさんの文字は、
それだけでオリジナリティのある形なので
太さ細さで、何かを足さなくても充分です。

おうちでもたくさん書いているみどりさん。
独自の世界観をお持ちなので、
そのまま、みどりワールドをこれからも
表現していってくださいね!

2023.06.17@神奈川県川崎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?