[過去記事特集] 人称代名詞の起源と本質 ~儒教をキーワードに~
ベトナム語の人称代名詞は数が多く、使い方が複雑でわかりづらい...…ベトナム語文法で学習者を最初に悩ますのがこの人称代名詞の分野です。
ではなぜベトナム語の人称代名詞は数が多く複雑で、相手によって呼び方を変えなければならないのでしょうか?
今回は過去の「人称代名詞の攻略 ~本質から基本・応用まで~」の記事から、人称代名詞が複雑になった理由を紹介します。
人称代名詞の起源を探るキーワードは「儒教」にあります。一見遠回りに思えるかもしれませんが、人称代名詞の本質を理解するための大事な部分ですのでしっかり読み進めてください。
1. 儒教とは
儒教とは孔子とその弟子達が作った宗教及び思考のことで、人間として五常及び五倫を守ろうという教えのことです。五常とは「人の守るべき5つの真理」のことで、五倫とは「5つの道徳的なルール」のことです。
具体的には以下のようになります。
☆五常
☆五倫
儒教は古くからベトナムの政治や文化、人々の生活などに影響を与え、現在のベトナム人の根本的な価値観に深く関わっています。
例えば年上を敬うこと、祖先を崇拝すること、社会で男性が優位であること※、親孝行をするのがよいこと、家族や親族単位で協力して生活していくこと...などなどベトナム人にとって当たり前となっている生活の考えの根本には儒教の影響が大きいとされています。
もちろんその儒教的な考えは言語にも影響を与えます。それが最も表出されたのが実は人称代名詞なのです。
2. 儒教とベトナムの歴史
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