区別の難しい単語に出会ったら考えてほしいこと

ベトナム語の単語の勉強をしていて必ず出会う問題の一つに「◯◯と❌❌という単語が日本語訳では同じなのに、ベトナム人は使い分けをしていて、それがどう違うのか分からない」といったことがあります。

これはある言葉の概念が母国語と外国語で異なっていることにより生じる問題なのですが、ベトナム語だけに限らずどんな言語でも必ず起こります。

この言葉の概念の区切りの違いを知ることがある意味外国語学習の醍醐味とも言えるのですが、そもそもなぜこのような違いが生まれるのでしょうか。

言葉が物や概念を作り出す

まず言葉と概念について多くの人が勘違いしていることがあります。多くの人は、言葉とはまず「事物」が先にあり、それに対してつけられた名前だと考えます。

例えば地面に落ちている小さなかたまりを「石」、大きな物を「岩」と名付けたように、日本語だけで考えると「事物(概念)さき、言葉あと」という順序でどうしても連想しがちです。

しかしベトナム語では石も岩も「đá」で表現することができます。ベトナムにももちろん小さな石や大きな岩はあるのになんで同じ「đá」でいいのだろうかと不思議に感じてしまいます。

これは「事物さき、言葉あと」という最初の連想が間違っているからです。実は逆で「言葉こそが物や概念を作り出している」からです。
石という言葉が「地面に落ちている小さなかたまり」という概念を作り出し、岩という言葉が「地面に落ちている大きなかたまり」という概念を生み出しているのです。

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