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卒塔婆のPR動画企画を考える

お世話になります。てっぺいです。

僕は「笑うメディアクレイジー」の動画制作チーム「ビデオクレイジー」で広告動画の企画・制作・配信をしています。ソーシャルでウケるコンテンツを作り続けてきたノウハウを活かした動画制作を得意ジャンルとして、日夜(特に夜)奮闘しております。

昨年度はありがたいことに50案件以上の動画を制作させていただきました。
もちろん、提案した企画が通らず制作まで至らなかった案件もあるのでおそらく150企画以上は考えたんじゃないでしょうか。
そんな企画のプロフェッショナルである僕が(半分以上、通ってないけど)どの様な考え方で企画を生み出しているかを仮想の企画を作りながら紹介します。

【今回、PRする商材】
卒塔婆

【ターゲット】
30代ー40代の男性
【実施時期】
6月ー8月
【クライアントの要望】
新発売「経文が書きやすい卒塔婆」の認知拡大

仮に上のような与件で「面白いバズ動画を作ってほしい」と依頼された時、どのようなフローで企画を作っていくか考えてみます。

▶思いつきの企画だとどうなってしまうか
「企画作り」と「思いつき」と真逆です。「企画作り」はとことん考え抜く作業です。
例えば、思いつきだけで企画したらどうなるか、やってみます。

卒塔婆って

なんかスキー板みたいだな

いったん履かせよう

おもろいやん

男性ターゲットだからこんな感じで美女でも出しとこかー

…こうして出来上がった企画は、
卒塔婆を履いた美女がゲレンデで滑走する様子を撮影した胸キュン映像という企画。

この企画、画的なインパクトだけは強いので、もしかしたら話題になる可能性もありますが、
・商材のPRに全くなっていない
・冬のイメージであるスキーが実施時期に合わない
・卒塔婆を足蹴にするという行為は不謹慎(炎上リスクが高い)

以上の理由で広告動画の企画としては成立していないと考えるべきでしょう。
個人的にはちょっと見たい気もしますが、要望に沿ってない場合はアイデアを捨てることも大切です。
それでは、「思いつき」ではない企画の作りかたを実践してみます。

▶まずはクライアントと商材について徹底調査
具体案に入る前にクライアントが過去にどんなPRを実施してきたか、商材のセールスポイントや他社製品との違い、弱点、今はどんなユーザーがいて、これからどんなユーザーを獲得したいかなどとにかく細かく調べあげます。
今回の卒塔婆のように自分が詳しくない商材の場合は特に気合いを入れて調べましょう。

▶調べた結果を元にして方向性を決めていく
調査をしていくと根本的な認識の間違いがあることに気が付きました。
卒塔婆は経文を書いてもらったお寺や僧侶に代金を払うシステム(塔婆料)になっています。つまり、卒塔婆はお寺関係者が購入するのが一般的なようです。
この場合、視聴者層を広げてPRをしても効果は見込めないので、今回の施策はBtoC (Business to Consumer) ではなく、
BtoB (Business to Business)もしくは、BtoB (Business to Bozu)、 つまり30代ー40代の住職へ向けるべきだということが分かります。もし知り合いに住職がいる人はその人を思い浮かべるのがベストです。ざっくりした「誰か」より特定の一人を思い浮かべて作った方が結果として届けたい人たちへ伝わることが多いです。

▶︎バズるための仕掛けを考える
徹底調査し、状況を把握し、ターゲットを整理した上で、
今回は「お坊さんにだけ向けた動画」という切り口でいきます。
100%お坊さんだけを狙った内容にして、お坊さん以外のユーザーは無視します。これにより、ターゲットであるお坊さんには身近なテーマを扱った内容に共感を狙い、
それ以外には「お坊さん専用動画」という未だかつてない触れ込みで興味を引きつけつつ、普段知らないお坊さんの意外な事情を描くことで驚きや発見を与え、話題化を狙います。

▶︎企画具体案
〈企画名〉
#坊さんあるある2018夏
〈企画概要〉
お坊さんだけが共感するあるあるをリスト形式で紹介していく動画。

・お盆休みは皆無
・たまに夜中に墓参りに来る人に出くわしビビる
・香炉がコンクリ並で線香がささらない時がある
・たまにめっちゃ経文書きずらい卒塔婆があってイラつく
  

というようにあるあるの中に従来製卒塔婆の問題点を提示する項目を作り、それを解決してくれる新製品を訴求し認知拡大を図る。

↑こんな感じで企画を作っています。
実際はもっと、商材の見せ方、ターゲット分析、シェアされる為の動画の演出方法、公開された後のPRの出先、拡散された後の購買導線を考える、などなど、細かく考えなくてはいけないことが沢山あるのですが、長くなるので今回はこのぐらいにしておきます。

▶複数案出す場合
僕らはいつもこのような企画を3案程度考え、クライアントに提出しています。この時に出す3案ですが、
① 置きに行った真面目な企画
② ①案と③案の間くらいの企画
③ 尖った企画

とやりがちですが、こうすると結局②のアイディアが無難だろうということで採用されやすく、結果ありきたりな企画をやるはめになってしまいます。

元々「面白いことをやりたい!」というクライアントの心意気を無下にして無難な企画をただこなすのはもったいないですよね。

なので、なるべく、
① 機能訴求に特化した尖った企画
② ターゲットに刺さることに特化した尖った企画
③ 製品のブランディングに特化した尖った企画

このようにそれぞれ尖がりの方向性が違う企画を出すようにしています。

▶最後に
この内容が今まさに企画作りに困っている人の参考になるかは怪しいところですが、少しでもアイディアの足しになれば幸いです。

#動画 #映像 #動画制作 #広告 #企画

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