見出し画像

特別詩集『Hallowe'en』

画像1

"Parade of here horror!"



石畳の道を行進
声高らかに連呼して
足音はせずまばら
お菓子の包みが散乱する
前より後ろを気にしたまえ



月は我らを讃えず
喝采は悲鳴
飾りなら生贄と
血があれば問題ない



Adult time? Time of ghosts!
Adult time? Time of fear!
I'll give the luscious than sweets.



子供たちは泣き喚く
キャンディを口に詰め込んで
行進の続きだ
ところで家にいる連中は
夢魔にでも任せておけ



Time of ghosts! You too so scream!
Time of fear! You too so scream!
Parade of here horror, And brainwashing



朦朧とした意識の中 探し惑う
においを辿っていけば
いつかの包み紙
歓喜して抱きしめたその耳に
―Did you look?



***

画像2

神々の下に集え 道化師よ
その鼻にあるのは
言うこと聞かぬ
子供らの純粋な血の塊か



お前たちの中に
棲みつくのは 恐怖か
それでも笑顔を見たいとする
背徳感か



神々の下に集え 道化師よ
顔に塗りたくれ
潔白を訴える
愚者らの穢れた戯言を



足並み揃えて
煉瓦の街を さあ行進
子供たちは家へ逃げ隠れる
畏怖ゆえか



神々の下に集え 道化師よ
その足で世界を
見下ろせるか
それとも踏み潰せるか



"Parade of here horror!"



神々の下に集え 道化師よ
母なる体は此処に
生まれたことを
我らで喝采をしよう



***

煉瓦街の奇妙な花売り屋-sample

手動の自鳴琴鳴らして
夜の街歩く花売り屋
売るのは たった一夜に一輪だけ
その奇怪さに
近寄る者はいない



左目にはめ込んだ片眼鏡で
顧客の心を覗く
この世にわが花を買えるのは
そういないでしょう



貴女にはこの
和蘭芹をあげましょう
どうぞ悔いが残りませんよう
お過ごしください
さて いつ悲しみの便りが届くか



また今宵も花を売り歩く
だがそこに花は無く
奇怪な花売り屋は
一人の少女に話しかけられる



あの人に
待雪草を贈りたいのです
花売り屋は微笑む
いつか少女に再会して
伝えるために



花売り屋は永遠に
ただ一人一輪
花を売り続ける
蝋燭が灯すのは
不吉な笑みの髑髏



忘れはしないでしょう
わが顧客のことは
なぜならすべての運命は
この花たちが語る



次の運命は誰





***



初公開:2016年10月31日
Ⅱ『PIERROT』…春季ポエム2016「夢現遊園地~Silver's wonder rand」より
Image by Yingnan Lu from Pixabay

気に入った詩に投げ銭するようにぜひサポートしてください! いただいたサポートは黒薔薇の生き血になります!笑