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巨人とコバエ

自ら劣悪な環境で生きる事を選ぶコバエ。

最近、コバエが家で湧きまくっている。
六畳一間の狭い自宅だと1匹コバエがいるだけで、数分のうちに何度もすれ違う羽目になりリラックスができない。ストレスも溜まる。


湧いてくる場所は、主に生ゴミの中からが多い。
コバエに腹が立ちすぎて、「どうしてコバエは、そんな汚い所を選んで、わざわざ産まれてくるんだ」と考えていた。


生ゴミだらけの劣悪な環境であれば競争する相手も少なく、生ゴミを食料にする動物も少ないから生き残りやすいだろう、というコバエなりのセコい生存戦略があると考えて、その戦略の末、選ばれたのが自分の部屋である事に、また腹が立つ。



そんなセコい生存戦略してるから見た目にも気持ち悪いセコさが出てんだよ。



この家を選んだ事を後悔させてやる意気込みで、コバエと奮闘する日々を送っていた。

ただ、俊敏なコバエに苦闘。中々退治できずに、日を重ねると、あっという間にハエの数が増えていく。狭い自宅なので、同じ個体のコバエが日が経つにつれ恰幅が良くなっていく事にも気づける。


なに家族作ってんだよ。なに恰幅良くなってんだよ。

ついに、つがいで飛んでいるコバエが現れた。
こいつらだけは、本気で「今、殺そう」と本気で思った。
いつもよりも倍増した殺気は、卵を植えられ、またコバエが増えるのを恐れるよりかは、目の前でハネムーン・フライされた怒りから来るものだった。


食事中、カレーの上にピトッとコバエがついた時「おい、テメェよぉ」と無意識に口に出た。
自分でもこんな怖いトーンで喋れる事に驚く。


ゴジラは、元々、住処の海で寝ていた所を人間に水爆を落とされ、叩き起こされたのでブチ切れ暴れている。

同じだ。
コバエに周りをピュンピュン飛び回られると確かに熱線を吐きたくなる。

はたまた「ジャックと豆の木」で言うと自分は巨人側になるのか?と発展し、ネットでどんな話だったかを調べてみた。

ネットの記事から引用

『ジャックが豆の木を登ると、雲の上にある人食い巨人の大きな屋敷にたどり着きました。屋敷の中で金の卵を産む雌鶏を見つけたジャックは、巨人に見つかりそうになりながらも、雌鶏を盗み、豆の木を下りて逃げることに成功します。

 味をしめたジャックは再び豆の木を登り、巨人の屋敷に潜入。今度はひとりでに音楽をかなでる魔法のハープを盗もうとするも、ハープがしゃべりだし巨人が目を覚ましてしまいます。捕まったら食べられてしまう。急いで地上に下り、ジャックは豆の木を斧で切り倒します。そして、豆の木を伝って追いかけてきた巨人は、落ちて死んでしまいました。』

何だこの救い用のない話は。
どう考えてもジャックに落ち度があるのに最後は、巨人が死んでいる。どういう教訓があるんだ、この童話。


遂に「コバエがホイホイ」を購入。
甘い匂いの罠に誘われ、ゼリーの中で死んだコバエが「笑ゥせぇるすまん」で、喪黒福造にドーンってされた後の堕落した人の様に見える。

「コバエがホイホイ」の効果は一ヶ月続くので、既に死んでいる大量のコバエと一ヶ月も同じ屋根の下で過ごすなんて、死体を眺める系の悪趣味な敵役かと思ったが仕方がない。


家にいたコバエは駆逐され、平和を取り戻し、数日経ったある日、高温多湿が保たれてしまったシャワー室から1匹のコバエが目の前を横切った。

無意識に口から「また、Jr.か?」



歴史は繰り返される。

主題歌 ゴジラのテーマ

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