メルロ=ポンティと顔ヨガ


今度は「現象学的還元」の概念に着目してみましょう。メルロ=ポンティは、ありふれた日常からひとたび離れ、事物の本質に向き合う作業である現象学的還元を重視していました。しかしその還元は一過性のものではなく、絶えざる反復が必要だと説きます。

顔ヨガを実践する際、私たちは普段無意識にしている顔の存在から一旦離れ、顔そのものに意識を向けることになります。これは一種の現象学的還元の作業と言えるでしょう。

日常生活において、私たちは顔の存在をほとんど意識することはありません。しかしヨガの実践を通じて、顔の感覚や可能性に目を向けるとき、そこに顔の本質的な有り様が現れてくるはずです。

そしてその還元の作業を日々反復することで、顔との対話がより深まり、顔の持つ新たな側面や意味が開示されていくことでしょう。このように現象学的還元と反復を組み合わせることで、顔の持つ可能性がますます豊かに現れてくるのです。

さらにメルロ=ポンティは、還元を通じて気づいた事物の本質的側面こそが、その事物にとって価値があり意味があるものだと説きます。つまり顔ヨガの実践を通して顔の本質に気づくことで、そこに顔の新しい価値や意味が見出されるということです。

普段無意識だった顔に意識を向け、そこに内在する感覚や可能性を掘り起こしていく。それが顔ヨガの根本的な営みなのかもしれません。そしてその実践を通して、顔に対する新しい解釈や関係性、ひいては自己の在り方そのものが開示されていくのです。

メルロ=ポンティの現象学は、事物の本質を見つめ直し、そこに内在する意味や価値を発見することを目指します。顔ヨガもまた、日常的で見過ごされがちな顔に目を向けることで、顔と自己の新たな関係を生み出していく、身体的な現象学実践と言えるのではないでしょうか。

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