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白夜


夏の夜明けは素早いね
はっきり見えるくらいの
速さで暗さを失っていく
空を見つめながら

秋の夕暮れが早いのと
同じなんだなぁって

しみじみ気付く

最近は鳥の声が
少なめだけど


……で

ぅおわぁ、これ!

って久しぶりに叫んでしまった

サンソン・フランソワは
ショパンが有名かな

私もディスク持ってるけど

今日は彼の誕生日らしく
出会った録音

私の溺愛するリパッティと
同窓・同門

この演奏が録音された時に
同時に録音されたリパッティの方に
賞がいったらしいけど

なんとなく理由がわかるような気がするね

もう一つ面白い逸話が

ニューヨークで輝かしいデビュー
を飾ったみたいなんだけど

彼、嫌いになっちゃったみたいね

怒ったバーンスタインが

成功なんて関係なく
2度とあいつとはやらん!

だったらしい

彼の演奏知ってる人なら
わかると思う

アメリカで観劇とかコンサート行ったとか
はたまた演奏した事がある人

も分かるかもしれないね



北米は(カナダ含めてね)
エンタテイメントのお膝元

エンタテイメントのまたの名を

洗脳機器

これライブも然り

やってる方や興行する方が意図的に
っていう意味じゃなくてね

お客さんってね
座って待ってる

ステージに現れる人が

エンターテイメンしてくれるのを

これびっくりしたんだけどね

言い換えると超受け身

やった事があると分かると思うんだけど

それが数百人でも数千人でもね
均一に「歓ばせる」のって

実は難しい

みんな主観のフィルター通すからね

それってみんな違うわけ

だから大人数を
みんなひっくるめて

否応なしに

満足させるのは

大きなものを使うことになるわけ

大音声

スピード

スーパーボールのハーフタイムショーがこれ

あの特設ステージと
大画面と
大音声

やってることって言えば
ステージ上で
大人数が
殆ど裸で
駆け回ってる

程度

要するに
パフォーマーは
喜ばせるために

観客に媚びなきゃならない

それか著名人のパワーで
捻じ伏せる

…もとい

幻惑させる

これが残念な現実

フランソワみたいな演奏する人は

我慢できなかったと思う

資本主義のマーケットに乗る

なんてつもり

どんだけあって行ったか知らないけど

って事で
この演奏は必聴(そう、これも洗脳😏)

ラヴェルのスカルボ
夜のガスパールから

3曲構成の曲集の最後の曲ね

1曲目は男を惑わせるオンディーヌ
2曲目は絞首台
3曲目がスカルボ

凄くない?
私これにスクリャービンの
白ミサと黒ミサくっつけて

最後は飛んで火に入る夏の虫

でハロウィンコンサートやってみようかって

思ったことある

やってみるかな?

それぞれに詩がついてるので
それも乗せておこうかな

夜明けの話が
スカルボでオチがつく
展開になっちゃったね



Scarbo by Aloysius Bertrand

Il regarda sous le lit,
dans la cheminée,
dans le bahut ;
— personne.
Il ne put comprendre par où il s’était introduit,
par où il s’était évadé.
Hoffmann. — Contes nocturnes.

Oh ! que de fois je l’ai entendu et vu, Scarbo, lorsqu’à minuit la lune brille dans le ciel comme un écu d’argent sur une bannière d’azur semée d’abeilles d’or !

Que de fois j’ai entendu bourdonner son rire dans l’ombre de mon alcôve, et grincer son ongle sur la soie des courtines de mon lit !

Que de fois je l’ai vu descendre du plancher, pirouetter sur un pied et rouler par la chambre comme le fuseau tombé de la quenouille d’une sorcière !

Le croyais-je alors évanoui ? le nain grandissait entre la lune et moi comme le clocher d’une cathédrale gothique, un grelot d’or en branle à son bonnet pointu !

Mais bientôt son corps bleuissait, diaphane comme la cire d’une bougie, son visage blémissait comme la cire d’un lumignon, — et soudain il s’éteignait.

ベッドの下から
暖炉の中から
飾り棚の上から
何かが見ていた
-しかしなにも姿はない
あれはどこから忍び込んだのか
そしてどこへ逃げたのか
ホフマン著「夜話」より

私は何度もあいつの声を聞いた
何度もあいつの姿を見た
そう、スカルボを
黄金の蜂を刺繍した紺青の旗の上に
銀の楯のように月が輝く真夜中に

私は何度もあいつの声を聞いた
あいつが部屋の小さな窪みの陰で笑う声や
絹で織られた寝具の上のカーテンをひっかく音を

私は何度もあいつの姿を見た
すばやく天井から下りて
魔女の糸巻きから零れ落ちたように
片足でくるくると回りながら
部屋中を踊りまわるのを

あいつはどこへ消えたのか
あいつが目を回したかと思いきや
尖った帽子の先で金の鈴を鳴らし
教会の大聖堂のように大きくなり
月と私の間に立ちはだかった

しかしすぐに
あいつの身体は青ざめ
顔は溶け落ちた蝋のように透きとおり
-そして突然、消えさった

ラヴェル:スカルボー夜のガスパールから
サンソン・フランソワ(pf)


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