はじめてのお見合い写真
ViaVitaとして初、お見合い用写真を撮影したときの記事を書きます。
被写体は、最近婚活をはじめた私の大切な友人です。(知里ちゃんではありません。)
彼女は今年30歳で、先月結婚相談所に入ったところでした。そこで必要になるのがお見合い用の写真です。
昔から実物は、お見合い写真の三倍美人だとか言われますが、それぐらい撮影が難しいんじゃないかと思っていた。
一生を過ごすパートナー選びを左右する1枚なのだから、緊張しないわけがない。
依頼者である彼女は、職業柄、異性との出会いが少なくて男性と話すことも苦手な女性だった。
「いつも仕事の時は作業着だから、基本Tシャツとジーパンしか持ってないです。」
と言われて、必要な服をまず撮影前に私と二人で買い行った。
大事な写真を撮るために、服選びは気合が入った。私は写真は撮れないけど、服装のコーディネートで力になりたいと思った。彼女の穏やかで柔らかい雰囲気に合わせ、淡いピンクのペンシルスカートと、グレーホワイトのニットを選んだ。
撮影は緑地公園に午後3時ごろに集合した。天気は良好で、涼しくて心地が良かった。
太陽も低くなりはじめやや陰り出してきたところで撮影スタート。
彼女は初めて会うプロカメラマンに緊張気味だった。
じゃあこの辺にこんな感じで立って下さい、と言われる。でもその後、どんな顔でどんなポーズ取ればいいか分からず、戸惑っていた。
仕事の話とか、近所のオススメのラーメン屋の話とか、たわいもない話をしながら、こっち向いてあっち向いてと知里ちゃんが彼女を動かしはじめる。微妙な首と腰の角度を調整してゆく。
ガチガチに固まっていた表情と肩の筋が解けてゆき、私の知るいつもの彼女が顔を出しはじめる。夕暮れ時、人も少なくなった公園に、キレの良いシャッター音が響く。
知里ちゃんは本当に表情の引き出し方をよく知ってる。被写体と同じ目線に立ち、スッと横に寄り添う。目を細めながら、手探りでその人が作りたい未来を一緒に探し出してゆく。
自分の写真はよく見せたいものだが、彼女にはこんな風に撮って欲しいという具体的なイメージは全くなかった。どうしたら魅力的に、自分らしく見えるのか。今までそういうことには無頓着だった。
彼女はもともとは人懐っこく社交的な性格なのだが、三白眼のため真顔だと瞳に光が入らず、少し怖く見えてしまう。
なので、くしゃっとした笑顔を作ってもらうために撮影中はずっと雑談したり、目をいつもより見開いてもらったりした。
静止画撮影は像を映すだけで、本来の姿を読み取ることができない。写真はのカメラマンの眼を通してこうあって欲しいと想いとともに本来の姿を描き出す。写真は見せるだけでなく、魅せるのだ。
これが画像と写真の違いではないかと思った。
「今日は撮影自体がすごく楽しかったカメラマンの思いやりが嬉しかった」と言って、彼女はの顔には笑顔がこぼれた。
大切な友人を、大事に大事に撮影してくれて、私も嬉しかった。
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