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J2第5節 アルビレックス新潟戦 レビュー

今節は50回目の川中島ダービー。
アウェイ、デンカビッグスワンスタジアムに乗り込んでの一戦。
J2通算250勝目も掛かる節目の試合でもある。

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1.スタメン

甲府
前節から4人を変更。
新井と鳥海が今シーズン初スタメン。
リラが2試合ぶり、関口が開幕戦以来のスタメンとなった。
98年組が全員スタメンに名を連ねた。
また、ベンチには岡西が昨シーズンの怪我以来の復帰となった。

新潟
前節から3人を変更。
長谷川、高木、イッペイ シノヅカに代えて藤原、島田、松田を起用。
藤原は2試合ぶり、島田は3試合ぶり、松田が今シーズン初のスタメンとなった。
開幕からスタメン出場を続けていた高木がベンチ入りせず。
代わってシマブク カズヨシが初めてメンバー入りした。

2.新潟躍動

雨が降る中で始まった一戦は新潟のキックオフでスタートする。
新潟は前節までの逆三角形からボランチを2人横に並べる中盤の形に変更して入る。

甲府の方もボール保持時には明確に新井が中盤に上がる形を見せていく。

対する新潟は伊藤が谷口に並ぶ形で442の形でブロックを作り、積極的にボールを奪いに行く。

最初のシュートは3分に新潟。

高からのロングボールを谷口が収め、横パスを受けた伊藤がミドルシュートを放つ。
このプレーに象徴されるように今節のポイントとなったのは谷口のポストプレーであった。

試合後の谷口海斗選手のコメントより。

「自分のところで収まらないと攻撃もうまくできないですし、リキさん(松橋 力蔵監督)からも練習のときに落としの部分は言われていたので、そこをうまくできたのは良かったと思います。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

新潟のボール保持時には島田アンカー気味に構え、433の形でボールを動かしていく。

甲府は前からの守備が嵌らず、新潟のCBに対してプレッシャーを掛けていけない。
吉田監督に代わり、前からのハイプレスに着手し一定の成果をこれまで挙げてきたように感じたが今節の立ち上がりは前線の守備が機能せず新潟に自由にボールを持たれてしまう。

また、今節も早い時間にセットプレーを与えてしまう。
9分に許した最初のCKは防いだものの試合の入りは今節も良いものとは言えなかった。

13分には素早い切り替えから山田がミドルシュートでゴールに迫る。

この場面では連続して前からボールを奪いに行き、奪うことに成功。
高い位置でボールを奪いきり、シュートに繋げた良い形を作れた場面であった。

新潟が前進する上で狙いとするのが縦パスに対して前向きのサポートを作ること。

CBに自由があることもあり、起点となるパスが良い形で入ることが多くなる。
甲府はアンカーの島田を消すことを狙うが、縦パスが入ったのに対してサポートする形を作りボールを受けていく。
また、谷口が良いタイミングでボールを受けに来るためポストプレーに対しても潰すことができない。

守備面においては共に切り替えが速いが、甲府が人を掴めに行くのに対して新潟は素早い帰陣でカウンターを許さない。

だが、徐々に新潟がボールを甲府陣内で持つ時間が増えていく。
耐える形となる甲府だが、541のコンパクトなブロックを形成し新潟にスペースを与えない守備で対応する。
新潟も幅を取りながら甲府のDFラインを引っ張り、空けさせた「ポケット」の攻略を狙う。

甲府としては横幅を埋めるために5バックを採用しているにも関わらず、幅を使われることで結果的に「ポケット」も空いて来てしまう。
前線からのプレスを含めて、4バックに変えても良いのではと感じた。

新潟ペースで進む中、最初に決定機を作ったのは甲府。

野澤のダイレクトの縦パスで新潟のプレスをいなすとライン間で受けた長谷川もワンタッチで須貝へ。
須貝から再びパスを受けた長谷川がカットインからシュートを放つが、シュートはクロスバーに当たってしまう。

決定機を逃すと26分に新潟に先制点を与えてしまう。

ゴールキックから繋いで前進しようと試みるが、自陣で山田が伊藤にボールを奪われると松田のクロスに谷口が合わせて新潟が先手を取る。

試合後の谷口海斗選手のコメントより。

「(松田)詠太郎から良いボールがもらえて、うまくニアに決め切れました。」

「あそこのコース、位置を取りにいくというのはスカウティングしてたので、そこをクロスでうまく狙えたと思います。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

試合後の松田詠太郎選手のコメントより。

「最初のタイミングで(クロスを)上げようと思ったんですけど、相手を見て、もう1個運んだほうが良いなと判断できたことが良かったと思います。(谷口)海斗くんが走っているのが見えて、良いゴールが決まったと思います。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

スカウティング+その場の状況を判断しての得点となった。

この失点後、パスがズレたり相手に引っ掛けてしまうことが続く甲府。

試合後の吉田達磨監督のコメントより。

「ボールが引っかかったところ、(パスが)ショートになったり、トラップが大きくなったり、同じようにやることは必要だけど起こり得ることを知っていないといけない。」

https://www.ventforet.jp/games/53236/live?SmRint=vfk_pc_top_gamelive_bt01

すると31分に新潟が追加点を挙げる。

左サイドから堀米のクロスに伊藤がボレーで合わせて新潟に追加点が入る。
まず、起点は谷口のポストプレーから。
そして左右の違いこそあるが、1点目同様にマイナスのクロスから。
堀米へ展開された後の甲府守備陣はズルズルと下がるだけになり、伊藤を認知できておらず。
この後もマイナスのクロスからチャンスを作られており、明確なウィークポイントを新たに晒すこととなった。

2点のリードを許した甲府はボールを持つ時間が増えていくが、変わらずミスが多く決定的な場面は作れない。
38分にも左サイドからマイナスのクロスでシュートシーンを作られたが、次節以降改善しなくてはいけない。
このまま試合は動かず前半を終える。

試合後の長谷川元希選手のコメントより。

「自分たちがやりたいことができず相手がすべて上回っていた。失点する前に自分に決定機があったが、そこで決められずに流れが変わってしまった。個人として、チームとして守備の意識を統一しないといけない前半だった。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

長谷川のコメントにあるように全てにおいて上回られた前半。
それでも決定機を作っていただけに決めていれば違った展開となったかもしれないが、決めていても新潟が上回っていた事実は変わらない。
現状では新潟との差を痛感させられる45分間であった。

3.完敗

後半開始から鳥海と新井に代えて宮崎と山本を投入する。
共にそのまま同じポジションに入った。

試合後の吉田達磨監督のコメントより。

「新井のところはフレッシュでコンディションが上がっていたが安定していなかった。選んだ僕が悪い。山本でゲームを一旦みんなが正しい、いるべきポジションにいるように交代した。鳥海はゲームフィーリング、プレッシャーのところで迷っていて、落ち着いてボールを捌くことにつながらず。攻撃のエネルギーをもたらせたくて宮崎を入れました。」

https://www.ventforet.jp/games/53236/live?SmRint=vfk_pc_top_gamelive_bt01

共に起爆剤として期待されての起用であったが、期待には応えることができず。
だが、今後必ず必要となる戦力なだけに試合感を高めて欲しいところ。

後半は前半以上に勢いを持って入った両チーム。
試合を決めたい新潟と巻き返したい甲府。
甲府は前半よりも気持ちよく新潟にボールを持たせない。
守備の強度は前半よりも増したが、新潟も甲府のプレスを回避して前進を図っていく。

後半に入り、変わったのは守備の強度だけではない。
ボール保持の際にGKの河田を使う機会が多くなる。
河田をビルドアップに組み込めると数的優位を作りやすくなり、山本や新井が中盤に上がることの効果は増すため積極的にチャレンジして欲しい。

56分には甲府が決定機を作る。

CKの流れから最後は野澤がボレーシュートを放つが、惜しくも枠を外れる。

リズムが出てきた甲府が新潟陣内でプレーする時間が増えていく。
外に張ったWBを使い、攻撃を仕掛けていけるものの効果的な攻めは増えていかない。

試合後の長谷川元希選手のコメントより。

「個人の意識もあるが、はがす選択肢があると優位に攻撃ができる。(味方を)助けるポジションを取るべきだと思う。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

長谷川のコメントにあるように剥がす意識が薄いのかなとは感じた。
剥がすというのはドリブルで抜くだけではなく、相手に捕まらない立ち位置を取ることも意味しているかと思う。
決められたポジションに付くことはしているが、相手を困らせる立ち位置に立てている場面は少ないように思う。

一方の新潟は谷口が背後へ抜け出し、DFラインを押し下げる動きを見せギャップを作る。

また、伊藤や高がボールを受けに下ることやWGとSBがポジションを変えてりと似たような立ち位置を取るとはいえ、段差が付くことでボールの回りもスムーズとなる。
クロスを上げた際にも新潟はスカウティングの影響もあったが、マイナスという選択肢もあるのに対して甲府は単純に入れる場面が多く高さで圧倒できるわけではないためクロスが効果的では無い場面が多くある。
動きにギャップを付けることは今後必要となるだろう。

65分にはビルドアップのミスからカウンターを許す。

左サイドで奪ったボールを素早く展開し、最後は右サイドの松田のシュート。
繋ぐだけでなく、素早く攻めきれるのも新潟の強みだ。

67分に松本に代えて林田を投入。
林田はそのままボランチに入った。

74分にはリラに代えて三平を投入した甲府。
この交代で三平はそのまま最前線に入ったが、シャドーの左右を入れ替える。

77分には新潟が松田に代えてシマブクを投入。

サイドからのクロスでゴールに迫りたい甲府だが、味方には合わない。

83分に新潟は伊藤に代えて星を投入する。

直後に甲府にチャンス。

長谷川のFKから三平のヘディングシュートが放つが惜しくも枠を捉えられず。

85分に新潟は谷口に代えて矢村を投入。

直後に長谷川のミドルシュートがポストを叩く。

小島が触り、ポストを叩きゴールとはならず。

90分に長谷川にシュミレーションでイエローカードが出たが、この場面は良い形であった。

浦上から関口に入り、SBの堀米を吊りだしたところで背後へ長谷川が抜け出した形。
このように動きにギャップが付くと守る側も守りにくくなる。

アディショナルタイムに入り、甲府は山田に代えて飯島を投入する。

そのまま得点は挙げられず、新潟の完勝となった。

試合後の吉田達磨監督のコメントより。

「率直に言って今日は完敗だと思います。後半、盛り返したように見えますけど、前半後ろ向きになってピンチに追い込まれて失点まで行ってしまう。ここ何試合か同じような形で失点した。前にプレーができなかった。させてもらえなかった。フレッシュなメンバーで臨んだつもりだったがトレーニングを含めて監督の責任だと思います。」

https://www.ventforet.jp/games/53236/live?SmRint=vfk_pc_top_gamelive_bt01

後半盛り返したというより、前半の印象が悪かった試合ではないか。
後ろ向きなプレーやミスで失点してしまい、試合を難しくしてしまった。

試合後の松橋力蔵監督のコメントより。

「4戦勝利がない中、試合前に選手と、「いつかくるであろうではなく、1勝を新潟の皆さんの目の前で自分たちから手繰り寄せよう」と、強い思いを持って今日の試合に挑むことができました。前半は非常にそういう強い気持ちが表れたゲームだったと思います。後半は少し相手に押し込まれる状況が続く中、自分の交代策もそうですし、ちょっと流れがうまくいきかけるところでのクオリティーだとか、そういうところが少し課題に挙げられると思います。最終的には、新潟の皆さんの前で、この1勝を届けられたことを非常にうれしく思っていますし、選手の頑張りにも十分感謝しています。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#coach

試合後の谷口海斗選手のコメントより。

「なんとしても欲しかった勝利だったので、とりあえずは良かったかなと思います。これからどんどん勝利を積み上げていきたいと思います。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

試合後の松田詠太郎選手のコメントより。

「「この試合、絶対に勝とう」とチーム全体で強い気持ちを持って挑んだ試合だったので、勝つことができて良かったです。ここから勢いに乗っていければ、良い順位にいけると思います。」

https://www.jleague.jp/match/j2/2022/031910/live/#player

5試合目での初勝利はホームでの白星と最高の結果となった。
前半の新潟は意欲満点で良い時間帯に続けて得点を決められたことが大きかった。
今後新潟は白星を重ねていくはずだ。

ボールは持てるようになった後半だが、作ったチャンスは長谷川個人の力によるものがほとんどであった。
チームとして大きすぎる差を見せつけられた一戦。
やはり新潟は強かった。
新潟との差を今後縮められるのか。
不安が大きいが、楽しみにしたい。

4.MOM

https://www.jleague.jp/player/1611450/#attack

谷口海斗
決勝ゴールも当然だが、最前線の選手として安定したポストプレーで味方を活かす活躍を披露。
身体を張ってDFを背負うだけでなく、ボールを受けに降りてくるタイミングも的確で甲府守備陣は捕まえることが出来なかった。

5.あとがき

今節は完敗。
この一言に尽きるかと思う。
失点こそしなかったが、試合の入りで新潟の勢いに飲まれたように毎試合似たようなことを繰り返している点は気になるところ。
やはり吉田監督ではダメなのかという想いも湧いてきてはいる。
だが、監督を務めている限りは達磨さんを信じ続ける。
選手の成長もだが、監督も成長しなければ同じことの繰り返しとなってしまう。
サポーターもまた一緒である。
悪いことは悪いと言わなくてはいけないが、早急に解任だ!
という話ではサポーター自身もあの時と変わっていない。
まだ5試合、チームを信じましょう。

新潟はやはり結果が出ていなかっただけで強いチームに違いは無かった。
イッペイや高木と中心選手が欠場しながらも松田や島田と代わって起用された選手が存在感を示したように選手層の厚みも見せた。
ここから巻き返していくのではないか。
J2ファンとして今後の新潟は楽しみだ。

悔しいと思う余地も無いほどの完敗。

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