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J2第26節 ジェフユナイテッド市原・千葉戦 プレビュー

中断明けは2試合、勝ちに恵まれていない中で迎えるはホームでの千葉戦。
上位に食らいついていくためにも勝ち点3を積み上げたい。

1.前回対戦

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開幕戦となったアウェイ、フクダ電子アリーナで行われた一戦は先手を取るが、追いつかれてしまい終盤にPKを獲得するも決めきれず引き分けとなった。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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過去の対戦成績は甲府の4勝4分9敗と千葉が勝ち越している。

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甲府ホームでの対戦では甲府の1勝2分4敗とホームでも千葉優位となっている。

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通算でもホームでも負け越しているが、過去10試合で見てみると4勝2分4敗と五分五分の成績となっている。

3.前節

甲府

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中断明け2戦目はアウェイでの相模原戦。
先制を許す苦しい展開で一度は追いつくも勝ち越しを許し、悔しい敗戦となった。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

千葉

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千葉は山形戦からスタメンを4人変更。
立ち上がりは千葉が勢いを持ち、新潟陣内に攻め込んでいく展開となる。
6分には新潟のビルドアップからミスを誘うと田口がミドルシュートでゴールを襲う。
徐々に新潟がボールを保持する展開へとなっていくが、千葉のコンパクトで強度の高い守備を前にチャンスを作れない。
12分に初めて新潟がプレス回避からチャンスを作るが、新井章太が反応し防ぐ。
直後に千葉にアクシデントが起きる。
クロスに矢田が競り合い着地をしたところで谷口と接触し、頭から出血をすると17分に船山との交代を余儀なくされる。
攻守の切り替えが共に速く、お互いになかなかチャンスが作れずに飲水タイムを迎える。
飲水タイム明けも切り替えが速く、中盤でのボールの奪い合いが続く展開となる。
千葉は舞行龍ジェームズにボールを持たせ、谷口への縦パスを狙いどころに定めボールを奪っていく。
33分に見木がミドルシュートからゴールに迫るが、小島が反応し難を逃れる。
新潟は狙いどころとされていた谷口とロメロフランクのポジションを入れ替え、状況を打開しにかかる。
だが、千葉のプレスの強度が高く、回避できてもプレスバックも速いため新潟は攻め手を作れず千葉が試合を優位に進めていく。
40分には船山がFKからクロスバー直撃のシュートを放つ。
千葉優位に進んだ前半だが、スコアレスで前半を終える。
後半もスタートからアクセル全開で入る千葉。
一方の新潟は谷口とロメロフランクのポジションを戻し、後半に入る。
50分には新潟にアクシデントが起きる。
小島が競り合いの落下で負傷交代となってしまう。
代わって藤田を投入する。
後半になっても千葉の足が止まらないこともあり、千葉が新潟を押し込んでいく構図は変わらない。
だが、一瞬の隙から新潟が決定機を作る。
堀米のクロスにロメロフランクがフリーで飛び込み、合わせるが枠を捉えれず。
新潟は63分にロメロフランクに代えて本間を投入する。
選手交代でも流れは千葉のまま変わらないが、千葉もチャンスは作れずにいると78分に共に選手交代を行う。
千葉は櫻川と福満に代えてサウダーニャと安田を投入する。
一方の新潟は3人を一気に投入し、状況を打破しにかかる。
鈴木、高木、谷口に代えて高澤、星、高を投入する。
新潟は交代で入った星を中心に少しづつ千葉のゴールに迫っていく。
87分に千葉は末吉と見木に代えて高橋と檀崎を投入する。
終盤になっても千葉の運動量は衰えず、終始中盤での攻防を優位に進めたが決めきれずスコアレスドローとなった。

4.今季成績

両チーム比較

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12勝8分5敗で6位の甲府と8勝9分8敗で11位千葉の一戦となる。
共に失点数は同じであるが、得点数の違いが順位の差となっている。
また、アウェイは同じ成績であるだけに勝ち点の差はホームで勝てているかどうかにもある。
今節は甲府得意のホームでの一戦なだけに勝ち星を積み上げたい。

甲府

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シュート数や成功率については度々触れてきたので今回は攻撃回数について見ていきたい。
17位と下から6番目の順位となっているが、下の被攻撃回数も見ていただくとこちらは6番目に少ない。
この2つは連動していると言える。
パスを下げることに対して厳しい声を良く聞くが、陣形を整える時間を作ることで攻撃を受ける回数を減らすことにも繋がっている。
だが、常にゆっくり攻めることが正解ではなく、速い攻めも必要ではある。
両方の数値を見比べるとほぼ同数であることから、攻撃する回数も受ける回数も同じとなればクオリティで相手を上回らなければ勝つのは難しいとも言える。
陣形が整っていない状況で無理に攻めることはリスクであるが、リスク管理をした上で攻撃回数を増やすことで得点の確率を高めていきたい。

千葉

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リーグ5位の失点の少なさを誇る千葉だが、被シュート数と被チャンス構築率はリーグ3位とシュートも打たせずチャンスも与えていないことがわかる。
堅守と言えるが、この数値に対して見ると失点が多くなっているように思われる。

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その要因はセットプレーやクロスからの失点の多さにある。
流れの中からチャンスを作らせていなくてもセットプレーやクロスから一発で仕留められることが多くなっている。

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全体で見ると球際の激しいチームであることが伺える。
インターセプト数、警告数が1位でありタックル数が2位と球際で厳しく戦ってくる。
データからは球際激しく戦い、流れの中でチャンスを作ることが難しい相手であるがセットプレーやクロスからはチャンスが作れそうではある。

5.予想スタメン

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甲府
メンデスの出場停止もあり、スタメンは確実に変更となる。
新井、メンデス、野澤、鳥海に代えて山本、小柳、山田、長谷川の起用を予想した。
新井は練習を回避したとの情報もあり、山本が怪我から復帰となる見込み。
中断明け停滞気味のチームに変化を加えるのではないか。

千葉
前節からスタメン1人の変更を予想。
矢田が負傷交代したため、代わりに船山を起用するのではないか。
新潟を圧倒していたこともあり、前節のベースを踏襲すると予想した。

6.注目選手

甲府

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野津田岳人
開幕戦では終了間際にPKを止められ、開幕戦を白星で飾ることが出来なかった。
群馬戦で移籍後初ゴールを決め、呪縛からは解放された。
開幕戦の悔しさを直接晴らしたい。

千葉

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櫻川ソロモン
オリンピックを戦ったU24日本代表の大会前の合宿にトレーニングパートナーとして招集された期待の逸材。
パリ五輪での活躍を期待される逸材は前節が今シーズン2度目のスタメンと出場機会に恵まれていなかったが、合宿を経て一皮向けた姿を見せた。
メンデス不在となる甲府相手にフィジカルバトルで甲府を苦しめる存在となるだろう。

7.展望

前回対戦とはシステムが変わった千葉。
343へと変更し、守備時には541となる。
中断明けは5バックのチームに苦戦しているが、今節も難しい試合となることが予想される。

守備ブロックの形は前節の相模原と同じ見た目だが、守り方は相模原よりアグレッシブとなる。
5バックにはなるものの、前線からのハイプレスでボールを奪いに行く。
ワントップに入ることを予想した櫻川が高い強度で規制を掛け、誘導するサイドを決めシャドーの選手が内を切りながらサイドへと押し出していく。

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甲府は可変を行うチームだが、ハイプレスに対してはポジション取りが間に合わないことが予想される。
その際には、小柳と浦上にシャドーがプレスを掛けながらWBの関口、荒木へ入ったところをWBと挟み込む形でボールの奪い所としてくるだろう。

この場面はビルドアップに対する守備ではないが、前節の新潟戦ではこのようにサイドで挟み込むようにしてボールを奪い切る場面が何度か見られた。

全体が連動してボールを奪いに来るため、横パスをボランチに通そうとすると千葉のボランチが前向きにボールを奪われカウンターを食らうリスクを孕んでいる。
また、櫻川を中心に前線の選手は二度追い、三度追いも厭わない献身性も兼ね備えている。
千葉は攻守ともに切り替えが速いだけに、千葉が前向きにボールを奪われる展開は避けたい。
千葉としては横パスを奪いショートカウンターに出ていくことを狙うが、プレスに怯えて後方から長いボールを蹴らせることも狙いとなる。
蹴らせることで千葉の3バックは高さも強さもあり、競り勝つことでセカンドボールの回収を狙う。
前節泉澤が試合後にコメントしていたが、甲府としてはパスを回すだけでなくドリブルで運ぶことで一人剥がせるとズレが生まれるだけに、運ぶことでプレスをいなしたい。

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この場面は一見、カウンターを仕掛けた場面のように思われるが自陣でのビルドアップで千葉のプレスを誘発し逆サイドでプレスに出てきた左WBの末吉をドリブルで交わし、中央を経由しこの場面に繋がっている。
右WBの福満は中央にいた選手に食いついたことで背後を空けることとなり、ゴールに迫られることとなった。
この場面のようにハイプレスに来たところを剥がすことで背後にはスペースができているため、勢いに圧されずプレスを剥がしたい。
だが、千葉のハイプレスの前にバックパスやロングボールを蹴らされる転換は増えるだろう。
バックパスはネガティブイメージを持たれがちだが、GKを含めてビルドアップすることで数的優位を確保することにも繋がるだけにプレスを剥がすためには有効となる。

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また、バックパスをすることで相手のDFラインはラインを上げるため背後にはスペースができることとなる。
正確に背後を突くパスを出せれば一気にゴールに迫る形を作ることも可能となる。
バックパスに対してはDFラインを上げることで背後を突くことも可能となるが、後方で繋ごうとした際にハイプレスを受け、蹴らされるような局面ではWBの背後を狙いたい。

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サイドをボールの奪い所としてくるため、WBが食いついてくるので引き出すことで空いた背後、CBの脇のスペースにロングボールを蹴り起点を作りたい。
このエリアから素早く攻めきり、シュートまで持っていくことが理想となるが、千葉のリトリートも速いため一度起点を作ることで千葉のブロックを押し下げたい。
押し下げることで時間を作り、可変を行う甲府の形へと持っていけるか。

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押し下げられた千葉は541の形でブロックを形成する。
コンパクトな陣形で中央を固めるが、引くだけでなくボールへのアプローチも速く球際の強度も高い。
前節の相模原戦のようにパスを回しているだけでは崩せないため、先程のようにドリブルで運び、相手を引き出し前進を図りたい。

引いた相手に対してメンデスがドリブルで運ぶことで相手のボランチを引き出し、背後のスペースで野津田と泉澤が浮いていることがわかる。
また、リラへクサビのパスを通しているがボランチを引き出したことでリラへプレスバックができない状況を作り、浮いていた選手が前向きに絡む状況を作れている。
メンデスがドリブルをせず、クサビのパスを入れようとしてもボランチ2人に中を締められ、ボールは外回りになっていただろう。
仮にリラへパスを通せていてもボランチと挟み込まれる形を作られ、ボールを失っていた可能性もある。

ボールを保持した際の千葉は甲府とは違い、可変はせずにボールを動かしていく。
甲府のようにボール保持にこだわるチームではないが、千葉の選手はどの選手も技術レベルが高く簡単にはボールを失わない。
この点は磐田に似ていると言えるだろう。
ビルドアップの際に目指すのはサイドからの前進とトップの櫻川を起点とした攻撃となる。
サイドではWBが幅を取り、ピッチを広く使っていく。

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サイドの選手は個人で打開する能力もあり、ドリブルで相手DFを剥がしクロスからゴールに迫る形を狙う。
逆サイドから前進が可能な場合にはサイドチェンジから大きな展開での揺さぶりも見せる。

また、櫻川が前線で起点を作ることで厚みのある攻撃を作っていく。
フィジカルの強さを活かし、空中戦でも相手を背負った状態でもポストプレーで起点を作る。
今節の甲府はメンデスを欠くだけに、対櫻川には後手を踏むことが予想される。
一人で勝てないのであれば、グループで守るしかないが中断明けの甲府は個人の頑張りで守る場面が多いだけに修正が必要となる。
DFを背負った状態でボールを収められてもプレスバックで挟み込みボールを奪いきりたい。

ハイプレスからのカウンターとサイド攻撃が千葉の強みとなるが、警戒しなくてはいけないポイントはまだある。
前々節は大津、前節は川上にミドルシュート気味のシュートを決められ失点を許したが、今節も危険な選手がいる。

上が前々節、下が前節の田口のミドルシュートだが、磐田戦の大津、相模原戦の川上のゴールに似たようなシュートである。
セットプレーのこぼれ球をミドルシュート気味に2戦続けて決められている甲府にとっては警戒が必要となる。
他にも強烈なミドルシュートを持っている選手はいるだけにセットプレー時に甲府のゾーンの外にいる選手は気をつけなくてはいけない。
流れの中でもミドルシュートへの警戒は必要であり、磐田戦では斜めからボールに寄せたこと、相模原戦では前からアタックはできたが半身となったことでゴール方向にシュートが飛んでしまっただけにシュートブロックは直線的に体で面を作るように出ていきたい。
セットプレーのこぼれ球から2試合続けて失点しているが、今節はメンデス不在もありゴール前での高さも欠いている。
単純にゴール前に放り込まれることも警戒しなくてはいけない。
高さで劣ることでクリアが短くなる危険性も孕んでおり、メンデス不在の影響は大きい。
タッチラインに逃げる等、はっきりとしたプレーが必要となる。

千葉は順位こそ11位と低迷しているがプレー強度が高く、個人の技術も高いチームである。
中断を経て尹晶煥監督の目指す形に近づいて来ている印象も受ける。
今節も厳しい試合が予想されるが、伊藤監督が積み上げてきたものを最大限に発揮し勝ちきりたい。

8.あとがき

中断明け2試合勝ちが無く、昇格圏との差が開くこととなってしまった。
積み上げてきた伊藤監督の目指すスタイルは成熟してきたが、勝負の肝となる部分で2戦とも相手より劣っていたことで勝ち点を伸ばすことが出来なかった。
若返りを図ったことでチームにプラスとなったことも多くあるが、中断明け2試合で見ると経験が不足していたと言えるかもしれない。
落とした勝ち点は返って来ないが、得た経験は今後の糧とすることはできる。
2試合続けて同じような失点を繰り返しているだけに失った勝ち点から得たものを発揮する試合としたい。

中断明け初戦の山形戦ではプレー強度で後手を踏むことで厳しい試合となった千葉だが、前節新潟相手には逆に新潟を圧倒するだけのレベルまで1週間で修正を施してきた。
尹晶煥監督の求める基準についにたどり着いたような印象も受けるが、勝てたわけではないため今節こそ内容と結果が伴った試合としたい。
きっかけ一つで後半戦の主役となれるだけの力を備えたクラブであり、勝ち点3を弾みにジャンプアップすることを目指したい。

開幕戦は甲府サポーターがフクダ電子アリーナに入場出来なかったが、今節は逆に千葉サポーターが来場できないこととなってしまった。
一向に終わりの見えないウイルスとの戦いは続くが、無事開催できることを願いたい。
読んでいただいた皆様の健康も願っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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