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J2第15節 水戸ホーリーホック戦 プレビュー

ホームで東京ヴェルディ、秋田に連勝し迎える今節はアウェイでの水戸戦。
勝って上位3連戦に繋げたい一戦となる。

1.対戦成績

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2000年の初対戦から40試合の対戦を経てきたが、甲府の16勝9分15敗と五分五分の成績となっている。

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アウェイでの対戦は6勝4分10敗と負け越している。
共にホームで勝つことが多くなっている。

最近の対戦を見てみるとやはり五分に近い成績となっている。

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近年では2018、19年に敗れているが秋葉監督に変わった昨年は負けていない。
甲府がJ1を経験して以降は甲府が勝ち越している。
2008、9年は6度対戦し4勝1分1敗となっており直近10試合の成績と併せ、7勝5分3敗となっているため印象は良い相手と言えるかもしれない。

2.前節

甲府

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秋田に競り勝ち、2連勝となった。
試合内容はレビューをご覧ください。

水戸

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アウェイ京都に乗り込んでの一戦。
栃木戦からスタメンは2人を変更。
温井、鈴木共に2試合ぶりのスタメンとなった。
立ち上がりから共にプレー強度の高い入りとなる。
水戸の前からのプレスがハマり京都陣地で試合が進んでいく。
13分に右からのクロスに中山がフリーで合わせるがシュートは枠の外へ。
決定機を作るが決めきれない。
中山、ブラウンノアの2トップがボールを収められることで後方から押し上げる時間を作ることで、厚みのある攻撃を仕掛けていく。
一方的な展開を作る水戸だがワンチャンスをものにされ、先制を許す。
右サイド抜け出した飯田からのクロスに李がスルーし、福岡が合わせる。
直前に中川、福岡、松田のポジションを変えたことが功を奏した。
得点を機に京都のプレスが機能しだし、流れが京都に傾きだすが水戸が布陣を変更したことでまた流れが変わる。
3バックの真ん中に入っていた鈴木が一列上がり中盤に厚みを加えることでボールが回りだす。
CKの流れからクロスに対し、タビナスがフリーとなるのも触れず決定機を逃す。
一度京都に行き掛けた流れを再度引き寄せた水戸だが、チャンスに決めきれない。
すると37分に京都に決定機。
強烈なミドルシュートがゴールを襲うがポストに阻まれる。
バチバチした球際の争いが目立ったが、共に立ち位置に変化を加えた戦術的にも見応えのある前半となった。
後半から水戸はブラウンノアに代えて安藤を投入する。
後半最初のチャンスは京都。
左サイドを崩し、クロスを入れるとファーサイドで味方同士被ってしまうが中川がシュートを放つ。
このシュートは牲川が防ぐ。
54分に水戸は森と温井に代えて松崎と大崎を投入する。
直後に京都は李に代えて荒木を投入。
共にチャンスを作る展開となっていく中、同点に追いつきたい水戸は64分に村田に代えて山根を投入する。
72分に京都は荻原と中川に代えて本多と曽根田を投入。
追いつきたい水戸だが前半から飛ばした影響もあり、徐々に足が止まり京都に攻められる時間が増えていく。
75分に水戸は鈴木に代えて新里を投入する。
77分に水戸が久しぶりにチャンスを作る。
中央での繋ぎからシュートを放つも若原が防ぐ。
その後はまたも京都がゴールに迫る展開が続いていくが、決めきれない。
89分に京都が2人の交代を行う。
福岡と川崎に代えて森脇と武富を投入する。
95分に水戸に決定機。
ペナルティエリア内でフリーとなった中山がシュートを放つもDFがシュートブロックで防ぐ。
直後のCKも防ぎ京都が完封勝利を挙げた。

3.今季成績

両チーム比較

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暫定だが、勝ち点25で5位の甲府と勝ち点19で7位の水戸。
得点はほぼ同じだが、失点は甲府のが少なくなっている。
甲府はホームで勝ち点を伸ばしているが、アウェイで落としている勝ち点が響き昇格圏に差をつけられている。
水戸の方はホーム、アウェイで大きく勝ち点は変わらないが失点数はホームで少なくなっている。

甲府
直近5試合成績

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3勝1分1敗と調子が上向いてきている。
特に5月に入ってからは3勝1分とリーグトップの勝ち点を稼いでいる。

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エリア別のパス数とプレーエリアの分布となるがいずれも中盤のゾーンが多くなっていることがわかる。
プレーエリアはリーグ平均でみるとボランチ付近でのプレー回数が多くなっている。
特に左ボランチの位置が最も赤くなっているのがわかるが、主に起用されている野津田が多くプレーに絡めていることがわかる。
一方で、右の高いサイドは平均よりも下回っているが、これは右サイドで高い位置が取れないことよりはパスが出て来ないことが大きな要因ではないか。
野津田はキックの精度も高く、ロングレンジのパスも得意としているだけに一発で逆サイドに展開する形が増えてくるとサイド攻撃も厚みが増してくるだろう。

水戸
直近5試合成績

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2勝1分2敗と五分五分の成績となっている。
いずれも一点差以内の試合となっており、紙一重の勝負を繰り広げている。

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攻撃回数の多さが特徴となっている。
水戸には身体能力が高い選手が多く、オープンな展開を好んで作っていることがわかる。

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失点はセットプレーからの失点が多くなっている。
甲府はセットプレーを得意としているだけに、修正してこないと勝利は遠ざかる。

4.予想スタメン

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甲府
前節と同じメンバーを予想した。
勝っているメンバーに変更はないと思われる。

水戸
こちらも前節と同じメンバーと予想した。
タビナスがフィリピン代表に選ばれたが、国際Aマッチではないためクラブに拒否権があることから今節は出場するのではないか。
タビナスが不在の場合は三國の起用を予想している。

5.注目選手

甲府

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ウィリアン リラ
11節の金沢戦でデビューし、ここまで4試合連続でスタメン出場中。
デビュー戦でインパクトを残し、2戦目で得点を挙げたがここ2試合はいずれも交代後に得点が入っており、得点に絡めていない。
随所にフィジカルの強さや起点になる働きはできており、今節は結果を出したい。

水戸

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中山仁斗
キャプテンであり、エース。
ここまで全試合に出場し、6得点と得点ランキングでも上位に位置している。
得点パターンも豊富であり、味方を活かすプレーも得意としている万能型のストライカーである。
水戸の勝利には中山の活躍は不可欠である。

6.展望

昨年の水戸はJ2最多の68得点を挙げる一方で、ワースト4位の62失点を喫した超攻撃的なチームであったが今シーズンの水戸はよりバランス重視に変化している。
開幕当初は昨シーズンから継続して433で攻撃的に戦っていたが、11節の長崎戦を境にシステム変更を行っている。
長崎戦と栃木戦では442、金沢戦と京都戦は3バックで戦っていたが今節は3バックを予想した。

守備は闇雲に前からプレスに行くのではなく、2トップから規制をかけ中盤でボールを奪いショートカウンターへと出ていく。

このようにジリジリと牽制し、プレスを掛けていきカウンターへ出ていく。

身体能力の高い選手が多い水戸はショートカウンターだけでなく、ロングカウンターの迫力も備えている。

いずれも自陣からのロングカウンターだが、2人あるいは3人の関係性で決定的な形を作れる迫力を備えている。

こちらはカウンターではないが、自陣でのビルドアップで相手を食いつかせ擬似カウンターのような展開。
このようにオープンな展開は水戸は得意としているだけに、甲府はスペースを与えないようにしたい。

また、プレーの強度は高く、献身的な選手が多い。
中央を手厚く守る形だがサイドはWBが対応することになる。
縦にスライドし、プレスを掛けに行くがその裏は空くこととなる。
甲府としては可変を利用し、ギャップを作ることで水戸の選手を引き出したい。

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空けたスペースはCBの両脇の選手がスライドして対応するが、甲府としては吊り出す形を多く作りたい。
CBの1人を吊りだすことでターゲットとなるリラのマークは緩くなる。
特に鈴木とマッチアップする場面を多く作りたい。

可変しないでビルドアップすると、3バックに対し中盤の選手が出てきて同数で嵌めてくる。

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相手を動かし冷静に空いてるスペースを見極め突いていきたい。

甲府といえば左サイドからファーサイドを狙ったクロスが主だった攻撃だったが、前節は右サイドから関口がカットインし大外を狙うクロスも見られた。
右は縦への突破からのクロスが多かったが、新しい形も見せ得意のサイド攻撃も多彩となってきた。
先程も触れたように野津田から大きな展開で右サイドを使う形を見せたい。

この場面はWBが縦にスライドしたのに合わせ、DFラインが4バック気味となった場面。
中盤の両脇も空いており、そこへタビナスが食いつくことで水戸の左サイドに誰もいない状況となっている。
京都が背後を取ったことで中央の鈴木も引き出すことができ、ゴール前が2対2の状況となり失点となった。
この場面は甲府としてはイメージしやすいかと思う。
浦上に水戸のWBが食いつくことで引き出し、長谷川がホールで浮くことでCBを吊り出し、関口が背後を取りリラと泉澤や野津田がゴール前に絡む。

この場面も似たような形だが、ホールで浮くことでCBを食いつかせ背後を突いた形である。

この場面では最初にヘディングした選手が住吉だが、その後ポジションを取り直すことはなく、結果背後を取られている。
シュートシーンではタビナスが一か八かの賭けを行い、決定機を作られた。
この場面は目の前の選手についていき、ニアのクロスに対してはゴールをカバーするべきであった。
住吉、タビナスは共に身体能力が高くスピードや高さ、強さがある一方でポジショニングや判断能力は足りない要素があるように思う。
ゴール前で待ち構えられると強さを発揮されるだけに、可変で撹乱しゴール前から引き剥がしたい。

水戸は甲府同様、可変を行いボール保持をしていく。
決まった形ではなく、相手や時間に合わせやり方を変えていく。
まずは両脇のCBが攻撃参加する形。

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この場面は右の住吉が高い位置を取った場面。
住吉は攻撃に厚みをもたらすことはできるが、攻撃に特徴があるタイプではない。
一方のタビナスはもともとSB選手であり、左からの攻め上がりは警戒したいところ。
左足からのキックの質も高く、起点にもなれるだけに警戒が必要となる。
どちらが上がってきても、その背後には広大なスペースがあることから逆にチャンスでもある。

また、3バックの真ん中の選手が中盤に上がる形も見せる。

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これは甲府でも山本起用時に見られるが、甲府とは違い中盤の底に1人で構えるのではなく横並びに2人並ぶことが多くなる。
甲府相手にはこの形が多くなるのではないかと予想している。
541で守備時に構える甲府だが、最前線のリラのプレスの強度は高くないため鈴木を中盤に上げることで中盤に厚みをもたらすことのメリットの方が大きい。
これに対し、主に野津田がプレスに加勢してくることになるが野津田の背後で奥田や2トップがボールを引き出す形ができてくると甲府としては厄介となる。
開幕当初はハイプレスが甲府の持ち味でもあったが、リラの起用で強度は下がっただけに水戸相手には中途半端にプレスを掛けに出ていき、スペースを与えるくらいなら引いてスペースを消すことの方が有効ではないかと思う。

また、先程も触れたが水戸はセットプレーからの失点が多くなっている。
一方で甲府はCKからの得点が半数を占めており大きなチャンスとなる。

水戸のCKの守備はゾーンで守っているため、キックの精度と勢いを持って飛び込むことができれば大きなチャンスを作れる。
野津田のキックの精度が上がってきているだけに、大きなチャンスは作れるだろう。

水戸に対してはスペースを与えないこと、相手を動かしスペースを作り出すことがポイントとなる。
噛み合わせ上、お互いにギャップができるためそこをいかに活用できるか。
そして、ストロングポイントをいかに活かしていけるか。
秋田よりは低いだろうが、水戸のプレー強度もJ2ではトップレベルのものにある。
前節の京都戦ではモチベーション高く試合に臨んでおり、今節も上位甲府相手に高いモチベーションを持って試合に臨んでくることだろう。
相手の勢いに飲まれず、落ち着いた試合運びをしたい。

7.あとがき

今節が終わると上位3連戦となる。
勢いをつけて望むためにも油断せず、勝ちきりたいところ。
昨年から4連勝できないことから、今節引き分け次節から3連勝して上位に食らいつくのも悪くないと思ったが欲張って全部勝ちたい。
気持ちや重要度は次節以降に向きがちだが、目先の試合を全力で戦えないチームは先を見ても結果はついてこないだろう。
まずは水戸を倒すことに集中したい。

水戸は前節京都戦を昇格に向けてのターニングポイントとなる試合と位置付け望んだが、敗戦を喫した。
気持ちが入っていたことが伝わる必死さを感じ、一方的に押し込んだ時間もあったがワンチャンスを決められ敗れた。
甲府を倒し、もう一度上位に食らいつくチャンスを作りたいところ。
また、21日にはタビナスの代表選出が発表された。
他国の代表とはいえ、共にJ2で戦う仲間の代表選出は嬉しいものであり頑張ってきて欲しい。

水戸は非常に強いチームである。
どこが相手でも勝つのは難しく、大変である。
ホームのようなサポートはできないが、甲府一丸で勝利を掴み取りたい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

















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