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J2第17節 アルビレックス新潟戦 プレビュー

2試合続けての首位との対戦となる一戦。
昨年は中断明け初戦ということで無観客の中で行われたが、2年ぶりに観客を入れての山梨での「川中島ダービー」となる。

1.対戦成績

J2元年の1999年より48度の対戦を経てきた。
長く同じ舞台で対戦してきただけに、多くの対戦を行ってきた。
通算で11勝16分20敗と新潟が勝ち越している。

ホームでも5勝9分9敗と新潟が勝ち越している。

直近10試合で見ていくと4勝4分2敗と甲府に分がある状況となっている。
特に共にJ2に降格した2018年以降、甲府は負けていない。

2.前節

甲府

3連勝で迎えた首位京都との一戦。
アウェイでの試合は共に得点が取れず引き分けに終わった。
詳しくはレビューをご覧ください。

新潟

町田、京都に連敗を喫して開幕から守ってきた首位の座を京都に明け渡すこととなった中で、迎える相手は2節から共に昇格圏を守ってきた琉球となる。
スタメンは前節京都戦と同じメンバーで望む。
立ち上がりは新潟のボール保持に対し、琉球が前からプレスを掛けていく展開となる。
最初のチャンスは新潟がCKから作る。
その後も続けてCKを得る新潟だが琉球ゴールを破るまでは至らない。
琉球も新潟の前からプレスが激しくないことからボールを保持する時間が増えていく。
共に大きなチャンスは作れず、飲水タイムを迎える。
飲水タイム明けに琉球が試合を動かす。
右サイドの田中からのクロスに池田が抜け出し、クロスに合わせ先制に成功する。
琉球はサイドへのスライドが一瞬遅れた隙を逃さなかった。
新潟は直後に追いつく。
島田からのサイドチェンジを受けた堀米からのクロスに高木が合わせ、同点に追いつく。
試合が動いたことで球際の激しさが両チームとも増していく。
新潟がボールを保持し、琉球がカウンターから得点を狙う展開の前半となった。
後半の入りも新潟がボール保持する展開となる。
共に決定的な場面を作れずにいると、新潟は55分に三戸に代えて谷口を投入する。
お互いに守備の意識が高く、隙を与えない展開が続く。
一進一退の攻防が続く中、新潟が中央を崩し逆転に成功する。
途中出場の谷口の今シーズン4ゴール目の得点。
直後に飲水タイムへと投入し、琉球が阿部に代えて清水を投入する。
琉球はサイドからのクロスでゴールに迫っていくが、新潟のゴールを割れない。
76分に琉球は風間と清武に代えて茂木と富所を投入する。
79分には新潟が高木に代えて星を投入し、本間を中央へと移す。
落ち着いて琉球の守備陣を見てボールを動かす新潟に対し、琉球は高い位置でボールを奪えず自陣から繋いで持ち上がる展開となるが運動量の低下もあり厚みのある攻撃が見せられない。
86分に琉球は池田に代えて上原を投入し、前線に高さを加える。
88分には新潟が鈴木に代えて田上を投入し、1点を守りにかかる。
1点を追いかける琉球だが、新潟から思うようにボールを奪えず攻めに出ていけない。
このまま新潟が1点を守り、上位対決を制した。

3.今季成績

両チーム比較

8勝5分3敗で5位の甲府と11勝3分2敗で首位の新潟。
ホームで強い甲府に対し、勝ち点は落としてはいないが極端に失点が多くなっている新潟。
データ通りホーム甲府優位となるか。

甲府
直近5試合成績

3勝2分と負けなしで好調を維持している。
5月はJ2で最も勝ち点を稼いだ。

これまでシュート数はリーグ上位を維持してきたが、ここにきて順位を落としている。
前々節が7本、前節が5本と減少傾向にある。
2試合で得点もわずかに1とシュートの少なさが得点の少なさに直結している。
水戸、京都と押し込まれる時間が長い試合が続いたが、シュートで攻撃を終えることでカウンターを受けるリスクも減るだけにまずは打っていく姿勢は必要だろう。

甲府の強みといえばセットプレーである。
苦しい試合展開となればセットプレーの重要性は増す。
秋田戦では決めきれない試合展開の中で、セットプレーの得点を守りきり勝利した。
水戸、京都相手には得意のCKの回数も多くはなかった。
水戸戦は2つ、京都戦は3つと得点を取るためにセットプレーも多く得たい。

そしてもう一つ甲府を支えているのが守備。
以前までの引いて構えるだけのリアクションの守備ではなく、主体的にプレスを掛けアクションを起こす守備への変化の中でリーグ2番目の失点の少なさとなっている。

新潟
直近5試合成績

開幕から13戦無敗であったが、14節、15節と連敗。
前節共に昇格圏を維持してきた琉球には勝利したものの、2勝1分2敗と勢いに陰りが見られる。

パス数、ボール支配率がリーグトップ。
ドリブル数、フリーキック数がリーグ2位。
オフサイドがリーグ3位で30mライン侵入回数、ペナルティエリア侵入回数が4位と攻撃のスタッツはリーグトップクラスとなっている。

中でもボール支配率は唯一60%を越えており、飛び抜けて高いことがわかる。
だが、先にも触れたようにパスを繋ぐだけのチームではなく、ドリブルの仕掛けも多く背後への飛び出しも多い。
バランス良く攻撃的な姿勢を打ち出すチームとなっている。

リーグトップの得点数を誇る新潟だが、内訳を見ていくとセットプレーとクロスからの得点が多くなっている。
繋ぎやドリブルでの崩しだけでなく、シンプルにサイドからのクロスにも警戒をしなくてはいけない。

4.予想スタメン

甲府
今節も同じメンバーと予想した。
中村、鳥海の先発起用もあり得るが途中交代で流れを変えられる2人はベンチに置いておきたいのではないか。
DFラインも山本が復帰したが、4試合連続完封中のメンバーの変更はないのではないか。

新潟
こちらも前節と同じメンバーを予想。
京都、琉球と上位相手に同じメンバーで良い試合をしているだけに変更はないだろう。
代わるとするなら三戸のところか。
前節得点を決めた谷口を先発させる可能性もある。

5.注目選手

甲府

関口正大
新潟で生まれ育った関口にとってプロとして始めての地元凱旋となる試合。
対面の本間はJ2屈指のドリブラーとなるが、サイドの攻防で優位に立ち、躍動する姿を家族や友人に見せたい。

新潟

本間至恩
アカデミー出身の20歳は名実共にクラブの顔となっている。
開幕前には移籍の噂も流れたが、残留を決意しチームを牽引している。
ここまで4ゴール4アシストと結果も出しており、J2屈指のタレントであることを示している。

6.展望

新潟はバルセロナからやってきたアルベルト監督体制2年目のシーズン。
バルセロナ出身に違わないポゼッション志向のサッカーを展開している。
先にも触れたようにボールポゼッション率はリーグトップとなっている。
ボールは持てるが恐さがないチームはいくつもあるが、新潟はリーグトップの得点数を挙げておりボールを持つだけのチームではない。

ボール保持の際には幅と深さを取ることを狙い、ピッチ全体を広く使ってボールを動かしていく。

深さは前線の鈴木がDFラインと駆け引きし、背後への飛び出しを狙う。
幅を取るのはボールサイドでは主にSBの選手が、逆サイドではWGの選手が取る形が多くなる。
逆サイドのSBを残すことでリスク管理を行っている。
京都や水戸のようなSB裏という明確に突いていけるポイントは無く、バランスの良い戦い方を志向している。
また、左サイドに左利きを置くことが多くある。
基本的には左SBの堀米が残る形だが、堀米が高い位置を取る際にはボランチの島田が降りてきてビルドアップに参加する。

基本的な立ち位置は上記のような並びとなるが、2列目の選手を中心にポジションの入れ替えを行う。
特に本間はサイドに張るだけでなく、中央にポジションを取り中央からの仕掛けも積極的に行っていく。

基本的な立ち位置は変わらないが、配置される人はその時の状況を見極め変化させていく。

また、ボールを失ったあとの切り替えは速く、素早くボールを奪い返しにかかる。
セットした守備ではブロックを敷き、ブロックの中に入ってきたところへプレスを掛けていく。
DFラインはペナルティエリア幅に構え、サイドにはボールが出てから対応していく。

対して甲府は前節京都戦で新井がアンカーに上がる可変を見せたが、新潟は京都ほど攻撃的なプレスに出てくるわけではなく、本間の守備負担を増やすためにも前々節までの可変を行うのではないか。
関口が高い位置を取ることで、本間が守備にまわる時間を増やしたい。

この場面は相手の右SBに対して、本間が対応した場面だがボールが入ってからの対応のため一瞬間に合わなかった。
このようにサイドには瞬間的に空く場面があり、仕掛けやクロスと速い判断を行うことで新潟守備陣が後手に回る状況を作りたい。

サイドにボールが入った際、SHの選手がプレスバックで対応することが多いが、遅れるとSBがスライドし、対応をする。
SBが吊り出された際にはボランチがSB裏をケアしていくが、ボランチが間に合わない場合にはCBがスライドして対応する。

この状況を作ることでペナルティエリア幅で守りたい新潟DFラインを横に長く伸ばすことを狙いたい。

この場面はSBを食いつかせたスペースを突き、CBを吊り出したことでゴール前を手薄にして奪った得点。
特に甲府の左サイドで泉澤が藤原の背後でボールを受け、舞行龍ジェームズを中央から引き出すことを狙いたい。
そのために必要となるのはメンデス、荒木、野津田でいかに三戸、藤原、高を誘き寄せられるかとなる。
立ち位置でギャップやズレを作り、ビルドアップで相手を食いつかせ泉澤に良い形でボールを供給したい。

この場面ではSBのスライドに対し、CBが連動できずSBとCBの間にスペースを与えことが失点のきっかけとなった。
ここでも立ち位置によるギャップやズレであり、泉澤を活かすためだけでなくこのようにゴールに直結する位置でもギャップを作っていきたい。

甲府にとってセットプレーは諸刃の剣である。
得点が半数以上を占めているが、失点も最多を喫している。

一方で、新潟にとってはセットプレーは大きな武器となっている。
先にも触れたが、今シーズン9得点をセットプレーから挙げているだけに警戒が必要となる。
セットプレーのキッカーを務めることが多い高木はリーグトップの9アシストを記録している。

クロスからの得点も多くなっている新潟だが、序盤はクロス対応においてメンデスと荒木のコミュニケーションミスからの失点を喫していた。
クロス対応には改善が見られてきたが、前節はコミュニケーションミスから相手に隙を与え危険なクロスを許した。

ストライカーの鈴木はクロスに対して合わせるのが得意な選手であり、ボールへの寄せやコミュニケーションミスによりマークを外すことは避けなくてはならない。

共に立ち位置にこだわるチーム同士の一戦は、立ち位置を取れるかと共にいかに相手にポジションを取らせないかも大事となる。
甲府としては前節から献身的にプレスを掛け続け、新潟のビルドアップを阻害し立ち位置を取らせないようにしたい。

7.あとがき

前節、昨シーズン出来なかった4連勝へのチャレンジはまたも失敗に終わったが首位京都相手に敗れなかったことをプラスに変えたい。
2試合続けての首位との試合は「川中島ダービー」となるが、クラブ史上初のホーム5連勝が掛かる一戦ともなる。
1999年に共にJ2に参入し、2018年にJ2へ降格と同じカテゴリーで戦うことが多かった盟友のような存在。
ダービーというバチバチしたライバル関係とよりは、仲間や同士という相手。
昨年は中断期間明け初戦で無観客で行われていただけに、両チームのサポーターが揃って迎えられることは喜ばしいことである。
武田信玄生誕500年の年、「川中島の戦い」に決着をつけたい。

2年ぶりの「川中島ダービー」
結果を期待しながらも共に楽しめる試合を期待したい!
新潟サポーターの皆様、山梨でお待ちしております!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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