番外編-VET X Talks に込めた想い①:「研究っておもしろい!」を伝えたい
研究と聞くと、「難しいこと」「私には縁がないもの」と感じる人が多いと思います。でも、前田先生にとっての研究は「人生そのもの」だそうです。“Life is Research!”という考え方には、なるほどと思わされました。
研究は身近で面白い
--:改めて、VET X Talksを始めた理由を教えてください。
前田真吾先生(以下、敬称略):純粋に、「研究っておもしろいんだよ!」ということを知って欲しい、という思いですね。学生さんはもちろんですが、できるだけ多くの人にそれを伝えたいとずっと思っていました。
--:“研究”と聞くと、多くの人は縁のない世界と感じる気がします…。
前田:敷居が高いイメージがあるかもしれないですね。「白衣を着た“お茶の水博士”みたいな人が、何だかすごいことをやってる」みたいな…。でも実は、全然そんなことないんです。
--:ホントですか…?
前田:本当ですよ!研究って、“再現”できないと意味がありません。誰がやっても、同じ方法で実験したら同じ結果が得られるのが“サイエンス”なんです。つまり「誰でもできるのが研究」。だから研究ってぜんぜん特別なものじゃないんです。もっと身近に感じて欲しいなあと思います。そんなことも伝えたいと思っていました。
--:研究は身近な存在で、かつ、おもしろい?
前田:そうです!まだ誰も知らないことって、たくさんあるじゃないですか。その中から、自分が興味をもったことを調べてみるのが研究です。「こんなことしたら、こんな結果になるんじゃないかな?」って仮説を立てて試してみる。それが研究です。
予想通りになることもあれば、外れることもあります。仮説とは真逆の結果になるケースもあります。そんな時だって、「あれ、何で違うの?」って理由を考えながら試行錯誤していくのが、またおもしろいんです。
研究も日常生活も同じ
--:結果がどうなっても、常に面白いわけですね。
前田:ね、楽しそうでしょ(笑)それから、研究から学ぶことって、人生においても役に立つことが多いと思うんです。
--:どういうことですか?
前田:仮説を立てて結果を予想して、試しにやってみて、出てきた結果でまた考える。こういうプロセスって、研究だけじゃなく、すべてにあてはまると思いませんか?
--:ビジネスの “PDCA” (plan: 計画、do: 実行、check: 評価、action: 対策)サイクルみたいなものですね。
前田:まったく同じです。研究も、やってることは他の仕事とか、もっと言えば日常生活と変わりません。例えば家事。料理や掃除にも、研究的な要素はあるんじゃないですか?「卵焼きをもっと美味しくつくるにはどうしたらいいかな?」とか、「もっと効率よく換気扇を綺麗にする方法はないかな?」とか。色んなことを考えて工夫して、トライして、たまには失敗しながら突き詰めていくことって誰しもあると思うんです。
--:そういう意味では、動物たちと暮らすのも研究の毎日ですね。パピーを迎えて最初にやるのはトイレの訓練ですが、まさに試行錯誤。トレーナーさんに教えていただいたり、ネットでコツを調べたりもできますが、1頭1頭違うので簡単にはいきません。知らず知らずのうちに、“その子”と自分(飼い主)にベストな方法を“研究”してますね!まさにPDCAを回してるような。それから、気になる異性とお近づきになるというのも同じですね(笑)
Life is Research!
前田:でしょ(笑)「人生は研究だ!」っていうのが僕の考えなんです。 “Life is Research!” なんです。そんなことも伝えられたらな~、と思って始めたのがこのVET X Talksです。研究って、特別なものじゃない。研究って、おもしろい。それを伝えたくて始めたのがこの連載です。
その中でも、一番伝えたいのはやっぱり獣医学研究の魅力です。僕が「おもしろい!」と思って続けていることに、興味をもってくれる人が1人でも増えたら嬉しいです。
--:できるだけ多くの人に読んでいただけるよう、続けていきましょう!試行錯誤もあると思いますが、それも楽しみながら!
前田:そうですね。何よりも僕が楽しんじゃってますね(笑)色々な先生方とゆっくりお話しできる機会ってあまりないですし、新しい発見もありますから。