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獣医師になるまでの道のり〜きっかけ〜

小さい頃から動物が好きだった。と言うと、ありきたりな答えだなぁと思うだろうか。

何で獣医になろうと思ったの?はよく聞かれることなのだが、こう答えるのは一番分かりやすいだろうし、実際にそうだからだ。

獣医になろうと決めたのには他にもいろんな考えがあったが、一言ではなかなか説明できない。〇〇を志した理由は〇〇だからです。とスマートに答えてる人を見るとすごいなぁと思う。単純に動物が好きだから、だけではまとめられないし、逆に動物が好き、だけでは続けられる仕事ではないと今になっては思う。

かといって、すごく立派な理由があるわけではない。(じれったいな)
獣医を志そうと思った経緯を、今日は自分で整理しながら書きたいと思う。

小学校高学年になるまで動物は飼ったことがなかった。最初に触った動物というと、学校や幼稚園にいたウサギだろうか。真っ白で、眼が赤いやつ。学校ウサギと呼んでいた。昆虫はよく集めていた。カブトムシやクワガタ、スズムシなどを近所やおばあちゃんの家で捕まえては家でよく観察していた。お祭りで釣った金魚やカメもいた。

でも、当時欲しかったのは犬。もふもふした毛のある動物がいい。うちはマンションだったし、両親は犬や猫を飼ったことがなかったので、私が犬を飼いたいといってもなかなか賛成してもらえなかった。ちゃんと世話するから!と何度もねだったが、子どもは散歩や食事、うんちおしっこの世話はしない、結局親が世話しなければいけないと思ったのだろう。私も親になった今ならわかる気がする。

小学5年生になった頃、初めて毛の生えた動物を飼った。シマリスだ。
ケージの中を縦横無尽に走り回ったり、両手でエサをつかんでちまちま食べる姿をペットショップで見て一目惚れ。じーっとショーケースの前に座り込んで観察していた。飼いたいと言ったが最初はやはり反対された。見るだけだから!と何度もそのペットショップに連れて行ってもらい、次行った時いなくなってたらどうしようと悲しそうな顔で訴える私に根負けしたのか、父が飼ってみるか、と言ってくれた。

ケージやエサなど、飼育に必要な一式を買い揃え、家にシマリスがやってきた時は嬉しくてたまらなかった。最初は飼い方も分からなかったし、タイガー期(秋から冬にかけてシマリスが凶暴になる)というのも知らなかった。シマリスの飼い方という本を買って、読みながら生態や飼い方を勉強した。
私の肩に乗ったり、手の上でエサを食べたり、愛らしい姿を見せたと思えば、急に噛み付いてきたり。凶暴な時期は基本的に手を出さないこと。ケージの外から観察するだけ。そんな感じだったので、なついていたかといわれるとそうではなかったし、初めて飼うペットとしては難しかったけど、毎日そばにいる存在であり、何よりかわいかった。

一方で、シマリスを観察していると、人間と同じように心臓や肝臓ってあるの?筋肉とか骨ってどうなってるの?どうやって呼吸してるの?なぜ背中に黒いシマシマがあるの?なぜそんな動きをするの?次から次へと疑問がわいてきて、人間以外の生物が生きていること自体が不思議に思えてきた。かわいいペットでもあったが私の興味の対象でもあった。

そして中学生になった頃、シマリスが死んだ。初めて経験したペットの死。

食欲がないとか元気がないとか、目に見える不調がなかったので動物病院に連れて行ったこともなかった。病気をしたことがないと思っていたけれど、気づかなかっただけかもしれない。

悲しいのはもちろんだけど、それ以上に、何で?と悔しくてしょうがなかった。ごめんね、と何度も謝りながら、冷たく硬くなったシマリスをティッシュでふかふかにした箱に入れて、枕元に置いて一晩中泣いた。

この経験が、獣医師になりたいと思わせるようになったのかは分からない。しかし、この頃からぼんやりとだが獣医師になりたいと考えるようになったのだろう、中学生の頃の進路ノートみたいなものがあって、そこに「獣医師になりたい」と書いていた。夢を実現するためにするべきこと、の欄には「進学校に合格すること」と書いてあった。絶対獣医になりたいんだ!というよりは、獣医以外になりたいものが思いつかなかっただけなのかもしれない。

何だか長くなりそうなので、続きはまた次回。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


ちなみに、この間実家に帰ると幼稚園の頃に自分が書いた、将来の夢、というノートが出てきた。ページを開くと、けーきやさん、と書かれていた。全く記憶にない。「き」は鏡文字になっていた。字を覚えたての子どもはこうなってしまうらしい。



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