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犬と猫のおいしさに重要なものとは?

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味覚は動物が存続する上で非常に重要です。空腹になれば何か食べ物を食べたくなりますが、どんなものを食べるのかは味覚に左右されます。

昨日まで肉を食べていたライオンが急に草ばかり食べては消化管も栄養吸収できないですよね。その動物が吸収しやすい栄養素を含む食べ物に導くのが味覚の役割なのです。
ある動物にとっての食べ物の美味しさを嗜好性(しこうせい)が高いといいます。

アザラシやアシカ、イルカやペンギンなど海にすむ生き物は陸に住む動物ほど味覚を感じていないだろうという論文もいくつかあるので、また紹介していきます。

今日は身近な動物である犬や猫の味覚について紹介していきます。

犬や猫にとって最も重要なのは匂いと味です。

匂いを感じる細胞は人で2~4個/㎠、猫で7~21個/㎠ですが犬では18~150個/㎠と報告されています。匂い成分は油に溶けるものが多いので、脂肪成分は重要です。また、タンパク質も匂いに関わってきます。
猫では牛脂や豚脂などの動物性脂肪が好きですが、植物性油脂に含まれることのある中鎖脂肪酸の多い油は好みません。猫はココナッツ油は特に苦手です。
犬は猫のような脂肪の好みはないと言われています。猫はネズミのように小さな獲物をちょこちょこ捕らえて新鮮なうちに食べていて、犬は獲物の肉を隠して腐ったものも食べる性質があったことが関係しているかもしれません。

味に関して、以前猫では甘みを感じる受容体が舌にないので好まないだろうという記事を書きました。対して犬は甘味が大好きです。苦味は犬も猫も苦手です。
犬や猫の祖先が食べていた草食動物の肉には塩分が適量含まれているので、あまり塩辛いものは好みません。

温度も嗜好性に重要です。猫の祖先はネズミなどの小動物をちょこちょこ捕らえていたので人肌程度のごはんを最も好みます。犬の祖先は土に余った食物をためて食べていたので冷たいごはんでも嫌がらずに食べます。ただ、温めると匂いがよくなるのでそれに惹かれて食いつきがアップする印象はあります。

動物病院でも、体調が悪くて食欲がない猫ちゃんにはウェットフードを少し温めて出したりしています。

確かに馬や牛には岩塩ブロックを舐めさせたりしますが、犬や猫には与えたことがありません。ただ、個人的な経験では犬や猫もかつおぶしなど塩分が多いものはよく好む気がします。傾向の問題かもしれません。

人間は気分によって甘いフルーツが食べたくなったり、肉が食べたくなったりしますし、温かいご飯や冷たいアイスも食べますよね。味覚という点からみると、人間はなんでも食べる雑食動物のようですね。

参考:
左向敏紀、阿部又信、大島誠之助、徳本一義、百田豊、森昭博(2015)『臨床栄養学』


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。