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犬種別フードってどうなの?:いち獣医師の感想

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自由研究のヒント
大型犬にはカルシウムやタンパク質の配合量をより最適なものにしているよ!
お腹が弱い子が多いとされるシェパードには消化しやすいタンパク質が入っているよ!

栄養を介したケアが有効な遺伝性疾患がある犬種には予防や負担の軽減に役立ちそうだよ。

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今日は自由研究というより個人的な感想です。

ペットショップに行くと様々なフードがありますね。犬種別フード も最近はよくみかけます。
日本で流通するペットフードはペットフード公正取引協議会がアメリカのAAFCOという組織が作成した栄養基準を満たしているものに「総合栄養食」というラベルがついています。

以前は健康な犬や猫は「総合栄養食の基準の範囲内ならどの犬種でも栄養はちゃんと取れる、犬種別フードは大きなメリットはない。」と考えていました。

犬は品種を確立させるために、何代にもわたって交配は管理され、血縁関係のある犬同士をかけあわせてきました。そのため、犬種によって遺伝的になりやすい病気も出てきました。

少し専門的なお話になりますが、大型犬では成長期の骨の成長に関わる疾患、ベトリントンテリアは銅の代謝異常、ダルメシアンはプリン基代謝異常などの遺伝病です。ジャーマンシェパードドッグでは慢性的な下痢などを起こす炎症性腸疾患IBDを起こしやすいと言われています。

こうした遺伝する病気の管理に犬種別フードはある程度有効です。

大型犬種は、カルシウムが多い食事を与えられると骨の発育障害が起こることが知られています。カルシウムは多くても少なくてもいけないのです。

大型犬向けの成長期用のフードは、カルシウムやリンといったミネラルの濃度が適切に調整されています。また、大型犬は活動量や筋肉量も多いので、小型犬用フードに比べるとタンパク質も多めに配合されています。

ペットフードは保証分析値といって成分の含有量や割合が表記されています。
ロイヤルカナンのラブラドールレトリーバー子犬用のタンパク質は31.0%以上ですが、ヨークシャーテリア子犬用は27.0%に設定されています。

炎症性腸疾患が多いジャーマンシェパード用のフードでは消化しやすいように超高消化性タンパク質が使われています。

このように、栄養を介してケアできる遺伝性の病気の予防や負担軽減には犬種別フードはいいのだなと最近は考えています。

といいつつ、我が家の愛猫には普通のアダルト用キャットフードを与えています。雑種ですしね。


参考

Pitfalls and Progress in the Diagnosis and Management of Canine Inflammatory Bowel Disease , Kenneth W. Simpson


ロイヤルカナン ラブラとールレトリーバー子犬用:https://www.royalcanin.com/jp/dogs/products/retail-products/labrador-retriever-junior

ロイヤルカナン ヨークシャーテリア子犬用:https://www.royalcanin.com/jp/dogs/products/retail-products/yorkshire-terrier-junior

ロイヤルカナン ジャーマンシェパード成犬〜高齢犬用:https://www.royalcanin.com/jp/dogs/products/retail-products/german-shepherd-adult


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。