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お母さんのクローン! 進化の不思議が詰まっているギンブナ

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自由研究のヒント
ギンブナの一部の個体は3セットの染色体(3倍体)をもちます。
普通は3倍体の生物は子供を残せないのですが、ギンブナは特別で赤ちゃんができます。

しかも、お母さんとまったく同じ遺伝情報をもつクローンになるのです!

日本で普通にみられる見た目は地味な魚ですが、とんでもない不思議を詰め込んだお魚なのです。

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哺乳類は現時点では全て子孫を残すのに雄と雌が必要ですが、魚では何種類か雌だけで子孫を残すことができるものたちがいます。
雌だけで子孫を残す方法は、主に以下の方法があります。

・単為生殖(たんいせいしょく):parthenogenesisといいます。精子は必要なく新しい個体が発生します。

・雌性生殖(しせいせいしょく):gynogenesisといいます。新しい個体が発生するのには精子の刺激が必要です。しかし一般的な有性生殖と違い、精子と卵子は受精しません。そのため、うまれた赤ちゃんはお母さんと全く同じ遺伝情報を持ちます。クローンです。

・雑種発生(ざっしゅはっせい):精子と卵子は受精して赤ちゃんのもととなる胚(はい)の成長がはじまりますが、その成長過程で雄由来の遺伝子(精子が運んできた物)は排除されてなくなります。赤ちゃんはお母さん側からのみの遺伝情報を持ちます。

日本に生息する淡水魚のギンブナは雄と雌が必要な有性生殖を行うもののほか。雌性生殖でお母さんと同じ遺伝子をもつギンブナもいるのです。

雌雄が必要なフナはお母さんとお父さんからもらった染色体を1セットずつ、2組の染色体を持ちます。雌性生殖をするフナは3倍体のフナ、つまり3組の染色体を持っています。
普通はこの3倍体の動物は稔性(ねんせい)、つまり子供を残せないはずなのですが…3倍体のギンブナは特別です。

身近なところにも人から見ると不思議な子供の残しかたをする生物がいますね。ちなみに人も犬も猫も2倍体の動物です。

参考:
ゲノムの比較分析による自然クローン繁殖系フナ(Carassius auratus langsdorfi)の遺伝学的特徴(2005), 高瀬有加里

https://www2.sci.hokudai.ac.jp/dept/bio/organism/612より引用

岐阜県における3倍 体ギンブナの分布とクローン組成, 古田健也, 魚類学雑誌 55(1):9-16


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。