見出し画像

ジュゴンのひげ

PNGイメージ-C28F95AA4C8A-1

みなさんはジュゴン を見たことがありますか?彼らは生まれた時から繁殖、死ぬまでの生活を全て水中で行いますが私たちと同じ哺乳類なのです。
同じ水中に棲むクジラなどは魚類や甲殻類など動物性タンパク質を採取していますが、ジュゴンやマナティなどの海牛類は海藻が主食です。ジュゴンは太平洋からインド洋、紅海にかけての熱帯〜亜熱帯の浅い海に生息しています。
最も北に棲んでいると言われているのが、沖縄のジュゴンです。
沖縄のジュゴンは個体数も少なく、ワシントン条約附属書Ⅰに掲載されているほか、環境省のレッドリストとレッドデータおきなわでは絶滅危惧ⅠAに指定されており、絶滅が心配されています。
ジュゴンは成長すると体長3m近くまで成長し体重は300kgを超すといわれます。

ジュゴンの鼻は頭の上にあり、水中で息継ぎがしやすいようになっています。海底の海藻を食べるため、口は顔の下に位置し、円盤のような形で広がっています。むしりながら食べるため、上唇と下唇はよく発達しています。上下の唇には太い毛がたくさん生えています。これは猫のヒゲと同じ構造で、組織学的には洞毛(どうもう)といいます。毛の根本には血液が溜まる場所があり、知覚神経といって脳に刺激を伝える神経の束がたくさん集まっています。
ジュゴンの目は小さく視力も弱いと考えられ、耳の穴もとても小さく目立ちません。海中では主にヒゲを使って海藻を探していると思われます。
ちなみに人間は洞毛を持っていないめずらしい哺乳類です。成人男性のヒゲも太く頑丈ですが、洞毛ではなく普通の体毛です。

国内では唯一!鳥羽水族館がジュゴン を飼育しています。
生きている貴重なジュゴン をみることのできるとても貴重な水族館です。ぜひ行ってみてくださいね。


参考:神谷敏郎ジュゴンの観察(1)- 比較解剖学の立場から-
https://www.icrwhale.org/pdf/geiken325.pdf

ジュゴン保護対策・目撃情報について, 沖縄県
https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/dugong.html


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。