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どうして犬猫や人はオスとメスがいないと子供が生まれないの? ゲノムインプリンティングについて

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自由研究のヒント

人や犬猫が子孫を残すのにオスもメスも必要なのは、片方ずつから受け継いだ場合にしかはたらかない遺伝子(インプリンティング遺伝子)があるからだよ!

普通の遺伝子では由来がオスメス関係なく同じように働いたり働かなかったりするんだけど、インプリンティング遺伝子はオス由来でしか働かないもの、メス由来でしか働かないものがあるんだ〜!

インプリンティング遺伝子の働きで起こる現象をゲノムインプリンティングって呼ぶよ!

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今日も繁殖関係です。
私の専門は繁殖ではないのですが、獣医学においても子孫を殖やすというのは非常に大きなウエイトを占めます。花形といってもいい分野でしょう。

さて、犬や猫、ウサギ、人を含む哺乳類は完全に単為生殖…片方の性別だけで子孫を残す方法が放棄されています。オスとメス両方の遺伝子が新しい個体が生まれるのに必要なのです。

哺乳類の個体はオス由来の遺伝子とメス由来の遺伝子が濃淡をつけて組み合わされたもので、オス親のクローンもメス親のクローンでもありません。いわば唯一無二の個体として発生するわけです。

哺乳類のゲノム(遺伝情報)には。オスから受け継いだ染色体でしか働かない遺伝子(Paternally expressed genes ,PEG)と、母親からの染色体でしか働かない遺伝子 (Maternally expressed genes, MEG)があります。このような遺伝子をインプリンティング遺伝子と呼びます。この遺伝子の働きによって起こる現象をゲノムインプリンティングと呼びます。

インプリンティング遺伝子の中には、赤ちゃんの成長に必要不可欠なものが複数含まれます。その中にはお母さんの子育ての活動に影響するものも含まれているのです。オス由来のインプリンティング遺伝子と、メス由来のインプリンティング遺伝子が両方きちんとはたらかないと哺乳類では新しい個体は発生・成長できないようになっているのです。

参考:https://www.brh.co.jp/publication/journal/038/research_11.htmlより引用

https://www.brh.co.jp/publication/journal/039/research_31.htmlより引用

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。