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お財布がきつい!どうして抗菌薬を使う前に高額な微生物検査が必要なの!?

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自由研究のヒント
細菌感染症を治療するときは、どんな細菌なのぺっか正体を知る必要があるよ!
正体がわかれば、常在細菌たちへのダメージを最小限にするため、やっつけたい細菌を狙い撃ちするために狭い幅の抗菌薬にかえられるよ!
幅広い菌に効く抗菌薬は耐性菌が出てしまう原因にもなるんだ。
耐性菌が出てしまうは治療を長引かせるし泥沼戦になるから、避けたいんだ!

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ペットの体調不良で病院に連れて行った飼い主さんの中には、抗菌薬を使うことになった時に細菌の検査をすることになった方もいるかもしれません(ばいようかんじゅせいけんさ・培養感受性検査)。

この培養感受性検査は、炎症を起こしている部位にいる細菌の名前と、抗菌薬が効くか効かないか確認するものですが、なぜ抗菌薬を使う前に調べなければいけないのでしょうか。

抗菌薬を使ってみて、効かなかった時に検査したり、抗菌薬の種類を変えるだけでいいと思った方もいるかもしれません。

でもこの培養感受性検査は、抗菌薬を与える前に行うことがとーーーーっても重要なのです。

抗菌薬にはさまざまな種類があり、それぞれ得意な細菌や活躍できる体の場所は違います。
治療したい部分の細菌(起炎菌)をやっつけるためには、その細菌が何者なのか知りたいのです。
しかし検査に出しても正体がわかるまでは1〜2日時間がかかるので、細菌の正体がわからないまま抗菌薬を使う時は、幅広い細菌をやっつけるお薬を選びます。しかし、幅広い細菌をやっつけるということは、病原菌でない菌や体に対して良い働きをしている菌までやっつけてしまうことになります。その結果下痢を起こしたりすることもありますし、その抗菌薬に対して効果のない耐性菌が残って増えて、治療が長引くこともあります。

検査で正体がわかれば、その細菌を狙い撃ちにする狭い幅の抗菌薬に切り替えられますし、体に有益な菌や常在菌は守ることができます。

調べる前に抗菌薬を投与してしまうと、菌が検出しにくくなってしまうので、抗菌薬投与後にたとえ菌が出てきたとしても、それが最初の細菌とは限らず、正しいお薬を選んだり治療期間を決めることができなくなってしまうのです。

細菌培養感受性検査は外部の検査期間に出すものなので、お値段も結構かかります。お財布は苦しいかもしれませんが、結果的には治療期間を短くすることで費用も最低限になるはずです。


参考:『犬と猫の日常診療のための抗菌薬治療ガイドブック』 原田和記

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。