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ハトとヒトとネコのおっぱいを比較してみよう

そのう乳

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ハトと猫と人のおっぱいの成分を比較してみよう

鳥類は各目、種類ごとに多彩な習性、固有の構造を持ちます。
私たちや犬猫などの哺乳類は次世代の育成の初期に乳を与えて育てます。
鶏のひなは孵化後すぐに自立して歩いて親と食べ物を探し回ることができますが、多くの鳥の雛は親に餌をもらってある程度成長してから自分で食べ物を摂り始めます。

ハトは鳥類の中でも珍しい方法で子育てをします。鳥類はそのう(crop)という食道の一部が拡張した構造物を持っています。猛禽類ではお肉の一部を一時的に貯留する場所としても使っています。ハトもこの部分が発達しており、雛を育てる際にはこのそのうの中で発酵させてできた液体を飲ませて育てます。肉眼的にも白っぽく見えることから、そのう乳(crop milk)と呼ばれます。

私たちの周りにいる身近なドバト(学名Columba livia)のそのう乳(crop milk)の乾燥重量あたりの栄養素は以下の通りです。
・タンパク質 64.1%
・脂肪 29.7%

猫の乳
・タンパク質 35%
・脂肪 20%

人の乳
・タンパク質 18%
・脂肪 14%

ハトのそのう乳はタンパク質がたくさん含まれていることがわかりますね。
やはり飛ぶという行為はたくさん筋肉を動かすからでしょうか。生き物には不思議がいっぱいです。

ハトのそのう乳はもちろん哺乳類の乳腺から分泌する乳汁とは違いますが、生まれたばかりの赤ちゃんに与えるものという観点からみると哺乳類とはだいぶ栄養成分の割合が違うことにびっくりしました。


参考 X.-C. HU, C.-Q GAO, X.-H. WANG, H.-C. YAN, Z.-S. CHEN1, AND X.-Q. WANG , 2016, Crop milk protein is synthesised following activation of the IRS1/Akt/TOR signalling pathway in the domestic pigeon (Columba livia),British Poultry Science, 2016 Vol. 57, No. 6, 855–862, http://dx.doi.org/10.1080/00071668.2016.1219694

環境省, https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide/pdf/full.pdf(参照2021-5)

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。