見出し画像

ペットに毒のある観葉植物モンステラとサトイモで自由研究!感じよう!シュウ酸カルシウム

シュウ酸カルシウム モンステラ


自由研究のヒント サトイモ科の観葉植物モンステラは犬の粘膜に炎症を起こす!いつも食べてるサトイモはどうかな?

お父さんお母さんと一緒にさといもを使った料理をしてみよう。サトイモを洗って手が痒くなることを確認しよう!この原因(シュウ酸カルシウム)を取るための下処理をして変化を感じてみよう
—————————————————————————

観葉植物は安らぎを与えてくれる存在ですが、ペットにとっては意外と様々な害があるものが多いです。人間は観葉植物をバクバク食べたりしませんが、わんちゃんや猫ちゃんはかじってしまうこともあるので要注意です。

チョコレート中毒のように、中毒量がわかっているものもありますが、どのくらい食べたら中毒が発現するのか、致死量はどのくらいかといった詳細が明らかになっていないものも多くあります。

今日はサトイモ科の観葉植物モンステラに関して取り上げてみます。
モンステラはサトイモ科に属するツル性の常緑多年草植物です。常緑多年草とは、枯れずにずっと葉をつけている植物のことです。反対に冬などに地上に出ている部分が枯れてしまい植物を宿根草と呼びます。
大きな葉に穴があいていたり裂けているのが特徴の人気の観葉植物です。
家やオフィスの装飾によく使われ、大きなサイズになることもあります。

サトイモ科の観葉植物が毒があるならサトイモは大丈夫なのでしょうか?
サトイモはシュウ酸カルシウムを含みます。これは水に溶けにくく結晶を形成して、粘膜を直接刺激したり炎症を起こす物質の産生を促進したりして粘膜に炎症を起こします。
猫ちゃんやわんちゃんの診療現場でもシュウ酸カルシウム結石はよく見かけます。また病気としてのシュウ酸カルシウム結晶については別記事で取り上げますね。

またシュウ酸カルシウムは口にした時にえぐみも感じます。
これをとるためサトイモの下処理の行程があるのです。
厚めにサトイモの皮を剥いた後、塩で揉んで水にさらすことでシュウ酸カルシウムを取り除くことができます。

夏休みの自由研究に、ペットに毒性のあるモンステラの調べ学習から始めて、お父さんやお母さんと一緒にサトイモ料理を作ってみてはいかがでしょうか。素手であらっていると軽い痒みが出ます。手の痒みなどでシュウ酸を実感、下処理をした後にはおいしく安全に食べれるようになるはずで、先人の工夫を感じることができます。

さて、ペットに毒性のある部分はサトイモ科の植物モンステラの部分は葉と茎で、サトイモと同じくシュウ酸カルシウムと思われる非常に刺激的な汁を含んでいることが知られています。葉っぱや茎をかじることで刺激的な液体が粘膜を直接接触することで、口腔粘膜や口唇粘膜の水腫や皮膚炎を引き起こす場合があります。

モンステラを齧ってペットの口に炎症など生じた場合は抗ヒスタミン剤の投与やグルコン酸カルシウムによる口内洗浄が治療に有効とされています。シュウ酸カルシウムはカルシウムイオンと強く結合しますので、グルコン酸カルシウムの投与が良い、という訳ですね。人のシュウ酸カルシウム中毒にもグルコン酸カルシウムが用いられるようです。


一番いいのは飾らないことですが、諸事情で同じ空間にモンステラを飾る際はペットが入らない部屋にしたり、ペットの口の届かない場所に置くようにしましょう。

参考文献 L. Severino, Toxic plants and companion animals , CAB Reviews: Perspectives in Agriculture, Veterinary Science, Nutrition and Natural Resources 2009 4, No. 008


社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院 救命救急センター救急科 ○爲廣一仁、瀧健治 ,重症シュウ酸中毒の一例 , https://kenkyuukai.m3.com/journal/FilePreview_Journal.asp?path=sys%5Cjournal%5C20150706175730%2D6287619B9901628BB562772D1ED0E6AA97FC9C9C865BA49C635E0CD2F04659D6%2Epdf&sid=1258&id=1879&sub_id=33721&cid=471より

田中 政信, 中島 寿亀, 森 欣也,サトイモ葉柄内におけるシュウ酸カルシウム束晶細胞形成に及ぼす遮光と土壌水分の影響, 園芸学会雑誌, 72巻, 5号, 2003,



犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。